BRAD MEHLDAU "THE ART OF THE TRIO VOLUME ONE"
BRAD MEHLDAU(p),LARRY GRENADIER(b),JORGE ROSSY(ds)  1996年9月録音

ブラッド・メルドーの名声を一気に高めた佳作。録音は1996年9月。この後、このシリーズは第4作まで進むが、年々ハードに、時に、天衣無縫の感さえするのである。
このVOLUME ONE は、まだ比較的穏やかな弾きかたをしており初心者の方にも聴き易い作品に仕上がっている。スタジオ録音のVOLUME 1 と 3 (JAZZ批評 2.に掲載済み)はとてもよい作品であり、僕の愛聴盤でもある。

1曲目の"BLAME IT ON MY YOUTH" はこのCDの素晴らしさを象徴するかのような出だしで始まり、聴く者のハートをいきなり鷲掴みにする。
4曲目の"BLACK BIRD" はジョン.レノンとポール・マッカートニーの作曲とあるのでビートルズのオリジナル曲なのだろう。8ビートの斬新な響きをもった演奏になっている。
7曲目の"I FALL IN TOO EASILY" とは泣かせるタイトルだがスローバラードを過剰な表現に溺れることなく、むしろ、淡々と歌い上げているところが好ましい。

オリジナル・トリオの4作目以降に見られる、驚がく的テクニック満載のギンギンな演奏も良いが、こうしたスローな曲における抑制の効いた表現力はメルドーの真骨頂とも言える。
最後の"NOBODY ELSE BUT ME" のようなメジャーな明るい曲においても、その真価をいかんなく発揮できるところは流石というほかにない。

ベースとドラムスのバランスもよく、全体に好印象を与えてくれる誰にでもお勧めできる1枚である。 (2001.08.26.)



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ブラッド・メルドーの名声を一気に高めた佳作
むしろ、抑制の効いた演奏が好ましい
誰にでもお勧めできる1枚
BRAD MEHLDAU

独断的JAZZ批評 24.