祖父の事

私の祖父は「京山」と言うブランド名で京竿づくりをして居りました、祇園で生まれて育った明治生まれの頑固で偏屈でしたが若い時から器用な人で作った竿は評判が良かったそうです。戦前迄竿づくりをして居りましたが、やがて材料の良いものが無くなり止めて終ったということです。祖父の作っていた竿は仕舞いが短いものも多く長さ一間半の竿でも1本の長さは23~24cm位です何故そんなに短いのかと言うと京都の旦那衆が今から釣りに行きますと言う格好では無く、着物の袂にそっと忍ばせて鴨川にじゃこ釣りに行くのが粋だったらしくその当時は結構流行りだった様です、竿だけではなく浮子や糸巻きまで凝った物を誂えていたらしく、現在の様に機能重視のゴムの浮子留めでは無く、浮子と竹に絹糸を巻き漆で仕上げた浮子留め等は同じ様な色やデザインで統一された物でこんな所にも気を使う心粋が感じられるものですね、糸巻きは鼈甲製の物があるのには私もびっくりしました。
残念ながら手許に祖父の竿はありません、私が最後に祖父の竿を見たのは約50年前京都の大丸百貨店の釣用具店に非売品として置かれていたものです。今でも竿に押された「京」の焼印が目に浮かびます、私は少しでもモノ創りの気持ちを受け継ごうとドメインに21世紀の「京山」と言う事でkyozan21と致しました。

この浮子は軸の中間に穴が開いていて、そこに息を吹き込むとピーと音がします、
浮子が沈むとそこから水が入り小さな音が聞こえるといわれています。
しかし余程耳の良い人でなければ聞こえないと思われますので
イメージで楽しんでいたのでしょう。そのような遊び心が嬉しいですね。

竿の穂先の3本スペアセットです。これだけが残っていました。 これは鼈甲製の糸巻きです。

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