独断的JAZZ批評 948.

DOUBLE RAINBOW = YOSUKE ONUMA * TAKANA MIYAMOTO
内なる炎が燃えている
感動した!
"VOYAGE"
小沼ようすけ (ag, eg), 宮本貴奈(p)
2013年7月 スタジオ録音 (JUMP WORLD : DDCZ-1911)

今回も引き続き初めて聴くプレヤーのアルバムから。
小沼ようすけは2001年にはソニー・ミュージックよりメジャー・デビューしている。ピックを使用しないフィンガー・ピッカーと呼ばれ、本アルバムでも、いわゆる、ガット(クラシック)・ギターとアコースティック・ギターを使用している。
対する、ピアノの宮本貴奈は知る人ぞ知るピアニスト、作曲家であり、そして、TOKUを代表とするサウンド・プロデューサーとしても有名である。
この二人がどんな音楽をプロデュースしてくれるのか楽しみだ。

@"RAINBOW" 美しいピアノの調べで始まる。それに絡むアコースティックなギターの調べ。穏やかで美しく、そして、力強い。最初の数小節を聴いただけでこのアルバムの素性の良さが分かろうというものだ。ピアノとギターのオーディオ・バランスが抜群に良い!
A"FLYWAY" 
そっと目を閉じる・・・。素晴らしいギターの音色。もうこれだけで背筋がゾクゾクしてしまう。ピアノが後から絡むと、内なる炎が燃えだす。素晴らしいアンサンブルだ。
B"AFTER THE MORNING" 
楽器を通した二人の会話。
C"SUFFERING" 
哀愁があっても力強い。いやあ!沁みるねえ!
D"PENT UP HOUSE" 
宮本の弾くベース・ラインに乗って4ビートでスイング。心の通い合うインタープレイが素晴らしい。
E"MY ONE AND ONLY LOVE" 
大好きな曲が入っているのも嬉しい。それにしても楽器のバランスが良くてギターのメロディが引き立っている。
F"ICE CANDLE" 
荘厳さを秘めた氷の世界。
G"FOR FUKUSHIMA" 
「福島」に想いを馳せた曲。哀しくて、美しく、やがて、新しい希望が・・・。ガット・ギターの音色がかくも美しいなんて!ピアノとの絶妙なコラボ。
H"SUNSHINE DAYS" 
「ふるさとがえり」という映画のメイン・テーマを宮本が書いた。日本の原風景を感じさせる佳曲。
I"OVER THE RAINBOW" 
ピアノによるシングル・トーンのテーマが美しい。足りないものも余るものもない、丁度良い塩梅。
 
何と言っても、ピアノとガット・ギターの織りなすアンサンブルの美しさをあげたい。次に、生々しいほどの音の良さと録音バランスの良さをあげたい。二人の実力者の一音一音を隈なく瑞々しい音色でアルバムに収めた素晴らしい録音技術。
どちらかというとひ弱さを感じさせるガット・ギターがグランドピアノに対抗して真っ向勝負。内なる炎が燃えている。聴き終わった後に、清々しさと同時に上質なものに触れたという満足感をも提供してくれるに違いない。
ジャンルを超えた素晴らしい音楽、素晴らしいアルバム。二人のミュージシャンとそれを支えた制作スタッフ、三位一体のアルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。
感動した!是非、オーディオ・ファンにもお勧めしたい。
恐らく今年のベスト・アルバムの中に食い込んでくる1枚になるに違いない。   (2015.07.16)

試聴サイト:https://www.youtube.com/watch?v=uoFno6eKYWM&index=4&list=PLJwmW-CXcbGlt8xpJhml_PNYyCm3IUeBW



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