桃 夭
語釈
タル タリ ノ
1桃 之 夭 夭 2灼 灼 其 華
ノ ニ グ シカラン ノ ニ
之 子 于 帰 A宜 3其 室 家
二 一
タル リ タル ノ
桃 之 夭 夭 4B有 賁 其 実
レ
ノ キ グ シカラン ノ ニ
之 子 于 帰 宜 5其 家 室
二 一
タル ノ たり
桃 之 夭 夭 6其 葉 蓁 蓁
ノ キ グ シカラン ノ ニ
之 子 于 帰 宜 7其 家 人
ニ 一
(@詩経)
(注)@詩経 中国最古の詩集。孔子の編とされる。古代の民謡や周王朝の歌など、三百五編の作品が収められている。五経のひとつ。A宜 しっくりする。B有賁 果実が大きいさま。
一 詩について。
1 形式
2 韻字
二 書き下せ。
第一句
第二句
第三句
第四句
第五句
第六句
第七句
第ハ句
第九句
第十句
第十一句
第十二句
三 口語訳
第一句 桃の木は若々しく
第二句 その花はもえたつように輝いている
第三句 この娘が嫁いでいったら
第四句 嫁ぎ先にふさわしい妻となるだろう
第五句 桃の木は若々しく
第六句 その実ははちきれんばかりに大きい
第七句 この娘が嫁いで行ったら
第ハ句 嫁ぎ先にふさわしい良い妻になるだろう
第九句 その木は若々しく
第十句 その葉は盛んに茂っている
第十一句 この娘が嫁いでいったら
第十二句 嫁ぎ先の人々に喜ばれる良い妻になるだろう
四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 夭夭 2 灼灼 3 蓁蓁 4 家人 5 宜
五 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 夭夭
2 灼灼
3 室家
4 家室
5 蓁蓁
6 家人
六 傍線部1〜7とAの問いに答えよ。
1(1) 桃の花はいつごろ咲くか。
(2)桃の実がなり、葉が茂るのはいつごろか。
(3)桃の花が咲き、実がなり、葉が茂るこの季節は、古代人の生活にとってどのような意味があるか。
(4)桃は何の比喩として描かれているか。
2、4、6はそれぞれどのようなことを暗示しているか。
3、5、7 (1)どういうことを意味しているか。
(2)誰の思いが述べられているか。
(3)「室家」から「家室」に語順が変わっているのはなぜか。
A この詩に用いられている修辞法を二つ記せ。
*桃 春に花咲く。赤白の花。果汁多く甘い。実=長寿の祝い。枝=不吉を除くと門にかける。
中国では理想郷の木。陶潜「桃源郷」
構成
桃 娘
第一句 桃の花は美しい
第二句 盛んに咲く
第三句 この子が嫁ぐ
第四句 嫁ぎ先にふさわしい 開花 娘の美貌
第五句 桃の花は美しい
第六句 その実は大きい
第七句 この子が嫁ぐ
第ハ句 嫁ぎ先にふさわしい 結実 子宝に恵まれる
第九句 桃の花は美しい
第十句 その葉は茂る
第十一句 嫁ぎ先にふさわしい
第十二句 人々に喜ばれる 繁茂 家の繁栄
主題 結婚しようとする娘を祝福
解答
一1 四言古詩
2 華 家、実 室、蓁 人
換韻 ―詩の途中で韻がかわる。
一韻到底―詩の初めから終わるまで同一の韻。
二
第一句 桃の 第二句 灼灼たり其の華 第三句 之の子于き帰ぐ
第四句 其の室家に宜しからん 第五句 桃の夭夭たる 第六句 賁たる有り其の実
第七句 之の子干き帰ぐ 第ハ句 其の家室に宜しからん 第九句 桃の夭夭たる 第十句その葉蓁蓁たり
第十一句 之の子干き帰ぐ 第十二句 其の家人に宜しからん
四 1 ようよう 2 しゃくしゃく 3 しんしん 4 かじん 5 よろし
五 1 若く美しいさま。 2 花が盛んに咲いているさま。 3 家族。 4 家族。
5 草木の盛んに茂るさま。 6 家族。
六 1(1)三月下旬。 (2)六月中旬。 (3)結婚の季節。(4)嫁入り前の若い娘。
2 娘の美貌。 4 子宝に恵まれること。 6 一門の繁栄すること。
3、5、7 (1)嫁ぎ先の家庭にとけこみ仲良く暮らすこと。
(2)娘を嫁がせる親。
(3)「実」と韻を合わせるため。
A 比喩 反復