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               シム   ニ

 売 炭 翁― 苦 @宮 市 也          A白 居 易 

                二     一

語釈

(1)                          売 炭 翁

  リ  ヲ   ク   ヲ        ノ

伐 薪 焼 炭 B南 山 中

            レ

         ノ              ノ

(2)1満 面 塵 灰 煙 火 色 

                    トシテ        シ

C両 鬢 蒼 蒼 十 指 黒

     リ  ヲ   テ  ヲ         ノ  ゾ   ム 

売 炭 得 銭 1 2何 所 営 

     レ      レ                レ

        ノ              ノ

身 上 衣 裳 口 中 食

      シ   レム     ノ       ニ  ナルモ 

(3)3可 憐 身 上 衣 正 単

          レ

        ハ  ヘ   ノ  キヲ     フ  ノ  カランコトヲ    

テキスト ボックス: カラン
 トヲ
   心 憂 炭 賤 4願 天 寒

           二      一     二      一

                            ノ

(4)5夜 来 城 外 一 尺 雪 

     ニ    シテ     ニ     ラシム    ヲ

暁 D駕 炭 車 E輾 氷 轍

          二      一     二      一

        レ      ヱテ      ニ   ク

牛 困 人 飢 日 已 高 

       ノ      ノ          ニ  ム

F市 南 門 外 泥 中 歇

          タル           タルハ レ    ゾ 

(5)G翩  6両 騎 来 是 2 

             ノ                ノ

H黄 衣 使 者 I白 衫 児

      ニ  リ      ヲ  ニ   シ    ト 

(6)手 把 文 書 口 称 J勅

           二      一       レ

         ラシ  ヲ  シテ  ヲ   キテ  ムカハシム ニ 

廻 車 叱 牛 牽 向 北

レ      レ           レ

    ノ   ノ   サ       

一 車 炭 重 千 余 K斤 

            リ  テ     シミ 

宮 使 駆 将 9惜 不 得 

          ノ                  ノ

半 L疋 M紅 紗 一 N丈 O綾

 

     ケテ          ニ   ツ   ノ   ニ

繋 P向 牛 頭 充 炭 直

     二           一   ツ      一 

                     (白氏文集)

(注)@宮市 宮中の市場。ここでは、宮中のお買い上げの意。A白居易 772〜846年。忠唐の詩人。字は楽天。B南山 長安の南の終南山C両鬢 耳際の髪の毛。D駕 荷車に牛をつなぐ。E輾氷轍 「轍」は車輪の跡。わだち。荷車は凍てついた轍の上を転がす。F市南門 市場の南の門。G翩翩 動きの軽快なさま。H黄衣使者 黄衣を着た、官位の高い宦官。宮市使をさす。I白衫児 白衣を着た宦官。J勅 皇帝の命令。K斤 重さの単位。一斤は約0、6キログラム。L疋 布を計る単位。一疋は四丈。M紅紗 赤く染めた薄い絹織物。N丈 長さの単位。一丈は約三メートル。O綾 模様を織りだした薄い絹織物。P向 「於」に同じ。

 

一 詩について。

 

1 形式

 

2 韻字

 

二 書き下せ。

 

第一句

 

第二句

 

第三句

 

第四句

 

第五句

 

第六句

 

第七句

 

第八句

 

第九句

 

第十句

 

第十一句

 

第十二句

 

三 口語訳

第一句  炭売り翁

第二句  薪を伐り炭を焼く南山の中 

第三句  満面塵灰で煙にすすける 

第四句  両方の鬢は白髪になりかかり十本の指は墨で黒い 

第五句  炭を売り銭を得て何にするのか 

第六句  身の衣裳と口にする食物だ 

第七句  かわいそうに身には単しかない

第ハ句  心に炭が安いことを憂え寒さを願う

第九句  昨夜から城外には一 尺の雪が積もる 

第十句  暁に荷車に炭を積み、凍てついた轍の上を転がす

第十一句 牛は疲れ人は飢え日は已に高い 

第十二句 市の南門の外の泥の中に休む 

第十三句 翩翩たる両騎が来たが是れは誰だ 

第十四句 黄衣の使者と白衫の児だ 

第十五句 手に文書をとり口に勅だと称す 

第十六句 車を廻らして牛をしかって北に向かって引いていく

第十七句 一台の牛車の炭は重さ千余斤だ 

第十八句 宮使は追い立てて行く。惜しんでもしかたない 

第十九句 半疋の紅紗と一丈の綾 

第二十 それを牛の頭に繋げて炭の直に充当する

 

四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

1 白居易 2 薪 3 塵芥 4 両鬢 5 蒼蒼 6 憐 7 已

 

8 翩翩 9 白衫児 10 牽 

 

五 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

1 煙火 

 

2 蒼蒼 

 

3 身上

 

4 夜来 

 

六 二重線部1、2の文法問題に答えよ。

 

1 何

 

2 誰

 

七 傍線部1〜9とAの問いに答えよ。

 

1 誰のどのような様子が表現されているか。

 

2 この問いの答えになっている部分を抜き出せ。

 

3 (1)意味は「かわいそうに」だが、この内容はどこからどこまでか。

 

(2)       なぜか。

 

4 この理由を記せ。

 

5 どういう情景か説明せよ。

 

6 誰と誰のことか。

 

7 誰がどちらの方向やるのか。

 

8 対照的に表現されている句の句頭の一字を抜き出せ。また、それはどのような対照か説明せよ。

 

9 内容を説明せよ。

 

A 詩中の時間の経過をあらわした表現を二か所抜き出せ。。 

 

 

 

 

構成

 

    行動              心理

(1)   炭売り爺さん

山中で炭焼き

 

(2)灰と煤にまみれ。衣食のため    あきらめ

 

 

(3)自分は薄着―寒い気候       深刻な悩み

 

(4)大雪の翌朝 長安へ炭売り     いじらしさ

         

         休憩         飢え 疲労不安

 

(5)宮中の役人 炭を挑発

 

(6)車の炭の値打=千余斤

 

   代価=わずか。絹布        期待の大きさと落胆

 

主題 唐王朝の宮市制度の罪悪を暴く。  

 

 

特色 一 色彩豊か 香炉 黒 雪 黄衣 白衫  

     衣服 身分 生活            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

一 1 七言古詩

  2 翁 中   色 黒 食    雪 轍  誰 子

売炭翁

薪を伐り炭を焼く 南山の中

満面の塵灰 煙火の色

両鬢 蒼蒼として 十指黒し

炭を売りて銭を得る 何の営むぞ

身上の衣裳 口中の食

憐むべし 身上 衣 正に単なるを

心に炭の賤きを憂へ 天の寒からんことを願ふ

夜来 城外 一尺の雪

暁に炭車に駕して 氷轍を輾く

牛は困れ人は飢ゑ 日已に高し

市の南門の外 泥中に歇む

翩翩たる両騎 来たるは是れ誰ぞ

黄衣の使者 白衫の

手に文書を把り 口に勅と称す

車を廻らし牛を叱して 牽きて北に向かはしむ

一車の炭の重さ 千余斤

宮使駆り将て 惜しみ得ず

半疋の紅綃 一丈の綾

牛頭に繋けて 炭の直に充つ (白氏文集)

四 1 白易居 2 たきぎ 3 じんかい 4 りょうびん 5 そうそう 6 あわ

  7 すで 8 へんぺん 9 はくさんじ 10 ひ

五 1 物を焼く火。 2 白髪になりかかっている髪の形容。

  3 からだ。 4 昨夜から。

六 1 疑問 いずれの どの 2 疑問 誰か 誰か

七 1 翁の、顔はどこも灰がつき、皮膚は煤で黒い様子。

  2 身 上 衣 裳 口 中 食

  3(1)身 上 衣 正 単  心 憂 炭 賤 願 天 寒

  (2)翁は貧しく冬に単しかもっていない。それなのに、炭の値下がりを心配し寒さを望む。

  4 寒ければ墨が高くたくさん売れるから。

  5 昨夜から長安の町の外では一尺も雪が積もったという状態。 6 黄衣の使者と白衫の児

  7 役人が宮中の方へ。 

  8 半 多量の炭を運んできたのに、軽い絹織物と交換されてしまったこと。

  9 売炭翁のあきらめきれない悔しい気持ち。

  A 暁 日已高