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『避暑地の出来事』(A Summer Place)['59] | |||||
監督 デルマー・デイヴィス
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『メリー・ポピンズ』を観た延長で『ウォルト・ディズニーの約束』を観た後は『グリース』の延長でと観た作品だ。なるほどベティ・リゾ(ストッカード・チャニング)が「サンドラ・ディーの私を観て!」と歌っていたように、「わたし嫌なら嫌と言うわよ」と恋人ジョニー(トロイ・ドナヒュー)に囁き、母に張り飛ばされて睨みながら「メリー・クリスマス!ママ」と返すモリー・ジョーゲンソン(サンドラ・ディー)は、実に気丈で潔い女性だった。思わぬ妊娠問題に見舞われることだけではなく、キャラクターとして二人には相通じるところがあったように思う。 耳馴染みのある主題曲♪夏の日の恋♪の明るい伸びやかさと違って、物語のほうはなかなか渋い含蓄のある苦い話だった。シルヴィア(ドロシー・マクガイア)が言っていた「わたしたち家族を不幸にした罰を受けているのね」が効いていたように思う。彼女が出産時にケン・ジョーゲンソン(リチャード・イーガン)の名を呼んでいなければ、バート・ハンター(アーサー・ケネディ)は酒浸りにはならなかったのかもしれないし、ケンが心残りを断ち切っていれば、ヘレン(コンスタンス・フォード)もあそこまで冷ややかで厭味な女性にはなっていなかったような気がしてならなかった。 娘への「もっといい忠告はないのか…」とぼやくケンにシルヴィアが言った「いかなる結果にも責任を負う覚悟がいる事、どうするかは女が決める事、欲望や情熱と 愛は違う事、愛はお互いに学び合うもの、最初の情熱が去って残るのが愛。大切なのは愛だという事」という台詞を聴きながら、四十三年前を思い出した。バートが零していた「親はハラハラしながら見守るしかないのか」は親の宿命だとつくづく思う。下手に操作を加えようとすると大概ろくでもないことになる気がする。それを思うと、先ごろ観た夫婦印プロデュース公演『満月~平成親馬鹿物語~』のシングルマザーの居酒屋女将(竹内都子)は天晴れだったと改めて思い起こした。それはともかく、拡声器の働きをする通気口というのには恐れ入った。 すると、本作のディスクを提供してくれた『グリース』偏愛の映友が「リゾがサンディを「サンドラ・ディーね」と揶揄する歌と、「私はサンドラ・ディーを卒業する」とレースの後で決意して歌う「わたしはサンドラ・ディー」で予測したサンドラ・ディーより、もっと強く情熱的な「避暑地の出来事」でした。当時17歳という驚異❣️ オリビア・ニュートン・ジョンのサンディという役名は、サンドラ・ディーの省略形だったのかもね。」と寄せてくれた。サンドラの演じたモリーとオリビアの演じたサンディでは、麻雀のドラ無に匹敵するドとラの抜けた名前だから、ちょうどいいのかもしれない。それに引き換え、ベティは立派にモリーだったように思う。 | |||||
by ヤマ '24. 9.16. DVD観賞 | |||||
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