語釈
ノ ハ ニス ヲ タリテ ノ ニ リ
三 十 @輻 1共 一 A轂。当 2其 無、 有 車 之 B用。
二 一 二 一 二 一
テ ヲ テ ル ヲ タリテ ノ 二 リ チテ
C挻 埴 以 為 器。当 3其 無、 有 器 之 用。鑿 D戸 牖
レ レ 二 一 二 一 二 一
テ ル ヲ
以 為 室。
レ
タリテ ノ ニ リ
当 4其 無 有 室 之 用。
二 一 二 一
二 テ スハ ヲ テ セバナリ
故 有 之 以 為 5利、無 之 以 為 6用。 (第十一章)
レ レ
(注)@輻 車の轂と外輪との間を支えている木。A轂 車輪を通すところ。こしき。B用 はたらき。C挻埴 粘土をこねる。D戸牖 戸や窓。
一 書き下せ。
二 口語訳
三十の輻が轂に集まる。其の何もない空間に車の働きがある。粘土をこねて器を作る。其の何もない所に其の働きがある。戸や窓を開けて家を作る。其の何もない所に家の働きがある。
だから、何かがあることから利益を受ける。実は何もない所に働きがある。
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 輻 2 轂 3 為 4 鑿
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 器
2 鑿
五 傍線部1〜6 の問いに答えよ。
1 「共」の字を用いて、ここでの意味に会う熟語を記せ。
2 「其無」の指示内容を記せ。
3 「其無」の指示内容を記せ。
4 「其無」の指示内容を記せ。
5「利」と6 「用」はどのような関係にあるか。
構成
轂 =空 車としての働き
器物 =空 器物としての働き
空 =空 室としての働き
形ある物=形のないもの 働き
主題 形なきものが形あるものの役に立つ
無用の用
解答
一
三十輻一轂を共にす。その無に当たりて、車の用あり。埴を埏ねてもって器を為る。その無に当たりて、器の用あり。戸牖を鑿ちてもって室を為る。その無に当たりて、室の用あり。故に有のもって利をなすは、無のもって用をなせばなり。
三 1 ふく 2 こく 3 つく 4 うが
四 1 器物。2 穴を掘る。穴をあける。
五 1 共有 共用 2 轂の内部の空虚なこと。 3 器物の内部の空虚なこと。
4 室の内部の空虚なこと。
5 形有る道具が役に立つのは、其の道具の形のない部分が働きをなしているためだ。