BRAD MEHLDAU "PLACES"
BRAD MEHLDAU(p),LARRY GRENADIER(b),JORGE ROSSY(ds)  2000年1月、3月録音

今、一番のお気に入りのピアニスト、ブラッド・メルド−のトリオ演奏とソロピアノ集。
2、4、5、7、8、10、12曲目がソロピアノ。

このピアニストは、特にソロ演奏で僕の波長に合う。だから、前述のソロ演奏を中心に聴くことになる。2曲目から始まって終盤に向けてテンションが高くなっていく構成になっている。
2曲目の"29 Palms"は5/4という変拍子。5/4というとデイブ・ブルーベックの"TAKE FIVE"が有名だ。メルドーの変拍子はそのことを感じさせない違和感のない演奏に終始している。
7曲目の"AIRPORT SADDNESS"はマイナー調の美しい曲。こうしたバラード調のゆっくりした曲にも、メルドーのイマジネーションの豊かさが感じられる。
なんと言っても、左手は右手の如く動き、あたかも2人のプレイヤーが弾いているかの錯覚を起こさせるほどのテクニックとそれに溺れない豊かな創造力がある。

続く8曲目ころから演奏にテンションが高まってくる。10曲目、12曲目、そして最後の13曲目、これは最初トリオ演奏なのだが、フェードイン、フェードアウトでピアノソロが挿入されている。このあたりから、ピアノは打楽器的感覚をもち始める。元来、ピアノという楽器は1台でメロディ、リズム、ハーモニーの3要素をこなすことが出来るが、その感覚がより打楽器的な色合いを濃くしてくる。
そして、爆発的なスィング感が現出される。この溢れる躍動感はメルドーならではもの。
このCDはソロ演奏だけをピックアップして聴いてみるのも面白い。曲から曲へ変わっていっても全体として一つのコンセプトにまとまっている。
トリオ演奏が影に霞んでしまうほどのソロピアノに一聴の価値あり。(2001.07.22)



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BRAD MEHLDAU
ソロピアノにおける溢れんばかりの躍動感、ギンギンのスウィング感は聴く者を圧倒せずにはおかない

独断的JAZZ批評 14.