■ 根の調査法

根は養水分吸収を行う重要な器官です。しかし土の中にあるため、その実態を簡単に知ることができません。重さや長さのような基本的な数値さえ、土を掘って根を丹念に回収し調べるしか方法はありません。これには、たいへんな労力と時間がかかります。根気、根性、土根性とはよく言ったものです。私はこれまで、どのようにすれば効率的に根を回収し、長さを測定できるのかを検討してきました。ここでは、電子レンジ煮沸法による根の回収と、交点計数板による根長測定法を紹介します。
 
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電子レンジによる煮沸 大きさ1Lぐらいの土壌塊をビニール袋に入れ、水を300mL加えて攪拌する。その後、電子レンジで煮沸する(約5分加熱)。
煮沸の効果 左のように冷蔵庫で硬くなった土も右のようにたちどころにスープ状になる。
根の回収 土スープを目の大きさ0.2mmぐらいの布メッシュに流し込み、水道水で細かい泥を流し去る。その後バット等を使って、根+ゴミ(有機物や前年の根など)を回収する。
回転法 水を入れたボウルに根+ゴミを入れ、水を回転させる。これにより、ゴミがボウルの底の中央に集まり、根は表層に浮かぶので、ゴミの混入が少ない根が集められる。ゴミ混入率は、煮沸しない方法の1/5になる。
根の分散 根重測定後、根の一部0.04-0.1gを分取して、ダイロン(家庭用衣料染料)またはメチレンブルー2%液で染色する。それを約7mmにカットし、メッシュ上で分散させる。
交点計数板 交差点法によって根長を測定する。これは格子と根が交わった点の数を数え、係数をかけて根長を算出する方法。交点計数板(クロスカウンタープレート)を使うと、30%スピードアップができる(当社比)。
関連文献 上の方法に関連する発表論文および参考文献。
根系調査法マニュアル ここに紹介した方法を詳しく解説したマニュアル。写真多数、5.4MバイトのPDFファイル(読むにはアクロバットリーダーが必要です)。大きくてすみません。

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