光の伝播をアニメで描く
反論者Yさんへ説明します。すべての相対論の教科書に下図の事が書いてあります。
アインシュタインの特殊相対性理論のもとになっている仮定の一つ、「特殊相対性原理」と呼ばれるものは、「等速直線運動は絶対静止と区別はできない、すべての物理法則は同等である、光も物体と同様の運動をする」というものです。
すなわち“物体”の運動法則の一つである「ガリレオの相対性原理」は“光”にも適用すべきだ、という考えが「アインシュタインの特殊相対性原理」と呼ばれる仮定です。
上図のような等速直線運動するキャビン( A で C 方向に光を発射。C には鏡があります。この例はキャビンが光速の約30%、秒速約9万kmで運動しています)の内部の観測者は、「光はAC 間を上下に反射運動する」と報告し、外部の観測者は、「光は斜めに運動し、この赤い点線のようになる」としているのが、その特殊相対性原理と呼ばれる仮定なのです。トップページの有名な「L、vt、ct、光の直角三角形」がこれです。
この事は、すべての特殊相対性理論の教科書に書かれていることで、相対論を勉強するときは、まずここから出発します。
かの有名な「NHKスペシャル/アインシュタインロマン」でも、このアニメによる説明がありました。ただし、この番組は「絶対にアインシュタインの考えは正しい」とは述べていません。「特殊相対性理論はこういう考えから成り立っている」と説明しているだけですので、そこのところを誤解しないようにしてください。
なおご存じかも知れませんが、この「NHKスペシャル/アインシュタインロマン」の続編では、かなりアインシュタインの理論に懐疑的な内容となっていました。アインシュタインが折れそうな木にぶら下がって、今にも谷底に落ちそうなラストシーンが印象的です。
(この番組は相対性理論と量子論が相容れない理論構造をしている事を指摘している部分もあり、興味深い内容です)
余計な話はさておき、私が1993年にNHK出版「エレクトロニクスライフ」誌3月号〜5月号連載にて発表したのは、上図のようにはならないと述べたものです。
次の図のように「光は自由空間を直進する」と発表したのです。上図との違いをお考えください。
この図は運動系が光速の約45%、秒速約13万5千km という超高速で運動している例ですので、光は側壁に当たって外に出られないので、窓があり、点線で示してあります。
【反論者Yさんとのやりとりの一部を公開します】
Yさん:「そうすると、窪田さんの考えでは、キャビンが動いてなければ、レーザーは C に到達するわけですが、キャビンが動いてない事はどうやって証明するのですか?」
窪田:良い質問ですね。以前にも言ったように、逆に「C にレーザーが到達するような状態」が静止状態であるわけです。
もちろん、図面で上下方向にキャビンが運動した場合は C に届くことになるので、レーザー測定は直交3軸上で行わなければなりません(ジェット戦闘機やロケットに搭載されているリングレーザージャイロは直交3軸上に3基用いられています)。
そうやって直交3軸上のどのキャビンでも C ポイントに正確にレーザーが届くようなら、このキャビンは空間に静止していることになります。なぜそういう事が考えられるかというと、宇宙空間は無限だからです。“無限”ということは“どこでも中心”だからです。宇宙の中に「ぽっかり浮かんだ!」ことになります。
人類はまだこういう実験をした事はないし、今後も完全な静止状態を実現することは不可能ではないかと思われます。地球は自転しているので、地上では不可能だし、宇宙空間にぽっかりと測定器を動かずに浮かべる(つまりどの方向の光速度 もc であるように調整する)ことは大変難しいことだと思います。
Yさん:「そうすると、窪田さんの考えでは、キャビンが動いていた場合、空間に方向性があることになりますよ」
窪田:面白いところに気が付きましたね。(^_^) しかし空間には方向性はないです。なぜなら空間は無限だからです。
“動いている”というのはレーザー測定器直交3軸で定義した座標に於いて方向性が決まるもので、空間そのものに方向性があることを相対光速度説は述べているものではありません。空間は無限だから、どこでも中心なので、直交3軸で定義した座標に於いて方向性を述べているに過ぎません。ニュートン力学もマックスウェル電磁力学も、量子力学も同様で、これらの理論は空間そのものに方向性を持たせることはしていませんね。
他ページでも「光は自由空間を直進する性質があるので、これによって静止系(絶対静止系/基準系)は無限に定義できる」と述べたのは、このことです。“絶対”という言葉に嫌悪を抱く人が多いので、できるだけそういう言葉を使わないで“静止系”または“基準系”と私は言いたいと常日頃思っています。
もし何なら“相対静止系”と呼称しましょうか。相対光速度説は“光”を基準にして、観測系の運動を、その測定光に対する相対変位として記述しているので、“相対静止系”と呼ぶのが妥当かもしれませんね。
この辺は今後の物理学の発展にお任せすることにします。
ちなみに、特殊相対性理論では、どんな方向にどんな速度で運動していようが関係なく、それが慣性系ならば“静止系”と定義していることは Y さん、ご存じですね。だから特殊相対論では慣性系そのものが“絶対静止系”と見なされていることも、お分かりになりますね。いわゆる「慣性系は絶対静止と区別できない」という事ですよ。
「月刊天文」の2001年4月号に、「相対性理論によれば地球から見た宇宙空間は慣性系とみなすことができる」と書いてありますが、この“相対論的絶対静止系”での時間が、例の“固有時”という概念です。
特殊相対性理論では、この“固有時”と“ローレンツ因子”が主役となっていますが、私はこんなモノは無いと思っています。いやいやそういう私も40歳を超える頃まで、「これが相対論なんだ」と信じて一生懸命に勉強していました。あの頃が懐かしい。
2001年11月28日/窪田登司
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追加(2003年11月16日/上記から2年経ちました)
ここで読者のみなさまに一つ重要な問題を差し上げましょう。
スペースシャトルの中で毛利さんがリンゴを手から離すと宙に浮きましたね。つまり宙に浮いている毛利さんもリンゴも、そして鉛筆も、こぼしたジュースも“すべて”が一緒になって飛んでいましたね。本当に“すべて”でしょうか。つまりキャビンの中の“光”も一緒になって飛んでいるのでしょうか。
特殊相対性理論では「yes」です。相対光速度説では「no」です。深くお考えください。
もう一つ追加:2004年10月23日の読売新聞で、NASAと日本の理論物理学者の共同研究で「スペースシャトルの中でレーザーを目標点に発射したら、一般相対性理論の重力理論によってレーザーは若干曲がった」という記事を読んだことがあります。その記事のタイトルは例の通り“アインシュタインは正しかった”ですが、私は「あっ!(c−Vcosθ )の検証だ!」とすぐ気が付きました。計算すると約0.0053度傾いたはずです。
この実験時には(c−Vcosθ )を理解している方は世界に一人もおられなかったと思いますが、「レーザーは若干曲がった」という観測は、特殊相対性理論は間違っていることを実証した事に他なりません。
スペースシャトルの運動は大局的にみると等加速度運動ですが、10のマイナス何乗秒という短い時間では等速直線運動とみなして構いません。微分積分学の“微分”と同じです。
だからレーザージャイロと比較出来るほどの正確さで(c−Vcosθ )を実証したのではないかと、飛び上がるほど嬉しかったです。同新聞記事のタイトルは “アインシュタインは正しかった” ですが、これは仕方ないことです。当時はアインシュタインが重力で時空が曲がっている、だから光はまがる、としただけですから。
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他項でも取り上げていて、しつっこいかも知れませんが、特殊相対性理論と私の考えの違いを分かりやすくアニメで対比しておきます。
図1が特殊相対性理論の根本的な考えです。“運動系”の立場に立つと、常にレーザーパルスは光源の位置である真下からやってきていますね。
それに対して、私は図2のようになると1993年にNHK出版「エレクトロニクスライフ誌」に発表したのです。
↑ 図1 特殊相対性理論の根本的な考え
アインシュタインの考えです。“物体”を投げた時と同じように“光”もベクトル合成方向に飛んで行くと考えているわけですね。これがアインシュタインの特殊相対性原理と呼ばれるもの。
そして光速度はベクトル合成されないで、c のままだ、という相反する仮定が“光速度不変の原理”です。
↑ 図2 1993年に発表した私の指摘
“光”は“物体”を投げたようにはならないと述べているわけ。“光”は自己推進(直交するEとHの相互エネルギー変換)によって直進します。
なお、図1、図2は運動系が光速の50%、秒速15万kmという高速で運動している例です。
現在時刻はまだレーザーパルスを発射してないので、光源の位置だけを示してあります。
ちなみに、アインシュタインの「光速度不変の原理」では、基準系でも光速度は c、運動系でも光速度は c となっているので、図1では時間の概念がズタズタになる事をお分かりになりますか?
そのズタズタを t と t’ にしてうま〜く辻褄を合わせているのが特殊相対性理論です。
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「月刊天文」の2003年2月号に神奈川県のH・Nさんの興味深い投書が掲載されていました。「ブラッドリーの光行差の現象は、地球に固定された光源→受光系でも起こるか」というものです。
いま、内部を真空にした30万kmの長さの長い筒があるとしましょう。これが宇宙空間を等速直線運動しているとします。内部に居る宇宙飛行士は、外を見なければ「動いているかどうかは分からない」とされているのが20世紀物理学であり、アインシュタインの特殊相対性理論の基礎的な出発点です。物体の運動というのは、何かを基準にして、それと比較することで数学的に記述することが出来るからです。
もし基準を設けなければ、この長い筒は宇宙空間に「絶対静止」しているとみなして一向に差し支えないですね。
(1)ニュートンは「太陽を基準」にして惑星の運動を微分積分学で記述しました。そして立派なニュートン力学として完成させました。
実際には太陽自体も銀河系内を動いています。そのため宇宙探査機などの軌道計算では「太陽を基準」として計算しているので誤差が出るようです。現在の人類の科学では太陽の運動まで考慮した計算は出来ないのが現状です。まだまだ数百年以上、場合によっては何千年も先の事でしょう。だって宇宙は広いから(^_^)
(2)ローレンツは宇宙空間には「絶対静止のエーテル系」というものがあると仮定して、これを「基準」にしてエーテル仮説を発表しました。
(3)アインシュタインは「慣性系そのものを基準」にして、「他の慣性系」をローレンツ変換で結びつけて特殊相対性理論を作りました。だから「慣性系そのものが絶対静止系」となっています。慣性系というのは、ご存じのように「等速直線運動している系」のことですから、“動いていても”それが慣性系ならば、「基準」にすることができ、アインシュタインはこれを「静止系」と定義したのです。
(4)私は相対光速度説で「光を基準」にしました。例えば「太陽から出た光を基準」にすると、1億5千万km飛んで来て、つまり約8分後に地球に届くわけですが、このとき地球は宇宙空間を約15700km動いていることになります。この「光を基準にした座標系」を私は「基準系」と定義しています。
そこで、内部を真空にした30万kmの長い筒の話に戻りましょう。片方の端からレーザーを他端に向けて発射した場合、どうなると考えられるでしょうか。
ニュートンもアインシュタインも、そして20世紀物理学も「1秒後に他端の目標点にレーザーは届く」となっています。どうしてかと言うと、「基準が光ではなく、筒という“物体”」だからです。
相対光速度説では、他端にレーザーは届くこともあるし、届かないこともあり、筒の運動に依存して目標点はズレる事もあるとなっています。なぜなら「基準が筒ではなく、“発射した光”そのもの」だからです。
表題のH・N氏の疑問に戻しましょう。アインシュタインの特殊相対性理論では「起きない」ことになります。小生の相対光速度説では「起きる」となります。
ただし内部を真空にした長い筒というのは地球上では限りがあるので、光が端から端まで飛んでいく間に、どのくらい地球が動くかは微妙で、多分干渉縞で検出できる程度のきわめて微小なズレでしょう。太陽→地球間の1億5千万kmを8分かかって飛んできた光でも、そのズレは僅か0.006度程度ですから。
また地球の自転の影響を受けてもズレるので、それを考慮するとなかなか難しい問題です。
いずれにしましても、ブラッドリーの光行差の現象は、惑星→地球間という長い距離であることを常に念頭に置いて考えましょう。
K大学M物理学教授は「絶対静止のエーテル系」とか、「エーテル基準系」というものが空間に存在すると現在でも考えておられるようですが、私はそういう「エーテル基準系」なるものは宇宙空間には存在しないと考えています。
ちなみにアインシュタインも“エーテル基準系”なるものは否定しました。すべての慣性系は同等で、それを「基準と定義」して展開するのが特殊相対性理論です。だからK大学M物理学教授の考え方や説明の仕方は古いですね。
よく相対論の教科書で、「宇宙空間における地球の運動速度は少なくとも30km/sec である」または「であるはずだ」と書いてありますが、これは間違っていると私は指摘しています。30km/sec は太陽を基準にした地球の運動であり(公転運動)、宇宙空間での地球の運動速度ではないでしょう。銀河中心を基準にすると、約400km/sec ほどになるらしいです。アンドロメダ銀河を基準にすると、もっと早いでしょうね。何億光年かの彼方のパルサーを基準にすると、もっともっと途轍もない速度でしょう。
このように地球の運動というのは、常に何かを基準にして記述します。宇宙空間は無限なので、何かを基準にしなければ、動いているかどうかは分からないからです。
この問題に終止符を打つかも知れないのが、私の「測定に用いる光を基準にする」という発想です。
2003年1月15日、2月7日/窪田登司
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(05年9月1日記/茨城県のSさんへ
「その通りです。同時の相対性などという物理現象はあり得ませんね。特殊相対性理論は慣性系を絶対静止系と見なしているので、下図のような奇妙な事態になるのです。決して、このように同時に中央Cに光が到達する事はありません。Bから左へ発射した光がうしろ、うしろへと下がっていますが、絶対にこのような伝播の仕方はしません。“しない”のに、“する”と仮定して作った理論が“特殊相対性理論”です」
「もう一つの“知ったかぶりのネットオタク” 」の件も、その通りです。
< GPSの時間同期は相対性理論を使っている。相対論はもはや我々の実社会に役立っている疑問のない理論である。相対論にケチをつける奴は相対論を何にも知らないのだ > という掲示板のベストアンサーの事ですね。わたしも読みました。
わたしの発表したc’ =(c−Vcosθ)は(発想は異なるのですが)、ドップラー効果の計算式にも使われているんですけどね。超精密だとのこと。(*^_^*)
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