■危険生物



ダイビング歴11年目にして初めて危険生物による被害を受けてしまいました。。。 心配になって色々と調べてみると、初期の対処方法についてはあるものの、その後の経過とか分からない事が多く、せっかくなのでまとめてみました。

今後、このデータベースが増えない事を祈りつつ...(^^;;


■ ヒメオニオコゼ

  ◇発生日時 2005.4.28(木) 10:10頃

  ◇場  所 沖縄・座間味島「アダン下」

  ◇経 験 数 223本目(11年目)

  ◇危 険 度 ★★★★☆

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ヒメオニオコゼ刺された左膝の内側

状況
  • 初日1本目のボートダイビングで、最大水深18mで30分程潜ってボート付近まで戻り、水深5m位の浅瀬で安全停止を兼ねたフリータイムに入ったところで、砂地の小さな根の前にそっと着底した瞬間、左膝に強烈な電気ショックをくらったような衝撃が走る。
  • 着底前にザッと見たときには恐らく岩のように擬態していて全く気付かなかったのだが、踏みつけられて怒ってるのか毒々しいヒレを目一杯に広げたオコゼらしき生物を見つけて、ようやく事態を把握。
  • 慌ててベルでガイドを呼んでスレートで刺された事を説明、ズキズキする激痛と、動かすと毒が回ってしまいそうな気がしたため、ボートまで引っ張ってってもらい、そのままエギジット。 歩くのもやっとだが、何とか器材を降ろしてドライスーツを脱ぐと、膝充てもあっけなく貫通して刺された赤い点が2ヶ所、スーツ内側にはうっすらと血が滲んでいた。
  • すぐに港へと戻り、用意してもらった車で診療所へ直行する。
初期治療
  • 本来はレントゲンで確認して、刺が折れて残っていたら切開して取り除くのだが、、、幸い触診で明らかに残ってないと診断される。 確かに傷口には赤い点しかなく、恐る恐る自分で触ってみても、異物感は全く感じられない。
  • 解毒薬はないため、火傷寸前の45℃位のお湯で温めて、毒の主成分である蛋白質を固めて不活性化してしまうしかなく、激痛は2〜3時間続くとの事。
  • 港まで約10分、診療所まで5〜6分、受診まで数分、診てもらってる内に刺されてから30分位経過して痛みが増してきたのと、精神的なショックもあってか貧血症状を起こしてしまい、刺された傷口付近に局部麻酔の注射を打ってもらう。すぐに痛みは和らぎ、ベッドに横になりながら袋に入れたお湯で膝を温める。
  • 麻酔の効き目は20分程度と短くて痛みがぶり返してくるが、それ以上の治療法もないので追い返されてしまい (^^;;、保険証カードを携行してたので精算を済ます(\980)。
  • 宿でジップロックの丈夫な袋に水とポットの熱湯を入れて60℃位のお湯を作り、タオル越しに当てたり、ちょっと冷めてきたら直接患部に2〜3秒当てては離すなどし、お湯を入れ替えながら2時間近く温め続けた。 やがて毒が固まったのか皮膚付近の痛みはなくなるが、深い筋肉部分の痛みが残り、温めた影響もあってか周囲はやや赤くなり多少腫れている。
  • 不思議な事に傷口自体は腫れていないし、触っても痛くはない。幸い刺は全く残ってなかったようで、もし残ってると1ヶ月位は痛みが続くらしい。
  • 無理をすれば潜れなくもなかったが、この日はさすがに潜るのをやめる。翌日は海況は極めて穏やかで流れも殆どなく、3本潜れた。
経過
  • 2〜4日目はちょうど筋肉痛のような感じで、じっとしてる分には何ともないが、膝を曲げると刺された周辺の筋肉が痛い。
  • 5〜7日目で筋肉の痛みはほぼ治まるが、患部を触ると今度は皮膚付近がまた痛い。ミミズ腫れのようなスジが3本現れ、患部が黄色くアザのようになってしまう。
  • 8〜10日目で皮膚はやや赤みを帯びて、今度はなぜだか無性に痒くなってくる。
  • 3週間ほどで完全に気にならなくなるが、スジは残ってしまう。まぁ場所は膝だし、男の子なので問題なし (^^;;
反省など
  • 擬態した危険生物を一見で見つける事は極めて難しく、極力着底をしない、もし着底する場合にはフィン先だけにするなど十二分過ぎるほど注意する事。
  • 水中ベルやブザー、タンクバンカーなど、万が一の時にガイドやバディに知らせる術を用意しておく事。またフードを被っていたり、流れがあったり、当然距離があるほど合図は伝わりにくくなるので、状況に応じてメンバーとの距離を調整する事。
  • 今回は刺された生物が明確、ダイビング後半の浅瀬ですぐに浮上して問題ないタイミング、港にも診療所にも近い、などから速やかに対処してもらえた。これがもし何に刺されたか不明、もしくはもっと危険な生物だったら、ダイビング前半から中盤で深かったりボートから遠かったりしたら、港や病院まで遠かったりしたら、、、搬送中に激痛のピークを向かえたり、対処方法が分からず不安な時を過ごさざるを得なかったりするかもしれない。
  • 初期対処法は、お湯で毒を固める、酢で毒を中和する、刺をピンセットなどで抜く、触手を流水で洗い流す、冷却するなど、生物毒に応じて様々で、間違えると悪化しかねず、素人判断は危険。ましてや毒を口で吸い出すのは飲み込んでしまうリスクが極めて高い。専門医に診て貰うべきであるが、海の近くの医師が必ずしもそうであるとは限らないのが悩ましいところ。緊急時には漁師など識者の判断に頼らざるを得ないかも。
  • 最低限、保険証のコピーをログブックに挟んでおくか、最近は保険証も個人別にカード化されつつあるので携行しておくと、精算に手間取らない。(今回は診察と注射代だけだったが、レントゲンや切開などあれば恐らく万単位を一時的に全額負担、後日手続きして払い戻すなど大変面倒)
  • ドライスーツに開いたピンホールはスーツボンドを外側から塗っておいたが不十分だったようで、翌日のダイビングではじんわり浸水してしまった。後日ボンドはペリッと簡単に剥がれてしまい、きちんと修理が必要(1穴 \3,000程度?)。⇒翌月に修理して\3,100だった。



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