その馬車は森の中を疾走していた…。

遠くには、もうすでに名門ソユーズ家の屋敷がみえる。

ここ数日の疲れがでたのか、リリアは馬車の中でうたた寝をしていた。

すると、となりに座っていた青年が声をかけた。

「お嬢様、まもなくソユーズの屋敷が見えてきますよ そろそろ、お起きくださいませ」

優しく穏やかな声だった…。

「う〜ん…あれ?ここどのあたりかしら」

リリアは、目をこすりながら、その青年に尋ねた。

「ここは、もうソユーズ家の領土の一部なのですよ

外を御覧なさい 馬や牛が放牧されています」

その青年は、ソユーズ家の執事であり、名前をカイルといった。

「馬っ?!どこどこっ」

リリアは、窓から身を乗り出した。

「お嬢様っ 危のうございます!」

カイルは、好奇心旺盛なこの姫がこれから背負うであろう運命を考えると、複雑な気持ちでいっぱいだった。

移り変わる景色を眺めながら、リリアはここ数日の間に、自分の身に起きた驚くべき出来事について、振り返っていた…。

 


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その瞳に映りし者


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