語釈
ハル シム ヲ
代 悲 白 頭 翁
下 二 一 上 劉 廷芝
語釈
(1)
ハ ニ ノ
第一句 洛 陽 城 東 桃 李 花
ビ タリ ビ リテ ツ ガ ニカ
第二句 飛 來 飛 去 落1誰 家。
二 一
(2)
ノ シム ヲ
第三句 洛 陽 女 児1惜 顔 色
二 一
ッテ ニ ク ス
第四句 行 逢 落 花2長 嘆 息
レ
(3)
チテ マリ
第五句 今 年 花 落3顔 色 改。
イテ タ カ ル
第六句 明 年 花 開 復 誰 在
ニ ル カレテ ルヲ ト
第七句 已 見@松 柏 摧 為 薪。
レ
ニ ク ル ト
第ハ句 更 聞 桑 田 変 成 海。
レ
(注)@松柏 (檜類の総称)は常緑高木で樹齢の長いものの代表とされる。
一 詩について。
1 形式
2 韻字
3 対句
二 書き下せ。
第一句
第二句
第三句
第四句
第五句
第六句
第七句
第ハ句
三 口語訳
第一句 洛陽の町の東に桃李の花が咲いている
第二句 飛んだり去ったり誰の家に落ちるか、
第三句 洛陽のおとめは容貌が衰えるのを惜しむ
第四句 みちみち落花にあいて長く嘆息する
第五句 今年花落ちて容貌も今までと変わって
第六句 来年は花が開いてまた誰が生きているか
第七句 すでに見る、松柏が砕かれて薪と為るのを
第ハ句 更にこう言うことも聞く、桑の田は海になると
四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 洛陽 2 落花 3 松柏 4 桑田
五 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 城
2 桃李
3 女児
4 顔色
六 二重線部1の文法問題に答えよ。
1 誰
七 傍線部1〜3の問いに答えよ。
1 どういうことを言っているか。
2 なぜか。
3 どういうことを言っているか。
解答
一 1 七言古詩 2 花 家 色 息 改 在
二 第五句と第六句 第七句と第ハ句
(1)
第一句 洛陽城東桃杏の花
第二句 飛び來り飛び去って誰が家に落ちる
(2)
第三句 洛陽の児女は顔色を惜しみ
第四句 行く行く落花に逢うて長嘆息す
(3)
第五句 今年花落ちて顔色改まり
第六句 明年花開いて復た誰か在る
第七句 已に見る松柏の摧かれて薪と為るを
第ハ句 更に聞く桑田の変じて海と成るを
四 1 らくよう 2 らっか 3 しょうはく 4 そうでん
五
1 城壁をめぐらした街。2 ももとすもも。 3 おとめ。 4 顔色。 かおつき。
六 1 疑問 た 誰
七 1 容貌が衰えて行くのを気にしている。 2 落花は容貌の衰えを表す。
3 容貌も今までと変わる。
(4)
シ タ ノ ニ
第九句 古 人1無 復 洛 城 東
二 一
ッテ ス ノ ニ
第十句 今 人 還 対 落 花 風
タリ
第十一句 年 年 歳 歳 花 相 似
ジカラ
第十二句 歳 歳 年 年 人 不 同
レ
ス ヲ ノ
第十三句 寄 言 全 盛1紅 顔 子
レ
二 レム ノ
第十四句 2応 憐 半 死 白 頭 翁
レ
漢詩様式
(注)
一 詩について。
1 韻字
2 対句
二 書き下せ。
第九句
第十句
第十一句
第十二句
第十三句
第十四句
三 口語訳
第九句 昔の人は洛城の東に居ない
第十句 今の人がやはりこうして落花の風になっている
第十一句 毎年毎年花は同じように咲く
第十二句 毎年毎年人は同じではない
第十三句 聞け、かつての若者も
第十四句 きっと憐れな半死の白髪の老人だ
四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 年年歳歳 2 歳歳年年 3 紅顔子 4 白頭翁 5 古人
五 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 古人
2 紅顔
六 二重線部1〜2の文法問題に答えよ。
1 無 復
2 応
七 傍線部1の問いに答えよ。
1 最終的にどうなると言っているか。
解答
一 1 東 風 2 第九句と第十句 第十一句と第十二句 第十三句と第十四句
二
第九句 古人復洛城の東に無く
第十句 今人還対す落花の風
第十一句 年年歳歳花相い似たり
第十二句 歳歳年年人同じからず
第十三句 言を寄す全盛の紅顔子
第十四句 応に憐れむべし半死の白頭翁
四 1 ねんねんさいさい 2 さいさいねんねん 3 こうがんし 4 はくとうおう 5 こじん
五 1 昔の人。2 年若い少年。
六 1 否定の強調 復た〜なし 決して〜ない 2 再読文字 応に〜べし きっと〜だろう
七 白頭翁
(5)
ノ ニ シ レム
第十五句 此 翁 白 頭 真 可 憐
レ
ノ
第十六句 伊 昔 紅 顔 美 少 年
ノ
第十七句 @公 子 王 孫 芳 樹 下
ス ノ
第十八句 清 歌 妙 舞 落 花 前
ノ キ ヲ
第十九句 A光 祿 池 台 開 錦 繍
二 一
ノ ク ヲ
第二十句 B将 軍 楼 閣 画 神 仙
二 一
シテ ニ シ
第二十一句 一 朝 臥 病 無 相 識
レ 二 一
ノ ル ガ ニ
第二十二句 B三 春 行 楽 1在 1誰 辺
二 一
タル ク ゾ
第二十三句 C宛 転 蛾 眉 能 2幾 時
ニシテ レテ シ ノ
第二十句 須 臾 D鶴 髪 乱 如 糸
レ
ダ ル ノ
第二十五句 3但 看 古 来 歌 舞 地
ダ ル ノ シム
第二十六句 4惟 有 黄 昏 2鳥 雀 悲
ル 一
漢詩様式
(注)@公子王孫 王侯貴族お子弟。A光祿池台開錦繍 漢の光禄勲が贅沢を窮め家kの中に見晴らし台を作ったという故事。B将軍楼閣画神仙 後漢の大将軍が豪華な邸宅を作ったという故事。B三春 春三月。春C宛転蛾眉 しなやかに曲がったン長く美しい眉。美人のこと。D鶴髪乱如糸 鶴のはねのように白い髪。
一 詩について。
1 韻字
2 対句
二 書き下せ。
第十五句
第十六句
第十七句
第十八句
第十九句
第二十句
第二十一句
第二十二句
第二十句
第二十一句
第二十二句
第二十三句
第二十四句
第二十五句
第二十六句
三 口語訳
第十五句 この老人は白髪は本当に気の毒だ
第十六句 これも昔は紅顔の美少年だった
第十七句 公子王孫と花の咲く木の下にいた
第十八句 落花の下清らかに歌い巧みに舞った
第十九句 光祿の池台に錦繍を開いたように華やかだ
第二十句 将軍の楼閣に神仙を画いたようだ
第二十一句 ある日病に臥して、識っている人もいない
第二十二句 春三か月の行楽は誰の所にあるのだろう
第二十三句 長く美しい眉はいつまで美しさを保てるだろうか
第二十四句 僅かの間に白い髪は糸のように乱れている
第二十五句 昔の歌舞の地を只見るだけだ
第二十六句 ただ黄昏時に雀などの小鳥が悲しんでいる
四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 芳樹 2 清歌 3 妙舞 4 一朝 5 相識 6 黄昏
五 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 清歌
2 妙舞
3 一朝
4 相識
5 蛾眉
6 須臾
六 二重線部1〜4の文法問題に答えよ。
1 誰
2 幾時
3 但
4 惟
七 傍線部1、2の問いに答えよ。
1 どういうことを言っているか。
2 誰の気持ちを述べているか。
構成
(1) 洛陽 桃李の花
(2) 洛陽 娘―容貌の衰えを惜しむ 落花―嘆く
(3) 今年 花落ち 容貌衰える 来年 誰がいるか
松柏は薪になる 桑田は海になる
(4) 昔の人―町の東にいない 今の人―風になる
毎年 花は同じように咲く 毎年 人は同じでない
全盛の若者は半死の白頭翁になる
(5) 翁の白髪は気の毒だ これが美少年の姿だ
邸宅の歌舞音曲は今はない
ある日病にかかり知りあいもない 行楽は誰のところにあるのか
美しかった眉もなく 白髪頭が有るだけだ
昔の歌舞の地には雀が悲しんでいる
主題 栄華のはかなさ
解答
一 1 憐 年 前 仙 辺 時 糸 悲
2 第十五句と第十六句 第十七句と第十八句 第十九句と第二十句 第二十一句と第二十二句
第二十三句と第二十四句
二
第十五句 此れ翁白頭真に憐れむべし
第十六句 伊れ昔紅顔の美少年
第十七句 公子王孫と芳樹の下
第十八句 清歌妙舞す落花の前
第十九句 光祿の池台錦繍を開き
第二十句 将軍の楼閣に神仙を画く
第二十一句 一朝病に臥しては相識る無し
第二十二句 三春の行楽誰が辺にか在る
第二十三句 宛転たる蛾眉能く幾時ぞ
第二十四句 須臾にして鶴髪乱れて糸の如し
第二十五句 但看る古来歌舞の地
第二十六句 惟だ黄昏鳥雀の悲しむ有るのみ
四
1 ほうじゅ 2 せいか 3 みょうぶ 4 いっちょう 5 そうしき 6 こうこん
五
1 清らかな歌。 2 巧みに舞う。 3 有る日。 4 知り合い。 5 美しい眉。美人。
6 僅かの間。
六 1 疑問 誰か 誰が〜か。 2 疑問 幾時ぞ どれくらいの時間か。
七 1 今老人のところに行楽はない。 2 老人の気持ち。