語釈
ノ ク ノ ハ ツテナリ ク ルヲ ニ
(1)
1江 海 所―以 能 爲 2百 谷 王 者、以 3其 善 下 之。
二 二 一
ニ ク ル ノ ト
故 能 爲 百 谷 王。
二 一
ヲ テ セバ ラント 二 テ ノ ヲ ル 二
是 以 聖 人 4欲 上 民、必 以 5其 言 下 6之。
レ レ 二 一
セバ ンセント ハ ズ ノ ヲ ル 二
7欲 先 民 以、 其 身 後 8之。
ヲ テ ルモ モ ハ シトセ ルモ ニ モ ハ トセ
(2)是 以 9處 上 而 民 @不 重10處 前 而 民 A不 害。
レ レ
ヲ テ シミ スヲ ハ 一
是 以 天 下 樂 B推 而 不 厭。
レ レ
テ ノ ルヲ ハ ニ シ ク フ
以 其 不 爭、故 天 下 11莫 能 與 之 爭。
ニ 一レ ニ レ 一
(注)@不重 思いと感じない。A不害 邪魔と思わない。B推
上におしいただく。
一 書き下せ。
二 口語訳
(1)
大きい河と海が百の河や谷の王であるのは、低い地位にいるからだ。だから、幾百の河や谷の王であることができるのだ。それゆえ、人民の上にあろうと思うならば、その言葉を低くしなければならない。而mm人の先に立とうと思うならば、一身をかれらの後に置かなければならない。
(2)
それゆえ聖人は人民の上にいながら人民はそれを重荷とせず、前に立ちながら自民は害があるとはしない。それゆえに天下はよろこんで彼を指示して、嫌がらない。かれは争うことをしない。だkら、天下は誰ひとり彼と争うことが出来ない。
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 所以 2 能 3 百谷王 4 為 5 聖人 6 後 7 而 8 推 9 厭
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 江海
2 聖人
五 二重線部1〜の文法問題に答えよ。
1 莫
六 傍線部 1〜11の問いに答えよ。
1、2の意味していることは何か。また、何の比喩かそれぞれ記せ。
3 「善下之」はどういうことか。
4、7 どうしようとするのか。
5 指示内容を記せ。
6 指示内容を記せ。
8 指示内容を記せ。
9、10は誰がどういう状態にあることか。
11 (1)「之」の指示内容を記せ。
(2)理由は何か。
構成
(1) 比喩
百谷≥江海 下にいるから王
位置 聖人の心構え
聖人(上)≥人民(下) 人民より言葉はへり下る
聖人(先)≥人民(後) 人民より態度は後回しにする
(2) 位置 人民の感想
聖人(上)≥人民(下) 思いと感じない
聖人(前)≥人民(後) 邪魔と思わない
争わないので争える者はいない
−
聖人(上)≥人民(下)
−
上に頂き厭がらない
主題 他と争わないで謙虚であれば人縫えに立つことができる。
解答
一
(1)江海の能く百谷の王たる所以の者は、其の善くこれに下るを以て、故に能く百谷の王たり。是(ここ)を以て民に上(かみ)たらんと欲すれば、必ず言を以てこれに下り、民に先んぜんと欲すれば、必ず身を以てこれに後(おく)る。
(2)是を以て聖人は、上(かみ)に処(お)るも而(しか)も民は重しとせず、前に処(お)るも民は害とせず。是を以て天下は推すことを楽しんで厭わず。其の争わざるを以って、故に天下能くこれと争う莫し。
三 1 ゆえん 2 よ 3 ひゃっこくのおう 4 た 5 せいじん
6 おく 7 しか 8 お 9 いと
四 1 大きな河と海 2 道家で無為自然の道を体得した人。
五 1 否定
六 1 大きなもの 王 2 小さなもの 人民
3 自分が相手よりも低い位置にいること。
4、7 民の王となろうとすること。
5 聖人 6 民 8 人民
9、10 聖人が民の上・前(王として)に存在すること。
11 (1)聖人
(2)聖人が常にへりくだって相手と争わないようにしているので。