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『愛のぬくもり』['72] 『バックが大好き!』['81] | |||||
監督 近藤幸彦 監督 小原宏裕 | |||||
ひょっこり『メリーに首ったけ』を観て「笑いの趣味が悪すぎて呆れてしまった」と記していたら「確かに下品な映画ではありますな❣(^o^)」とのコメントを貰ったので、「ハリウッドメジャーの半端なエロ・コメよりも、ロマポのエロ・コメ成人映画のほうが断然いいように思います(笑)。」と返した流れで、宝塚歌劇団出身の朝比奈順子の未見の主演第2作『バックが大好き!』['81]を観ようとしたのだけれども、ディスクが再生不能だったので、それならと観たのが田中真理の主演作である『愛のぬくもり』だ。 予告篇に記された「オール・カラー」が売りになり、大学の助教授が上流階級として描かれる、今から半世紀以上前になる時代の作品でもある。当時は、性に開放的に臨む姿を描くことが時代的に承認され、ある種の啓発的意味合いさえ担っていたような覚えがあり、今や隔世の感だ。 まだ二十歳過ぎ時分の初々しさの一方で、なんとなくイメージにあったスレンダーな感じからすれば思わぬ豊満さに感心したものの、どうみても『痴人の愛』を意識した「半端な文芸・エロ」のナオミならぬリナ(田中真理)に魅力が乏しかったような気がする。大正末のナオミはカフェの女給だったが、昭和後期のリナはイラストレーター志望の専門学校生のような感じだった。艶技という点では、リナに惑溺する中上助教授(仲浩)の妻(南条マキ)のほうがエロティックだったように思う。 すると、映友が即座に『バックが大好き!』を用意してくれた。羽田への航空機の着陸で始まり、羽田からの離陸で終わる作品だった。本当に素っ頓狂なバカ話だったが、『メリーに首ったけ』のような嫌味がついぞない。呆れるほどのアホ映画なのだが、よもやバックが大好きなのは、男をよがらせる前立腺責めに目覚めた野々宮黎(早川由美)のことだったとは思わず、すっかり意表を突かれた。 彼女をそれに目覚めさせたのは、同僚エリート社員の木村(中丸信)からのプロポーズの後、緊縛剃毛肛門責めを受けたことで男性忌避となってレズビアンに転じた黎を立ち直らせようと木村にされたことをやり返させた、美女と書いてミメイと読ませる元看護師の目崎美女(朝比奈順子)だったわけだが、彼女もまたマニアックな性戯に耽っていて唖然とさせられる。あと三十本で百本となるチン拓採集を二ケ月後に迫った結婚までに済ませたくて、ひと月余りで三十本採集すると目立つ地元を避けて東京にキノコ狩りに来たという設定だった。 それにしても、劇中に現れた「SEXギネス記録集」なる刊行物は、実際にあったのだろうか。美女は、チン拓百本目を一度は自分を袖にした性豪を自負する深見(石田和彦)とのセックス・バトル1本勝負で勝ち取ろうとするのだが、イカせたもの勝ちの勝負は、連続28時間で小休止を挟み55時間にも及ぶというギネスも到底及ばなさそうな大勝負となり、ここで美女が予告ホームランならぬ予告射精を宣言して深見を挑発したうえで、秘技なる前立腺責めで轟沈させるという馬鹿話は確かにギネス級だと呆れた。 しかも、降り立った東京で先ずは「昼下がりと言えば、情事でしょう」とキノコ狩りを始めた美女が「バイバイ、百人の男たち、昨日までの男たちよ」と東京を発つべく羽田を訪れて、深見と遭遇し、互いが義兄妹になる縁だと判って、SEX勝負の後はラグビーのノーサイド精神よろしく「もうすぐ妹としてお世話になります。ご迷惑をおかけすると思いますけど、末永くよろしくお願いします。」「いや、こちらこそ。ふつつかな弟ですが、どうぞよろしくお願いします。」と挨拶し合うエンディングのあっけらかんに唖然とさせられる作品だった。「じゃ、参りましょうか」と連れ立って離陸していった。 見目麗しく肢体も見事な朝比奈順子は、宝塚歌劇団出身で基礎ができているものだから台詞も動作も堂々たるものだ。呆れるほどの馬鹿話を颯爽と演じていて、大いに感心した。 | |||||
by ヤマ '24. 9.24.25. DVD観賞 | |||||
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