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認知症(Dementia 独Demenz)
脳器質性疾患によって慢性的に生じた認知機能障害状態の総称。認知症は除外診断であって、先天性の状態(精神発達遅延)ではないこと、意識障害によるものではないこと、うつ病や統合失調症などの精神病によるものではないことが条件とされる。65歳以上の老人の約4〜5%に認知症がみられる。記銘力や見当識の障害が初発症状となる場合と、人格ー行動障害が初発症状となる場合がある。簡単なテストとして、わが国では改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、外国のものでは、MMSE(Mini Mental State Examination)がある。認知症は基本的には不可逆性であるが、可逆性のこともある。認知症を起こす主病変によって、皮質認知症、皮質下認知症、認知症症状の特徴によって全般性認知症(Generalized.d)、まだら認知症と呼ぶ。加齢と社会的孤立から記憶障害、興味の減退、思考の緩徐化などがみられる廃用性ボケや老人ボケの程度がやや進行した状態を単純認知症(Simple.d)と呼ぶ。この状態からアルツハイマー型老年認知症に進展することがある。[三山 吉夫]
器質性精神病(Organic Paychosis 独Organische Psychose)[脳器質性精神病(Hirnorganische Psychose)、器質脳症候群(Organic Brain Syndrome)]
脳の器質障害に基づいた精神障害。急性、亜急性、慢性(⇒慢性器質性脳症候群)に分けられる。急性の器質性精神病では、意識障害が主な症状であり、せん妄、アメンチア、もうろう状態などが出現する。意識障害から回復期に、ごく軽度の意識障害が亜急性(数週間から数ヶ月)に持続し、健忘、感情障害、幻覚、妄想、発動性減退などがみられることがある(通過症候群)。慢性の器質性精神病では、持続性(多くは不可逆性)の認知障害、つまり認知症や性格傾向の尖鋭化(Zuspitzung)や平板化、それに迂遠、粘着傾向、多幸的な態度などの人格変化がみられることが特徴的である。幻覚妄想、緊張病症状、感情障害、不安、解離、情緒不安定(無力性)障害なでも、慢性器質性精神病の症状として認められることがある。原因としては、神経変性疾患、神経系の感染症、代謝障害、脳血管障害、脳腫瘍、低酸素症、ビタミン欠乏症、中毒などが挙げられる。[三好 功峰]
アメンチア(Amentia 独Amentia)ドイツ語圏においてマイネルト(Meynert.T 1980)によって発展させられた概
念。身体疾患においてみられる意識障害の基礎とする急激な夢幻様の錯乱で、錯覚、幻覚などの知覚の変容と
不安を伴う運動過多をみることが特徴的である。思考は混乱し、見当識が障害される。ただ概念の規定が不十
分であり、せん妄との間の境界があいまいであるので、今日ではこの状態はせん妄と診断され、アメンチアの
という概念はほとんど用いられることがなくなっている。英語圏では、精神遅滞(精神発達障害)の意味に用
いられる。また中世ルネッサンス期には、精神病を総称する用語として用いられた。[三好 功峰]
(医学書院「医学大辞典 第2版」より)
2014年9月2日火曜日
認知症とは