電子レンジ
初め、根を土から分離するため、薬品を使ったり既往の方法をいろいろ試してみた。しかし、冷蔵庫で硬くなった土は手強く、根を取り出すのはほとんど絶望的だった。あるとき、超音波で土を分散させられないかと、超音波洗浄器に入れてみた。しかし、しばらく入れておいても土は硬いままだった。がっかりして気晴らしに外へ出かけた(仕事中に)。3時間ほどたって戻って来たとき、土が軟らかくなっていた!超音波の効果か?いや、洗浄器を長時間つけっぱなしにしていたため、水温が上がったためだった。そうか、熱をかければいいのか。はやる気持ちを抑えつつ、湯煎で土を煮てみた。すると、あんなに硬かった土がスープ状になり、根が土から離れた。そして電子レンジを使うと作業がもっと簡単になった。村上は何度も何度も土を煮て確認した。これでいける(プロジェクトX風に読んでね)。煮沸には、土を軟らかくして根から分離させる効果と、ゴミ(有機物など)から気体を追い出し、下に沈みやすくし、根との分離を容易にする効果がある。
交点係数板
交差点法は、40年以上前に開発された方法である。普通、格子の上に根を切ってランダムに分散させ、根と格子の交点を数える。しかし、これは結構目が疲れるので、なんとか楽な方法はないか検討していた。あるとき、格子の部分だけ透明で、他が不透明な板を作れば、交点を数えるのが楽になるのではと思いつき、交点係数板を作成した。材料は、塩ビ板とメンディングテープと白いラッカーで、作り方をマニュアルに記載してある。
1. 植物栄養実験法1990 植物栄養実験法編集委員会編、41-42 博友社
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