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熊野古道(紀伊路)歩き | |||||
発心門王子⇒本宮大社 | |||||
熊野古道(紀伊路)を歩いてきた。四月にほぼ四十年ぶりに会った高校の同窓生から、かねて気になっている同窓生の経営する温泉宿「湯の峯荘」に既に三度も行っていると聞かされ、少し気持ちが動いてきていたところに、高校の文芸部の二年上で旅好き温泉好きの先輩にその話をすると、湯の峰温泉には、迂闊にもまだ行っていないので、この機に四半世紀ぶりの再会を泊りがけで愉しもうと誘われ、矢庭に出向くことになったのだが、その余りの遠さに愕然。 yahooの路線情報で調べて挙がってきたルート候補から(7/3)高知龍馬空港7:45発ANA⇒伊丹空港9:20発リムジンバス⇒天王寺10:32発JR特急くろしお7号⇒紀伊田辺12:50発龍神バス⇒下湯の峰14:25着(湯の峯荘)14:28着を選択し、自宅を出てからだと8時間掛かりでの訪問となった。だが、別の旅行好きの友人によれば、すこぶる評判のいい温泉宿なのだそうだ。 早速15:00頃から露天風呂で始めた歓談は、夕食を部屋で共にしつつ、途切れることなく午前零時を回るまで続き、翌朝は、風呂替えをしている温泉に浸かり直したあと、世界遺産熊野古道歩きに挑んだ。紀伊路で最もオーソドックスな発心門王子⇒本宮大社の走行距離約7キロ、標準歩行時間約3時間を先輩と談笑しながら踏破したわけだが、古道歩きそのものは、現役時分に仕事で関わった土佐塩の道とも似たようなもので、森林浴にしたところで、かつて仕事で林業関係に携わった時分に県内各所で味わったものとそう変わることもなくて、ある種、予想通りさしたる有難みはなかったが、古道歩きの途中で出会った元ガイド八十三歳との老爺が凄かった。脳梗塞で倒れた後遺症で歩行速度が遅くなってガイドは止めているとのことだったが、自分のリハビリがてら古道歩きをしているのだそうだ。 僕が出会ったのは、三軒茶屋跡から登って下った途中からの「ちょっとよりみち展望台」だったのだが、お気に入りの場所でもあるらしく、今日で157回目だと言っていた。それ以上に驚いたのが、居合わせた外国人カップルに英語で話しかけ、デンマークから来た観光客だと知るやあれこれと達者に会話を始めてほとんど淀みがなく、スマホで動画を撮ったりしながら、アップロード許可を求め、楽し気に交流している姿だった。発音の日本語訛から察するにかなり遅れてからの習得に違いなかろう英会話の発音とは驚くほどの乖離を見せていた会話の豊かさだった。いったい幾つのときから英会話の習得に励み出したのだろう。余生の楽しみに古道ガイドを始めてからのことではなかろうかと察したのだが、実に大したものだった。 今回、二十五年ぶりで再会した先輩は大の旅行好きで、秋にはキリマンジャロに登る予定とのことで、もう何十年もの間、旅行を一ヶ月と空けることなく続けているそうで、勤め人にはとても真似のできない世界だ。先般、折あって訪問国数を拾い上げてみたら、78か国だったそうだが、僕が一週間と空けずスクリーン観賞に向かうのと似たようなものらしい。だが、時間にしても費用にしても、コスト差が違い過ぎるのだから似ているとも言い難い。それはともかく、その先輩が八十三歳元ガイドに恐れ入り、あれは凄いと感嘆していた。 概ね下りだったからまだしも、大汗かいてすっかり参ったが、到着した熊野本宮大社はさすがに立派なお社だった。御神籤のほうは残念ながら「小吉」。だが、「予想外の出来事が起きやすい。例えば思い掛けない人に出会うとか、物が急に集まってきてまたさっと散っていくという雰囲気です」との運勢は、今回の旅の顛末そのものを指しているようでもあって妙に可笑しく納得した。帰りは、12:52本宮大社発で高知空港着20:00、帰宅20:50と相成った。 | |||||
by ヤマ '25. 7.3~4. 奥熊野 | |||||
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