『マン・オン・ワイヤー』(Man On Wire)
監督 ジェームズ・マーシュ


ヤマのMixi日記 2009年10月31日00:16

 エンドロールを眺めていたら、キャストとして並んだ名前が目を引いた。綱渡り男フィリップ・プティのみ同名本人で表示され、あとはジャン・ルイもアニーも別名だった。しかも、Based on the book“To Reach the Clouds”by Philippe Petit ともクレジットされた。この表示は、劇映画のものだ。
 ドキュメンタリー映画だと思っていたが、ドキュメンタリー映画のスタイルを模した劇映画だったのかと唸った。そしたら、チラシに「本年度アカデミー賞 最優秀長編ドキュメンタリー賞受賞」と出ているではないか。またまた混乱してきた。  再現フィルムが入っているからドキュメンタリー映画ではないなどというつもりは更々ない。僕の疑念と興味の一点は、あのモノローグで回想を語っていたプティの仲間たちが、本人なのかキャスティングされた別人による演技なのかという点だ。
 モノクロで映し出されていたWTCに進入したりするニューヨーク映像は、アングルや撮影の仕方からして非常に映画的に撮られていたから、たぶん再現フィルムだ。作品の導入部分で多用されていたが、周到に人物の顔が映らないようにしていた。カラーで映し出された70年代の若かりし頃のプティとその仲間の様子は、綱渡りの練習風景からも当時のフィルムだろうと思う。そこに映っていた顔は、そのほか写真やモノクロ映像で、顔の映る形で見せられたものと違ってなかったように思うから、たぶん当時のものだろう。
 そうすると、キャストとしてクレジットされたプティ以外は本人ではない人物たちというのは、自ずと証言者の友人たちということになる。僕にとって、最も響いてきたシーンの一つがWTCでの綱渡り以降、疎遠になってしまったらしいジャン・ルイが回想中に見せた二度の涙だったから、それが本人の見せた涙なのか、演者によるものだったのかは、大いに気になるところだ。証言者達がみんな本人ならば、クレジットに出たキャストは、若かりし頃の彼らを演じた者たちとなるはずだから、プティも含めてキャストとしてクレジットされなければ辻褄が合わない気がする。
 もしかしたら、とんでもないフェイク・ムービーだったりするのかもしれないと思うと、なんだかワクワクしてきた(笑)。

 そのあたりの事情、ご存知の方がおいでたら、教えてくださいねー。


*コメント
2009年10月31日 08:15 (かのえさん)
 えぇーっ!?
 だとしたらスゴいですねー。


2009年10月31日 08:36 (TAOさん)
 ええ〜〜そうだったんですかあ!
 みんなえらくフォトジェニックでカメラに慣れてるなあとは思いましたが。
 まあ私としては真実かフェイクかはどっちでもいいですけど(笑)


2009年10月31日 09:33 (olddog さん)
 IMDBによると、「再現ドラマ部分」と但し書きがついた"実行犯"を演じた役者達の名前が出てきますが、それとは別に、ジャン・ルイやアニー本人達も「Himself」「Herself」としてクレジットされています。インタビュー場面の彼等は本物でしょう。

 私も、綱渡り成功を語るときにジャン・ルイが見せた、感極まった涙がこの映画の一番の見所だと思っていますので、あれが実は演技の賜物だと言う事になると、むしろその演技力に驚嘆してしまいます。


2009年11月01日 18:14 ヤマ(管理人)
◎かのえさん
 でしょ、スゴいですよねー。
 でも、流石にそうじゃあなかったみたい(笑)。

◎TAOさん
 「みんなえらくフォトジェニックでカメラに慣れてるなあ」
 これこれ、これなんですよ。エンドロールをちらっと観ただけで、僕が忽ちその妄想に囚われたのも(笑)。それにピーター・ジャクソン監督の『コリン・マッケンジー』とかもあるしね。
 TAOさんが mixi日記にお書きの「当時のプティの庭での練習風景を撮った16mmフィルムの幸福感ときたら、ヌーヴェルヴァーグの1シーンのよう。」というのは、ホントにそうでしたね。うまい準えだととても感心しました。
 映画作品としての価値がドキュメントかフェイクかで、大きく違ってくるわけではないのは、僕も同じです。

◎olddogさん、
 早速の情報提供、ありがとうございます。
 そうですか「himself」「herself]といった表記もありましたか(一息)。では、僕の観たエンドロールのクレジットは何だったのでしょうね(とほ)。

 ジャン・ルイの涙への共感を示していただき、ありがとうございます。お書きの「綱渡りの成功を語るときに」は先の場面ですね。後の「あの綱渡り以来全てが変わり、僕たちは終わった」というようなことを語る場面での涙よりも、僕もこちらのほうが好きです。TAOさんがお書きのように「まあ私としては真実かフェイクかは どっちでもいいですけど(笑)」ね。



推薦テクスト:「TAOさんmixi」より
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1212738339&owner_id=3700229
編集採録 by ヤマ

'09.10.30. 美術館ホール



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