『サイドウェイ』をめぐって
チネチッタ高知」:お茶屋さん
TAOさん
映画通信」:ケイケイさん
ミノさん
ヤマ(管理人)


 
(お茶屋さん)
 間借り人サイトで『サイドウェイ』の日誌を読みました。
 とてもおもしろかったです。

ヤマ(管理人)
 ありがとー。

(お茶屋さん)
 日誌自体が、同作品のように軽妙で小味が効いて、ヤマちゃんの人生も感じさせてよかったです。

ヤマ(管理人)
 僕なんかが共感などというのは、ちゃんちゃらおかしいっていうか、偽りだよね(笑)。
 そういう恥ずかしいことはしたくないから、ちょっと不遜でいい気なもんだとは思いながらも、正直に羨望を覚えた実感について綴ったわけだけど、掲示板に書き込みをくれたTAOさんやケイケイさんは、好意的にも「意表を突かれた」と優しく受け止めてくれたものの、なかには反感を覚えている人もいそうな気がするね。
 でも、実際の処、ついつい羨ましさを禁じ得なかったところには、マヤという女性の存在感ってのが大きく作用していたような気がするよ(苦笑)。ま、そんなもんさね(笑)。


-------掲示板での談義(No.5458 2005/03/30 16:33)より-------

(TAOさん)
 ヤマさん、こんにちは。
 『サイドウェイ』の日誌には意表を突かれました。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、TAOさん。そうでしたか(苦笑)。

(TAOさん)
 私には寄り道なしのまっすぐな人生がまばゆいですが、まっすぐにはまっすぐなりの屈託というものがあるのですねぇ。

ヤマ(管理人)
 なんですよ〜、実は(笑)。「甚だ不遜でいい気なもんだ」という自嘲を余儀なくされる分、屈託になっちゃうんですよねー(苦笑)。

(TAOさん)
 どんな道を歩んだにせよ、これでいいのか、と振り返る年齢なのかもしれません。

ヤマ(管理人)
 そうですねー(しみじみ)。
 僕も月曜日に47歳になっちゃって、まさに50前の“討ち入り”歳ですからねー(笑)。

(TAOさん)
 私など、何もしないうちにもう人生の半ばを過ぎてしまったという焦りの一方で、残りもどうせ映画や活字やその他もろもろの一時的な快楽で、時間をつぶすんだろうなあと、はなから後ろ向きですもん。

ヤマ(管理人)
 みんな、そんなもんですって、きっと(笑)。

(TAOさん)
 あーあ、酔うほどに頭の隅が冴え冴えとしてくるような映画でしたねえ。

ヤマ(管理人)
 確かに時によっては、酩酊気分とは逆に作用してくる酒もありますよね〜。

(ケイケイさん)
 ヤマさん、こんにちは。
 それで『サイドウェイ』なんですが、私もTAOさん(初めまして)と同じく、ヤマさんの感想には意表をつかれました。

ヤマ(管理人)
 あらら、そーでしたか(笑)。

(ケイケイさん)
 まさか疎外感を感じるなんて。

ヤマ(管理人)
 なんのことはなく、マヤのような女性に目を留めてもらえそうにはないってなイジケ心みたいなものなのかもしれませんがね(苦笑)。

(ケイケイさん)
 こうやってサイトを持たれて、ワインめぐりならぬ映画めぐりするのは、人生に華を添える「寄り道」じゃないんですか?

ヤマ(管理人)
 この程度のものを寄り道呼ばわりしちゃあ、マイルスにもジャックにもマヤにもステファニーにも顰蹙買っちゃいますよ(笑)。せいぜいのところで、寄り道なしに歩きつつも、目先や前方注視に凝り固まらずにあちこち眺め渡しているくらいのとこですわ。でも、もちろん、自分でもそれじゃあ詮ないなどとは思っておらず、眺め渡しの意義も喜びも認め知っているんですけどね。

(ケイケイさん)
 日誌には従って、ピークを過ぎた後の緩やかな劣化にも深い味わいのある人生なんて望めそうにもないというわけだ。なんて書かれてますけど、絶対そんなことありませんて!

ヤマ(管理人)
 ありがとうございます。これは少々イジケ過ぎでしたね、確かに(苦笑)。
 まぁ、ロジック的にはそういう話になるじゃないかって文句を映画に垂れてるわけですよ(笑)。そのくらい中年男女の哀楽をコミカルかつしみじみと描いていて味わいのある作品だったということなんでしょうね。

(ケイケイさん)
 私も本当に寄り道なしの人生でしたが、この作品を観て、味わい深くするために、これから寄り道しようと堅く決心しました(笑)。

ヤマ(管理人)
 お!元気いいぞ(笑)。

(ケイケイさん)
 でもそんな私でも、誰も自分にあてはめる人がいないのに、登場人物全てに共感出来ました。

ヤマ(管理人)
 そうなんですよ、だからこそ、実際に味わってみたいような誘発を受けてむしろ何処か羨ましさを覚える情緒を誘われるようなところがあったと綴ったんですよね(笑)。でも、それってちょび厚かましいというか恥ずかしいことだよなってことですわ(苦笑)。

(ケイケイさん)
 下り坂もまだまだ下り始めたばかりじゃないですか〜。まぁ私は子供達の手が離れたらと、長い間虎視眈々で負のエネルギー貯めてましたから(笑)。私みたいに思っている人が多いから、おばさんて元気なんですねぇ(しみじみ)。

ヤマ(管理人)
 あ、そういう意味では、サイドウェイには縁なしでしたけど、好き勝手というか、やりたいことやってきましたから、負のエネルギーも貯め込んでないなぁ〜(たは)。ま、何事によらずゼロサムというか帳尻は合ってるってことなんでしょうね(笑)。

(ケイケイさん)
 意表はつかれましたが、同世代のご主人様の貴重な御意見が聞けて、良かったです。

ヤマ(管理人)
 こちらこそ、お励ましいただき嬉しく思いましたよ。ありがとう。


-------ケイケイさんの掲示板に転じて-------

ヤマ(管理人)
 さて、昨日付けの拙サイトの更新で、こちらの映画日記を毎度ながらの直リンクに拝借しているので、報告と御礼に参上しました。言葉が軽やかに走っているので読んでるほうも快走気分になれました。

(ケイケイさん)
 ありがとうございます。本当にこれは楽しかった!

ヤマ(管理人)
 「竹を割ったようなの反対で餅をついたようなネチネチさ」「女の浅知恵、男の猿知恵」…いいですねー(笑)。

(ケイケイさん)
 ありがとうございます。これはスルスル出てきました。

ヤマ(管理人)
 マイルスと旧知のワイン通美女マヤは、ダサ男のマイルスに好意を寄せますが、こんな美女が何故?とは疑問に感じません。には僕は大いに異論あり(笑)で、マヤがマイルスになんでや?、なんでや?って納得がいきません(笑)。

(ケイケイさん)
 いやー、ワインの薀蓄を語る彼は素敵でしたよ。あのひげが犬みたいで可愛かったし(笑)。

ヤマ(管理人)
 ワイン愛好者のなかでは、ワインに通じることがそれほどの力を発揮するのか!と、どうせ通じるのであれば、ワインのほうが映画よりはお得なんやなーとでも解して無理矢理納得してるんです(笑)。

(ケイケイさん)
 映画ってね、もちろん私を含めて「オタク臭」がするでしょう?(笑)。その点ワインというのは、人間をグレードアップさせた幻想を抱かせますよね(笑)。

ヤマ(管理人)
 この胡散臭さが何とも好かんのですわー(笑)。それに比べりゃ、オタク臭のほうがなんぼかマシ。
 今作ではそれこそ芳醇なワインのよう。知的で思慮深く、画面に小じわも全て映るのに、内面をも美しいと感じさせる、暖かみのある美しさとお書きのとおりで、おかげで僕は自分も既にピークを過ぎて下りつつあるなか、何とも面白くない話じゃないかとささやかな疎外感を自覚したりしたわけです(苦笑)。

(ケイケイさん)
 これはダサ男・マイルスに対しての「焼きもち」ですか?(笑)

ヤマ(管理人)
 ズバリ、そのとおりですよ(笑)。

(ケイケイさん)
 マヤほどの女性がと、男性から見ればそうなんでしょうね、うんうん。

ヤマ(管理人)
 “最高のワインはピークを過ぎると、緩やかに下り坂になるが、それもまた味わいがある。”とのセリフが、この作品のテーマなのかと思います。とお書きのとおりの作品でしたね。人という存在は、すべからく“最高のワイン”に匹敵するものだよっていうわけでしょうが、そこんとこに“サイドウェイ”を取り込んだことが、「寄り道をしていても」っていうより「寄り道をしていればこそ」っていうふうに映ったのが僕のひがみの元でしたね(忸怩)。

(ケイケイさん)
 ものすごーく年齢的に身に染みるセリフだったし、作品でした。最近人生の勝ち組だとか出てきますが、表面だけみれば負け組みの人のほうが多いですよね。

ヤマ(管理人)
 表面的な金の問題で言えば、間違いなくそうですね。うちの長男、申請が認められ、院の学費半額免除を勝ち取ってきてくれました(嬉)。ほんと、助かりましたよ、今年から長女も県外に出たんで。

(ケイケイさん)
 そんな私を含めた人たちに、心の底の「俺だって(私だって)捨てたもんじゃない。」という感情を掘り起こしてくれたような、そんな作品でした。


-------掲示板での再開談義(No.5980 2005/11/09 14:03)より-------

(ミノさん)
 若くないワインですが・・ヤマさん、少しごぶさたしておりました。
 見逃していました『サイドウェイ』を劇場で見る機会がありました。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、ミノさん、お久しぶり。

(ミノさん)
 ヤマさんの言葉を借りれば「大学進学でも就職でも浪人という寄り道ばかりし、転職も離婚もして現在に至っている」サイドウェイ派のワインであるワタクシとしては、疎外感よりも当事者意識のほうを持って楽しめた分、お得だったかな〜。

ヤマ(管理人)
 おぉ〜、そりゃあもう疎外感どころか、しみじみなさったでしょう?
 おまけに若くないと来れば(あは)、味わい豊かな上物ワインの要素満点じゃありませんか(笑)。僕のしてない寄り道を全てクリアされてるとは!

(ミノさん)
 ただ、これは主人公があくまで「中年男」であることの印象が強く、中年女になったことはあっても、中年男の経験がないので、「ああ身につまされるう!!」というよりは、あの滑稽さにアハハと笑うシーンのほうが多かったですわ。

ヤマ(管理人)
 なるほど、そりゃ確かにそうですね。
 でも、つまされなくとも、しみじみ感は楽しまれたように拝察しております。
 滑稽さを苦笑(僕は女性じゃないので、アハハとはいきませず(てへ))するまでのとこでは、僕も何ら疎外感はなかったのですがね(たは)。

(ミノさん)
 ヤマさんのレビュー読んで、まっすぐ来た人にはまっすぐ来た人なりの屈託があり、寄り道だらけの人間にはそれなりの屈託があるんだわ、と思って、妙に面白かったです。

ヤマ(管理人)
 お酌み取りくださり、ありがとうございます。まぁ、人生、そういうことなのでしょうよ。

(ミノさん)
 全く、贅沢なものだわ(笑)なんてね。

ヤマ(管理人)
 あちゃ、そうは簡単にお酌み取りくださいませんか(笑)。まぁ、確かに拙日誌にも綴ったように甚だ不遜でいい気なもんですわね。でも、やっぱり実感的に欠落感のようなものに見舞われるんですよ。妙ちきりんな感覚ではありますが(たは)。

(ミノさん)
 でも、寄り道だらけでも、私にはワインの複雑な味わいがさっぱりわかりません。安いワインでも高いのでも「おいしいやん、これ」で済ませてます。(笑)

ヤマ(管理人)
 今度は正真正銘お慰めいただき感謝(笑)。
 寄り道豊かに過ごしてきても、ワインの複雑な味が舌に届くとは限らないということですか、ありがとうございます(笑)。

(ミノさん)
 ヤマさん こんばんわ。更新お疲れ様です。見た映画全然かぶってなくて残念(笑)。

ヤマ(管理人)
 ケン・ローチのやさしくキスをしては、そちらでは上映されなかったのかしらん?
 TAOさんが春頃に話を振ってくださったことがあるように思うのですが、都会では、その頃の上映でしたからねー。

(ミノさん)
 寄り道とワインの味わいの相関関係に悩むミノです。
 『サイドウエイ』って、寄り道派、としては当事者意識がありつつ見るわけですが、でも実は割りとそんなに当事者意識バリバリで見ることもなかったのは、これって中年に姿を置き換えてはいますが、やはり「boy meets girl」な話として見えたんですよね〜。

ヤマ(管理人)
 その論旨だと「boy meets girl」な話だから、さほど当事者意識を持てなかったということになりますが、俄には信じがたいところですな〜(笑)。

(ミノさん)
 主人公は自信の無いダメ少年・・じゃなくてダメ中年。でもって、一人の異性と出会うことで一人の男としての自信とか肯定感を持つようになるということで。同じ中年バツイチ人間という属性でありながらも、男性の主人公は徹底して、ダメっぷりとか、容姿でもなんかウラブレ感が強調されているのに対して、女性であるマヤは、眩しい描かれ方ですもんね〜。きっと、男性で主人公に感情移入出来る人は多々いらっしゃると思うんですけどね。順風満帆にいかない人とかね(笑)。

ヤマ(管理人)
 そーか、ミノさんは女性だからこそ、マイルスに感情移入はしにくく、マヤにはとても届かないような気がするってことで、当事者意識をさほどは持てないということなんですね。なるほど。

(ミノさん)
 スノッブにワインを語る主人公が、ドラッグストアでマメにポルノ雑誌を購入したりと、妙にリアリティがあって、それがまたなんか苦笑いでしたね〜。(笑)

ヤマ(管理人)
 おぉ〜、細かくチェックされてますなぁ(笑)。まぁ、そうしたもんですよね。拙日誌のインデックスを御覧いただいても、ごっちゃですし(笑)。
by ヤマ(編集採録)



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