山 行
杜 牧
語釈
ク レバ ニ メナリ
1遠 上 @寒 山 A石 径 斜
ニ 一
ズル リ
白 雲 生 処 2有 人 家
二 一
メテ ヲ ロニ ス ノ
停 車 B坐 3愛 C楓 林 晩
レ
ハ ナリ ノ ヨリモ
4D霜 葉 E紅 @於 二 月 花
二 一
(三体詩)
(注)@寒山 物寂しい山。 A石径 石の多い小道。 B坐 何とはなしに。C楓 かえでに似て秋に紅葉する樹木。D霜葉 霜によって赤く色づいた木の葉。 E紅於二月花 院月二月に咲く花よりも赤い。
一 詩について
1 形式
2 韻字
3 展開の仕方
二 書き下し文にせよ。
第一句
第二句
第三句
第四句
三 口語訳
第一句 はるばるとさびしくひっそりした山に登っていくと石の多い小道が斜めに(上の方へ)続いている。
第二句 白雲の沸き立つところに(なんと)人家がある。
第三句 車を止めて心の赴くままに夕暮れの楓林に心が引きつけられる。
第四句 霜のために黄や赤に変わった木の葉は二月の花よりも赤い。
四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 山行 2 寒山 3 石径 4 楓林 5 霜葉
五 次の語の意味を辞書で調べよ。
1山行
2 寒山
3 石径
4 霜葉
六 二重線部1の文法問題に答えよ。
1 於
七 傍線部1〜3とA・Bの問いに答えよ。
1 意味として適当な者を選べ。
2 作者の気持ちを記せ。
3 (1)「愛」の意味として適当なものを記せ。
(2)楓林に心引かれた理由の分かる句を抜き出せ。
A 四句には作者のどのような心情がこめられているか。
B この詩の季節の分かる語句を抜き出し、その季節を記せ。
構成
描写 解説 展開の仕方
第一句 寒山 石径 起
遠景
第二句 白雲 人家 承
第三句 楓林 転
近景
第四句 霜葉 結
主題 楓林の=美
自然=色彩的
解答
一 1 七言絶句 2 斜・家・花 3 起承転結
二 第一句 遠く寒山に上れば石径斜めなり
第二句 白雲生ずる処人家有り
第三句 車を停めて坐ろに愛す楓林の晩
第四句 霜葉は二月の花よりも紅なり
四 1 さんこう 2 かんざん 3 せっけい 4 くるまをとどめて 5 ふうりん 6 そうよう
五 1 山歩き。 2 さびしくひっそりとした山。
3 石のおおい小道。 4 霜のために黄や赤に変わった木の葉。
六 比較
七 1 はるばると 2 軽く驚く気持ち。3 心がひきつけられる。
A 春の「二月の花」の明るさより秋の紅葉の落ち着いた色合いに深い味わいを感じ陶酔している。
B 「霜葉」晩秋
@ 江 南 春
杜牧
キテ ズ ニ
千 里 鶯 啼 緑 映 紅
レ
ノ
水 村 山 郭 酒 旗 風
A 南 朝 B四 百 八 十 寺
ノ ノ
多 少 楼 台1 煙 雨 中
(注)@江南 長江の下流域全体をさす。A南朝 江南の建康{(今の南京)を都とした宋
・斉・梁}・陳{(420〜589年})を言う。B四百八十寺 南朝の頃には四百八十寺があったと伝えられる。
一 詩について。
1 形式
2 韻字
3 展開の仕方
二 書き下し文にせよ。
第一句
第二句
第三句
第四句
三 口語訳
第一句 あちらこちらで鶯が鳴き 木々の緑と花紅が照り映えて、
第二句 水辺の村や山沿いの町には 酒屋ののぼりをなびかす風、
第三句 南朝の 四百八十とも言い伝えられる寺々の、
第四句 いくつもの建物が 霧のように降る春雨の中に(浮かび上がる)。
四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 江南の春 2 鶯 3 山郭 4 酒旗 5 楼台 6 煙雨中
五 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 千里
2 水村
3 山郭
4 酒旗
5 多少
6 楼台
六 傍線部1の問に答えよ。
1 中にあるものは何か。
七 構成
第一句 一望千里 鶯=聴覚 緑・紅=視覚 晴天 はにゃかさ
第二句 点在する村里の旗
第三句 懐古 雨天 おちつき
第四句 名残の寺=幻想的
主題 江南の色彩豊かな春げしき
参考
はぜ釣るや水村山郭酒旗の風(嵐雪) 雪解けややうやう四百八十寺(りょう太)
解答
一 1 七言絶句 2 紅 風 中 3 起承転結
二 第一句 千利鶯鳴いて緑紅に映ず
第二句 水村山郭酒旗の風
第三句 南朝四百八十寺
第四句 多少の楼台煙雨の中
四 1 こうなんのはる 2 うぐいす 3 さんかく 4 しゅき 5 ろうだい 6 えんうのうち
五 1 非常に広い面積。 2 川・湖などの岸辺にある村。 3 山の中の村。
4 酒屋が目印として掲げる旗。(日本)赤提灯。 5 どれほど。 6 楼 二階以上の建物。
六 1 いくつもの寺院の高い建物。