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語釈

  朝三暮四

    ニ  リ          ナル        シ  ヲ   ヒテ  ヲ  ス   ヲ     

宋 有 1@狙 公 者。2愛 狙、養 之 成 群。

      ニ             一      レ      レ      レ

     ク   シ          ヲ     モ          タリ         ヲ                

能 解 狙 之 意、3 A亦 B得 公 之 心。

       ニ         一                 ニ          一

     シテ  ノ      ヲ     タセリ        ヲ

4損 其 家 口、D充 狙 之 欲。

      ニ          一     ニ          一

    ニシテ      シ           ニ    ラント ノ   ヲ

俄 而 E匱 焉。1E F限 其 食。

                       レ    ニ      一

               ルヲ レ         ニ

衆 狙 之 H不 馴 於 4 也、

                 レ  ニ         一

  ヅ  キテ    ヲ   ク  フルニ ニ  ヲ   ニ  ニシテ     レニ  ニセン ル  ト

先 誑 5 曰、「与 若、茅 朝 三 而 暮 四。足 乎。」

       レ            ニ     一   

               チテ     ル

8衆 狙 皆 起 而 怒。

ニシテ    ク  フルニ   ニ      ヲ   ニ   ニシテ    ニ  ニセン ル   ト

俄 而 曰、「与 6、 I茅 朝 四 而 暮 三。足 乎。」

              ニ           一  

              シテ     ブ

衆 狙 皆 伏 而 喜。           列子

 

(注)@狙公 猿を飼う人につけたあだ名。A亦 も同じように。B得公之心 狙公の気持ちを理解した。C損其家口 自分の家族の食料を減らして。D充狙之欲 猿にたっぷり食べさせた。E匱 食料が欠乏する。F限狙食 その食料を制限する。G衆狙 猿たち。H不馴 於 自分の案に従わない。I茅 とちのみ。 

 

一 書き下せ。

 

ニ 口語訳

 @宋の国に狙公という人がいた。A猿が好きで群れを成すほどたくさんの猿を買っていた。B猿の気持ちを理解することができたし猿もまた狙公の気持ちを理解した。C自分の家族の食料を減らしてまで、猿には十分な餌を与えていた。D(が、あるとき)給に食料が乏しくなった。Eその食料を制限しようと思った。F猿たちが自分の案に従わないことを恐れて、Gだまして先ずいうことには、「お前たちに餌の茅の実を与えるのに、朝に三個夕方に四個にしようと思う。足りか。」H衆狙はみな立ち上がって怒った。Iすかさず言うことには、「お前たちに茅の実を与えるのに、朝に四個、夕方に三個にしようと思う。足りるか。J」衆狙はみな頭を下げて喜んだ。

 

三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

  1 狙公    2 家口      3 俄     4 衆狙    5 伏

 

四 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

  1 朝三暮四  

  

  2 家口

 

  3 伏

 

五 二重線部1の文法事項に答えよ。

 

1 将

 

六 次の問に答えよ。

 

  1 傍線部1・3はそれぞれ何のたとえとして語られているか。

 

  2 傍線部2がわかる部分を抜き出せ。

 

  4 傍線部4の指示内容を記せ。

 

  5 傍線部5・6の指示内容をそれぞれ記せ。

 

6 この寓話は一日のうちのどの時間帯になっているか。

 

7「朝三暮四」から「朝四暮三」に言い換えることによって、

 

(1)衆狙が喜んだのはなぜか。

 

(2)  こう言い換えたねらいはどこにあるか。

 

8 「朝三暮四」という成語の意味を衆狙と狙公のそれぞれの立場から十字以内で説明せよ。 

 

構成

 

 聖人=知で言いくるめる → 

 

 

 

 朝三個   暮れ四個 →

 

 

 

 朝四個   暮れ三個 →

 

 

 

 

  狙 公

  群衆

 

 

 

 

 

← 怒る

 

 

 

← 喜ぶ

 

 

 狙

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主題 朝三暮四=朝三個の茅、暮れ四個の茅

 

   目先の違いだけにとらわれて結果が同じであることを知らないこと

   

詐術をもって人を愚弄ること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

 宋に国狙公なる者あり。狙を愛し之を養ひて群を成す。能く狙の意を解し、狙も亦公の心を得たり。

其の家口を損して狙の欲を充たせり。俄かにして匱し。将に其の食を限らんとす。衆狙己に馴れざるを恐るるや先ず之を誑きて曰く「若に栃を与ふるに、朝三にして暮れに四にせん。足るか。」と。

衆狙皆起ちて怒る。俄かにして曰く「若に栃を与ふるに朝に四にして暮れに三にせん。足りるか。」。衆狙皆伏して喜ぶ。

三 1 そこう 2 かこう 3 にわか 4 しゅうそ 5 ふ

四 

1 いつわって人をだますこと。どちらにしても大差ないこと。

2 家族の人数。 3 従う。服従する。

五 再読文字 将に〜とす 今にも〜しようとする

1 聖人 3 群衆 

2 「損其家口狙之欲」 4 狙公 5 狙 6 狙 7 朝飯前

8(1) 朝食が増えるという目先の利益にこだわったから

 (2)三から四にすることで、総数がかわらないことをごまかす。

9 衆狙=目先の利益にこだわる。  狙公=言葉巧みに人をだます。