語釈
ル ニ ム ヲシテ
荘 子、釣 於 @濮 水。楚 王、1使 大 夫 二 人、
二 一 二
キテ ンゼ ハクハ テ ヲ ハサント
A往 先 焉。曰「願 B以 竟 内 累 矣 。」
二 一
シ ヲ シテ ミ ク ニ リ
荘 子 持 竿、 1不 顧 曰 「2吾 聞 楚 有
レ レ 二
シテ ニ ナリ
3C神 亀 死 已 三 千 歳 矣。
一
シテ スト ヲ ニ
王 4D巾 笥 而 蔵 之 E廟 堂 之 上。
二 一
ノ ロ ノ シテ サン メテ ヲ バルルヲ ロ レ キテ
此 亀 者、25寧 其 死 為 留 骨 而 貴 乎、2寧 其 生 而
二 レ 一
カン ヲ ニ
曳 尾 於 塗 中 乎。
二 一
ハク ロ キテ カン ヲ ニ
二 大 夫 曰 「6寧 生 而 曳 尾 於 塗 中 」
二 一
ハク ケ 二 カント ヲ 二
荘 子 曰 「往 矣。7吾 3将 曳 尾 於 塗 中。
レ ニ 一
(第十七 秋水編一四巾笥)
(注)@濮水 もと、今の河南省を流れていた黄河の支流。A往先 (王の意を告げるために)先行する。B以竟内累矣 国内の政治をあなたに任せる。C神亀 裏に使う神聖な亀の甲羅。D巾笥 布で包んで箱に入れる。E廟堂 先祖の霊が祭ってある所。
一 書き下せ。
二 口語訳
荘子が濮水で釣りをしていた。楚王は二人の太夫に命じてまず荘子の所へ行かせ前もってその意向を伝えさ
せた。「願わくはあなたをわずらわし、政治を司る宰相になってほしい。」と。
すると荘子は竿を持ったまま振り返りもしないで、言うことに、「私が聞いているところでは
楚には神亀がいて死んでから三千年になるが、王はこれを絹で包み箱に入れて祖先の霊が祭ってある所に保管しているが、この亀は死んで名をとどめることを選ぼうか、生きて泥の中で尾を引くことをえらぼうか。?」
二太夫が言うことに、「生きて尾を泥の中で引こう。」言った。
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 曳 2 塗中 3 太夫 4 境内 5 竿 6 已 7 巾笥 8 廟堂 9 寧 10 往
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 塗
2 太夫
3 境内
五 二重線部1〜3の文法問題に答えよ。
1 使
2 寧
3 将
六 傍線部 1〜7の問いに答えよ。
1 ここにはどのような気持ちが込められているか。
2 どこまでかかるか。
3 何を例えているか。
4 王はなぜ「神亀」をこのように大切にするか。
5 どのようなことを例えているか。
6 どのようなことを例えているか。
7 どういう意味か。
構成
太夫「国内の政治をしてほしい。」
荘子「神亀 死後尊ばれる(常識 富貴)か? 生きて泥の中にいるか?」
太夫「生きて泥の中。」
荘子「生きて泥の中。」
主題 富貴になっても命を失ってはいけない。貧賤でも安らかに生きたい。
(荘子、秋水)
解答
一 荘子濮水に釣る。楚王太夫二人をして、往きて先んぜしむ。曰く、願はくは「境内を以て累さん。」と。
荘子竿を持して顧みずして曰く、「吾聞く楚に神亀有り、死して已に三千歳なり。王巾笥して之を廟堂の上に蔵すと。此の亀は、寧ろ其れ死して骨を留めて貴ばるるか、寧ろ其れ生きて尾を塗中に曳かん。」二太夫曰く、「寧ろ生きて尾を塗中に曳かん。」と。荘子曰く、「往け。吾将に尾を塗中に曳かん。」と。
三 1 ひ 2 とちゅう 3 たゆう 4 けいだい 5 さお 6 すで
7 きんし 8 びょうどう 9 むし 10 い
四 1 泥土。どろ。塗泥。 2 周代の官名。 3 堺の内。 国内。
五 1 使役 使AB AをしてBせしむ AにBさせる 2 選択 むしろ 〜するほうがいい
3 再読文字 将に〜んとす これから〜しようとする
六 1 周の政治をする気はない。 2 廟堂の上。 3 宰相。 4 それで占うとよくあたるため。
5 宰相となって政治をし、国の犠牲になって死んで大切にまつられること。
6 無位無官のまま俗世間での生活を楽しむこと。
7 名声や富貴のために身を犠牲にすることなく、自由に往きたい。
南 海 之 帝 為 ナ、北 海 之 帝 為 忽、中 央 之 帝 為 渾 沌。ナ 与 忽、時 相 与 遇 於 渾 沌 之 地。渾 沌 待 之 甚 善。ナ 与 忽 謀 報 渾 沌 之 徳 曰g人 皆 有 七 竅、以 視 聴 食 息。此 独 無 有。嘗 試 鑿 之^日 鑿 一 竅。七 日 而 渾 沌 死。
のをとし、のをとし、中のをとす。とと、ににのにふ。 をつことだし。ととのにいんことをりてはく、「 り、てす。れりるし。嘗試みにをたん。」と。にをつ。七日にしてせり。 (子、)
漢文様式
(注)
一 書き下せ。
二 口語訳
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
五 二重線部1〜の文法問題に答えよ。
六 傍線部 1〜の問いに答えよ。
七 構成
主題