■ 根の染色法

 植物は、ふつう単独ではなく、群落で生育しています。群落では、光や養水分に対する競合がありますが、地下部の養水分の競合についてはよくわかっていません。これは、根を個体ごとに識別する簡単な方法がないことが大きな要因のひとつです。そこで、私たちは、地上部から染色液を圧力をかけて根に注入し、根を染め分ける方法を開発しました。これにより、根の識別が容易になるので、根の相互作用解明がすすむと期待されます。ここでは、ポットで栽培した植物での方法を紹介します。野外への適用についても、近々紹介する予定です。 
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1 直径10cmの黒ポリポットに培土をつめ、植物(ここではトマト)を2本植え栽培する。染色時には、植物が萎れるぐらいに土壌を乾燥させる(写真右のポット)。
2 地上部を4cm残して切除し、茎にグリースを塗り、その上から柔らかいビニールチューブをかぶせ、パラフィンフィルムを巻き、針金で固定する。
3  茎につけたビニールチューブに10mLのメスピペットをつなぎ、スタンドに固定する。ピペットには、異なる色の切り花着色剤(商品名ファンタジーパレス化学)を入れる。農薬スプレー(圧力ゲージをつけて改造したもの)で、0.5気圧程度の圧力をかける。
4 6−8時間で、染色液を10mL程度注入すると、根が染まる。
5 電子レンジで土ごと6分ほど加熱し、染料の色抜けを防ぎ、水の中で洗って根を回収する。根は、細いものも完全に染まる(写真は、播種後53日のトマト、根の長さ189m)。
6 上の根を拡大したところ。根と根が密着しているところが見られる。
関連文献 上の方法に関連する発表論文および参考文献。
根染色法マニュアル ここに紹介した方法を詳しく解説したマニュアル。写真多数、1.3MバイトのPDFファイル(読むにはアクロバットリーダーが必要です)。

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