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『シンプル・フェイバー』(A Simple Favor) | |||||
監督 ポール・フェイグ
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映画が始まるとき、「LIONSGATE」と出てきたので、「あれ?そういう映画なの?」と思ったが、見事にLIONSGATEらしいエンターテイメントだった。この“英国的ブラック風味とは異なる奇妙な逸脱感”は、やはりカナディアン・テイストに他ならないと思った。リアリズムなどお構いなしのサプライズの連打に「ほう、そうくるのか」と感心したり呆れたりしながら、大いに愉しんだ。 要するにブラザー・ファッカーとシスター・キラーの繰り広げる壮絶なバディ・ムービーだという気がする。ショーン(ヘンリー・ゴールディング)を挟んで目まぐるしく変転するステファニー(アナ・ケンドリック)とエミリー(ブレイク・ライブリー)の関係性に“バディ”を持ち出すのは似つかわしくはないのかもしれないが、余人との間にはない交感を果たして重ねている共犯性のようなものにバディ・ムービーを感じたのだろう。 そして、その関係性の有り得なさの影に真情が垣間見えたりするところに味があって気に入った。エミリーにしてもステファニーにしても、状況に対する制御力が人並外れて高かったわけだが、それでもなお自身を制御するには及ばず、存外ナチュラルな情動を持ち合わせていたりするように映るところがいい。 アナ・ケンドリックは、相変わらず芸達者で、ブレイク・ライブリーが哀しくかっこよかった。こういう味わいの映画は、なかなか撮れないように思う。そして、「また言ってる」と映友の誰かから咎められそうだけれども、「女性は恐いよなぁ」と改めて思った。 | |||||
by ヤマ '19. 3.18. TOHOシネマズ1 | |||||
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