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知っておきたい労働法規

紹介文。

 労働基準法 のポイント

日本の労働関係の法律は、「労働基準法」から「労働契約法」「労働安全衛生法」「労働派遣法(通称)」
「最低賃金法」「雇用安定法」「男女雇用均等法」「労働組合法」・・・など、乱立しており、労使のそれぞれの思惑により複雑に
なるゆえ、余計に多くの労働争議が発生するなど問題が多くあります。
 しかしながら、働くのに法律を知らないと、いろいろな不利益を生ずる事があります。
 ここでは、一番の基本となる「労働基準法」について、基本的なポイント部分をまとめて見ました。

information労働基準法とは

日本で働く人に対して、使用者(雇い主)は 最低でもこの法律で定める以上の労働条件を与えなければならないという法律です。書かれている条件は 最低限 なものです。
法律の初めには(第一条)、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と書かれています。

information労働基準法のポイント

労使対等(第2条)、強制労働の禁止(第5条)

建前かもしれませんが、労働者と使用者は対等の立場で労働条件を決める事になっています。 労働者・使用者ともに、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守する義務を負う「性善説」として書かれています。労働者の意思に反して働かせる「強制労働」を禁止しています。「偽装工作しないと首にするぞ!」という場合も、脅迫が脅迫による脅しと捕らえると、強制労働に当たるものと考えます。 

均等待遇 (第3〜4条)

・ 国籍、信条又は社会的身分による差別待遇の禁止
・ 男女同一賃金(第4条)

中間摂取の排除 (第6条)

労働者から上前をはねてはいけないと言う事です。 この部分は現在の「派遣」が正等な行為と判断できるか、議論が残る部分であります

労働条件の掲示 (第15条)

労使契約を結ぶ時、使用者は労働条件を掲示 しなければなりません。

掲示が必要な内容  (労働条件通知書)

右の項目の中で
 @〜Dについては
書面での交付しなければなりません
(Fは短時間労働者は必須事項)
@ 労働契約期間(期間の定めがあった場合、継続の有無)
A 就業場所、従事する業務の内容
B 始業・終業の時刻、休憩時間、時間外労働の有無、休日・休暇 等
C 賃金・計算方法、締切り日・支払日・支払方法
D 退職に関する事項、解雇する場合の事由
E 社会保険の加入有無、労働者に負担させる事、 安全衛生・教育に関する事 等
F 昇給・賞与・退職金に関する事項

賠償予定の禁止(第16条)
前借金相殺の禁止(第17条)

 労働契約(条件)に、不履行があった場合に賠償金を求めるような契約をしてはいけません。例えば「半年以内に退職した場合、教育にかけた金額は払ってもらう」というような契約です。但し、あくまで「事前に賠償の取り決めを行ってはいけない」のであって、実際に発生した労務不履行に対する損害賠償請求権を使用者が放棄するものではありません。初めに述べた「○年以内に退職した場合に、あなたに掛けた費用を払え」という契約について、新日本証券留学費用返還請求事件(東京地裁判決 平成10年9月25日)などの裁判・判例があります。
 第17条の前借金相殺の禁止とは、「お前生かした金分、○○で働いて返せ」という契約です。借金等の債権と、労働契約は全く別に扱わなければなりません。

賃金 (第24条)

 毎月1回以上、通貨で直接労働者に、その全額を支払わなければなりません。現代は、銀行振り込みが主流です。労使協定を結ぶ事で、銀行振り込みや一部現金以外の支給、労働組合費などの控除を行なう事ができます。 

労働時間 (第32条〜)

一週間について40時間を超えての労働時間は設定できません。(所定内労働)
超えた分は「時間(所定)外労働」となり第36条からの条文に従わなければなりません。
→ 時間外労働[残業]サブロク協定(第36条)
→ 時間外労働[残業]割増賃金(第37条)

休憩 (第34条)

使用者は、1日6時間を超えて労働させる場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上
一斉に自由に使える休憩時間
を与えなければなりません。(労使協定がある場合はこの限りではない)
→休暇(第39条)