『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(Darkest Hour)
監督 ジョー・ライト

 ウィンストン・チャーチルという政治家を僕が余り好もしく思っていないということも作用しているのかもしれないが、画面作りも役者陣の好演も一目瞭然という出来映えなのに、妙に気に沿わなかった。

 まさにヒトラー 最期の十二日間(監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル)と対になるような「チャーチル 就任後の二十七日間」を観ながら、ロジックよりも情緒的に煽る演説スタイルは、対になるどころか、似た者同士だったのだなと改めて思った。だから殊更に反目していたのかもしれない。

 また、我が国の現首相夫人とまさしく対照的な賢夫人だったクレメンティーン(クリスティン・スコット・トーマス)が印象深く、ベイビー・ドライバー以降、『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』でも目を惹いたリリー・ジェームズがなかなかよかった。

 チャーチルの演説の「総意」とか「決して(ネバー)」の使い方が、某国の三選首相とそっくりで、辟易とした。根拠なき断言だとか、平気で嘘を言ってのけるところだとかもそっくりだ。そして、嫌われ者でありながら、けっこうな支持者を囲い込むところとかまで、まるで擬えているようにさえ感じられた。妙に気に沿わなかった一番の理由は、そこにあったのかもしれない。

 
by ヤマ

'18.10.11. あたご劇場



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