独断的JAZZ批評 878.

TORE JOHANSEN
コットンのような肌触りの良い温かみのある音楽
"RAINBOW SESSION"
TORE JOHANSEN(tp), VIGLEIK STORAAS(p), OLE MORTEN VAGAN(b),
2006年8月, 2007年2月 スタジオ録音 (INNNER EAR : 7041881400124)


FB友達の紹介でYouTube(末尾にURLを記した)で1曲試聴した。耳触りの良い音色についつい注文ボタンを押してしまった。
メンバー3人の誰一人として初耳だ。トランペットのTORE JOHANSENはノルウェイの新興レーベル、INNER EARのレーベル・オーナーでもあるという。残る二人もノルウェイのミュージシャンだ。
ジャケット・デザインに見られるよう、コットンのような肌触りの良い温かみのある音楽・・・そんな印象が強い。

@"THREE COINS" STORAASのオリジナルとあるけど、どこかで聞いたことがあるような・・・?温かみのあるトランペットの音色といい、奏でられるアンサンブルといい肌触りのよいコットンのような風合い。野太いVAGANのベース・ワークもいいね。
A"BALLADE IMPROMPTU" フリー・テンポのインプロヴィゼーションか?
B
"ABBEY IS BLUE" ベースの音色が聞こえない。デュオ?
C
"I GET ALONG WITHOUT YOU VERY WELL" 少しかすれ気味のペットの音色が何とも哀愁を誘うバラード。これもベースレスのデュオ。もしかすると、録音日が二つあるのでどちらかがデュオでどちらかがトリオの演奏になっているのかもしれない。
D"SLOW FOX" 
ミュート・トランペットによるバラード。VAGAN作のVAGAN(b)のための曲・・・かな?
E
"THREE PRINCES" ペットとピアノのデュオ。これも美しい曲で矢鱈と耳触りが良い。清廉な音楽だ。でもね、何回も聴いていると「灰汁」も欲しくなる。
F"I'LL KEEP LOVING YOU" 
BUD POWELLの曲。ペットとベースのインタープレイで始まる。ベースが良く歌っているし、静かな躍動感がいいね。
G
"BOUNTY" デュオ。これもどこかで聞いたことがるような・・・?珍しく明るく陽気な曲想だ。
H
"EASTER WALTZ" ペットとピアノのデュオ。世の中にあるいくつもの曲からフレーズを少しずつ切り取って張り合わせたような曲だ。
I"NEVER ENDING SECRET"
 ここではアルコ奏法を披露している。

JOHANSENのトランペットがフリューゲルホンみたいな温かみのある音色が特徴的である。加えて、どの曲もどこかで聞いたことがあるような曲ばかりで懐かしいと言えば懐かしいが、オリジナリティには乏しい。しかもバラード系中心でアップ・テンポの曲は皆無。ひたすら心地よさを狙ったのかも?
全10曲のうち
BCEG、Hの5曲がデュオである。これは録音日が二つあることから、どちらかがデュオでどちらかがトリオの録音だったのかもしれない。
北欧のジャズではあるが温度感の低い演奏ではない。むしろ、温かみのある音色であり、親しみのある演奏ではある。コットンのような肌触りの良い温かみのある音楽と言ってもいいかもしれない。
時たま、戸棚から引っ張り出して1曲だけ聴くとか、読書のBGMとして流すのには適しているが、根を詰めて聴く音楽ではないと思う。ながら聴きにはもってこいかも知れない?!   (2014.06.03)

試聴サイト : https://www.youtube.com/watch?v=GTeil0JGPvQ



.