語釈
二 ル ト トシテ
@ 昔 者、荘 周 1夢 為 胡 蝶。A栩 栩 然 胡 蝶 1也。
二 一
ラ シミ ル ニ ラ ナルヲ トシテ ムレバ トシテ
自 喩 B適 志 2与。2不 知 周 也。俄 然 覚、則 C遽 遽 周 也。
レ レ
ラ ニ レル ト ニ レル ト
不 知 周 之 夢 為 胡 蝶 3与、胡 蝶 之 夢 為 周 与。
レ ニ 一 レ
ト ハ チ ズ ラン レヲ レ フ ト
周 与 胡 蝶、則 必 有 D分 4矣 。3此 之 謂 物 化。
ニ 一 レ ニ 一
(第二 斉物論編二七)
(注)@昔者 かつて。以前。「者」は助字。A栩栩然 ひらひらと飛ぶさま。B適志 気持がのびのびする。C遽遽然 驚くさま。D分 区別。
一 書き下せ。
二 口語訳
嘗て荘周は夢の中で胡蝶になった。ひらひらっと飛ぶ胡蝶だった。自ら楽しみ気持がのびのびした。自分
が周であることが分からなかった。にわかに目が覚めると驚くことに周であった。周の夢に胡蝶となったのか、胡蝶の夢に周となったのか分からなかった。周と胡蝶とは必ず区別があるはずである。これが物の変化だからである。
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 胡蝶之夢 2 荘周 3 栩栩然 4 俄然 5 則
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 胡蝶之夢
2 俄然
3 物化
五 二重線部1〜3の文法問題に答えよ。
1 也
2 与
3 与
4 矣
六 傍線部 1〜3の問いに答えよ。
1 このときdのおうに感じていたか。
2 どこからどこまでかかるか。
3 指示内容を記せ。七 構成
構成
周の夢 胡蝶? 夢 荘周=胡蝶 胡蝶の夢 荘周? 現実 荘周=荘周 夢―現実 総体 |
荘周 |
夢と現実 別 夢≤現実 |
常識 |
主題 物事はそれ自体で実在するのではなく、変化していく一部分だ。
解答
一 昔荘周夢に胡蝶と為る。栩栩然として胡蝶なり。自ら喩しみ志に適へる。周なるを知らざるなり。
俄然として覚めれば、即ち遽遽として周なり。
周の夢に胡蝶と為れるか胡蝶の夢に周と為れるか。周と胡蝶とは即ち必ず分がある。此れを之物化と謂う。
三 1 こちょうのゆめ 2 そうしゅう 3 くくぜん 4 がぜん 5 すなわ
四 1 自他の違いを忘れて万物一体となった境地。 2 にわかに。不意に。 3 万物が変化する。
五 1 断定 2 感嘆 かな だなあ 3 疑問 か か 4 断定
六 1 楽しく、周であることを忘れていた。2 「夢為周与」
3 荘周が蝶となり、胡蝶が荘周になるということ。