長 恨 歌 白 居 易
1
語釈
ンジテ ヲ フ ヲ
@
1漢 皇 重 色 思 B傾 国
レ 二 一
ムレドモ
C
御 宇 多 年 求 不 得
レ
ニ リ メテ シ
D
2楊 家 有 女 初 長 成
レ
ハレテ リ ニ ダ ラ
養 在 深 閨 人 1未 識
二 一 レ
ノ ハ ク ラ テ
天 生 麗 質 難 自 棄
二 一
バレテ リ ノ ニ
一 朝 選 在 君 王 側
二 一
ラシテ ヲ スレバ ジ
回 頭 一 笑 百 媚 生
レ
ノ シ
六 宮 粉 黛 無 顔 色
二 一
(注)@長恨歌 この詩の前につけた前の進士の陳鴻の作なる長恨歌伝には、806年白楽天35歳十二月仙遊寺にゆき王質夫にすすめられての作と記す。 A漢皇 玄宗皇帝のことを憚って呼ぶ。B傾国 絶世の美人。C御宇多年 御宇は天子の治世。740年楊貴妃を娶ったことを多年の語で表す。D楊家有女 楊貴妃は楊玄琰の娘で玄璥の家に養われたと。
一 書き下せ。
二 口語訳
漢の皇帝(実は唐の玄宗)は(もともと)美しい女性を愛して、国を
傾けるような絶世の美人を得たいと思っておられたが
御治世中、長い間、探し求めても得られなかった
(そうしたとき)楊という家に一人の娘がいて、やっと一人前に成長したばかりの年ごろであったが
奥深い女部屋の中で育てられていて、まだだれも知らなかった
しかし、生まれながらの麗しい姿態は、そのまま捨てておかれるはずもなくある日たちまち選び出されて、天子のおそばにお仕えすることになった
(謁見の日)彼女がひとみを巡らせてにっこりほほえむと、この上ないなまめかしさが あふれ
奥御殿の、おしろいとまゆずみの化粧を凝らした多くの美しい宮女たちも、精彩がなくなって美しく見えない有様で あった
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 傾国 2 深閨 3 麗質 4 百媚
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 深閨
2 麗質
五 二重線部1の文法問題に答えよ。
1 未
六 傍線部1、2の問いに答えよ。
1 漢皇の堕落した生活の様子を抜き出せ。
2 楊家のときめく様子を抜き出せ。
解答
一
をんじて をふ
むれどもず
にり めてし
はれてにり だらず
のは らてく
ばれて のにり
をらしてすれば じ
の黛 し
三 1 けいこく 2 しんけ 3 れいしつ 4 ひゃくび
四 1 奥深いとkろにある女性の部屋。 2 生まれつきの美しさ。
五 1 再読文字 未だ〜ず まだ〜ない
六 1 春宵苦短日高起 従此君王不早朝
2 姉妹弟兄皆列土 可憐光彩生門戸
2
クシテ フ ヲ ノ
春 寒 賜 浴 @華 清 池
レ
ラカニシテ フ ヲ
温 泉 水 滑 洗 A凝 脂
二 一
ケテ コスニ トシテ シ
A 侍 児 扶 起 C嬌 無 力
レ
メテ レ タニ クル
始 是 新 承 1恩 沢 時
二 一
雲 鬢 花 顔 D金 歩 揺
ノ カニシテ ル
芙 蓉 帳 暖 度 春 宵
ニ 一
ダ ク クシテ ク
春 宵 苦 短 日 高 起
リ レ セ
従 此 2君 王 不 早 朝
レ ニ 一
ケ ヲ シテ ニ ク
承 歓 侍 宴 無 間 暇
レ レ 二 一
ハ ヒ ノ ビニ ハ ランス ニ
春 従 春 遊 夜 専 夜
二 一 レ
ノ
E 後 宮 佳 麗 三 千 人
ノ リ ニ
三 千 寵 愛 在 3一 身
二 一
ヒ リテ トシテ シ ニ
F 金 屋 粧 成 嬌 侍 夜
レ
ミテ ヒテ ス ニ
玉 楼 宴 罷 酔 和 春
レ
ス ヲ
姉 妹 弟 兄 皆 列 土
レ
シ ム ノ ズルヲ ニ
可 憐 光 彩 生 門 戸
レ 二 一
ニ ム ノ ノ ヲシテ
遂 1令 天 下 父 母 心
二
ンゼ ムヲ ヲ ンゼ ムヲ ヲ
不 重 生 男 重 生 女
レ レ レ 一レ レ
(注)@華清池 廬山にあった華清宮中の温泉。A凝脂 固まった油、真っ白な皮膚の形容。B侍児 付き添いの女。C嬌 うつくしいい、なまめかしい。D金歩揺 金製の簪。E後宮 宮女のいる宮殿。F金屋 黄金造りの立派な家。
一 書き下せ。
二 口語訳
一
春のまだ寒いころ、天子は楊貴妃に華清宮の温泉に入ることを 許されたが
温泉の水は滑らかで、引き締まった脂のような白い肌に注ぎかかった
侍女たちがそばから助け起こすと、なまめかしくなよなよとして立ち上がる力もないほどで
これが初めて天子の御寵愛を受けるようになったときのことであった
雲のように豊かな黒髪、花の開いたように美しい顔、そしてきらきらと揺れる黄金のかんざし(を挿した楊貴妃は)
蓮の花の縫い取りをした帳の中で暖かに、春の夜を(天子と)過ごした
春の夜の短く明けやすいのを恨みつつ、日も中天に上がってからお起きになるという有様で
これ以後、天子は早朝の政務をおとりにならなくなった
(彼女は)天子のお気に入り、宴会の席にはべり、少しのひまもなく
春は春の遊びのお供をし、夜は夜でただ一人でお仕えする
後宮には麗しい美人が三千人もいたが
その三千人に分けられるべき天子の寵愛を楊貴妃ただ一人に注がれた
黄金造りの御殿(楊貴妃の私室)で化粧を凝らし、なまめかしい姿で夜の宴の席にはべり
玉の高殿での宴が果てるころには、うっとり酔うて春の気分に溶け込む
楊貴妃のゆかりの姉妹も、みな貴族となって、領土を連ねて栄え
(そして)まあなんと(うらやましいことに)栄光は一門に輝いたのである
かくて天下じゅうの父母たちに
男を生むことを重 んじないで、 女を産むことを大事に思うようにさせてしまった
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 華清池 2 凝脂 3 恩沢 4 雲鬢 5 芙蓉 6 春宵 7 寵愛 8 遂
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 帳
2 早朝
3 佳麗
五 二重線部1の文法問題に答えよ。
1 令
六 傍線部1〜3の問いに答えよ。
1 同じ意味の語句を抜き出せ。
2 誰のことか。
3 誰のことか。
解答
2
一
ハル寒くして をふ の
らかにして をふ
けこすに としてし
めてれ たにをくる
のかにして る
だく くしてく
れより せず
をけ にして く
はのびにひ 夜は夜をらにす
の
の にり
ひりて としてにし
みて ひてにす
をす
むべし のにずるを
にののをして
をむをんぜず をむをんぜしむ
三 1 かせいのいけ 2 ぎょうし 3 おんたく 4 うんびん 5 ふよう 6 しゅんしょう
7 ちょうあい 8 つい
四 1 垂れ幕。2 朝の政務。 3 美人。
五 使役 令 AをしてBせしむ AにBさせる
六 1 寵愛
2 玄宗皇帝
3 楊貴妃
3
キ リ ニ
@
驪 宮 高 処 入 青 雲
二 一
ニ リテ ニ コユ
仙 楽 風 飄 処 処 聞
ラシ ヲ
A緩 歌 慢 舞 凝 糸 竹
二 一
レドモ ラ
尽 日 君 王 看 1不 足
レ
ノ カシテ ヲ タリ
B 1漁 陽 D鼙 鼓 動 地 来
レ
C 驚 破 E霓 裳 羽 衣 曲
(注)@驪宮 華清宮。A緩歌慢舞 緩やかな調子の歌と舞。B漁陽 いま河北省のあたりの郡名。安禄残の根拠地。C鼙鼓 騎兵がb上で鳴らす施攻めつつみ。D驚破 おどろかす。E霓裳羽衣曲 713〜4年に楊敬述が使った曲で、もとバラモンと言った。
一 書き下せ。
二 口語訳
蔑山の一ふもとの一宮殿の高くそびえ立つ辺りは雲に突き入り
仙界の音楽のような妙なる音楽は風に吹かれてあちこちに聞こえている
緩やかに歌い、のびやかに舞い、琴や笛の調べを緩く奏でるさまを
天子は一日じゅう見ていても見飽きられることがなかった
そのとき突如として、安禄山が、漁陽から陣太鼓を打ち鳴らし大地を揺るがして攻め上ってきて
霓裳羽衣の天人の舞曲を楽しんでいるのを仰天させ た
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 青雲 2処処 3 糸竹 4 鼙鼓 5 霓裳羽衣曲
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 仙楽
2 処処
五 二重線部1の文法問題に答えよ。
1 不
六 傍線部1の問いに答えよ。
1 この史実を記せ。
解答
一
き にり
にりて にこゆ
をらし
れどもらず
の鼙 鼓 をかしてたり
す の
三 1 せいうん 2 しょしょ 3 しちく 4 へいこ 5 げいしょうういのきょく
四 1 仙界の音楽のような美しい音楽。2 いたる所。
五1 否体 ず ない
六 1安禄残の乱
4
ノ ジ
@
九 重 城 闕 煙 塵 生
ニ ク
A千 乗 万 騎 B西 南 行
トシテ キテ タ マル
C翠 華 揺 揺 行 復 止
ノカタ ヅルコト ヲ
D
西 出 都 門 百 余 里
二 一
セ ク トスル
E
六 軍 不 発 無 1奈―何
レ 二 一
タル ニ ス
F
宛 転 蛾 眉 1馬 前 死
テラレテ ニ ク ノ ムル
花 鈿 委 地 無 人 収
レ 二 一
G
翠 翹 金 雀 玉 掻 頭
ヒテ ヲ ヒ
2君 王 掩 面 救 不 得
レ レ
ラセバ ヲ シテ ル
回 首 3血 涙 相 和 流
レ
(注)@九重 天子のいる所。A千乗 もとは諸侯の国のこと。B西南行 玄宗が756年長安より逃れたことを言う。C翠華 翡翠の羽で作った旗。天子の旗。D西出都門百余里 長安の西楊国忠楊貴妃の殺された所。
E六軍 周礼に王六軍とあって国王の全軍隊のこと。F宛転蛾眉宛転蛾眉 宛転はやわらかに自由に動くさま。H翠翹 カワセミの羽の首かざり。
一 書き下せ。
二 口語訳
奥深い宮城の中には今や煙と塵が立ち上ると
天子は多くの車と騎兵の大軍を引き連れて西南(蜀の成都)へと落ち延びて行った
かわせみの羽で飾った天子の旗は、ゆらゆらと揺らぎ、進んでは再びとどまって
都の城門を西に百里余りの出た所に着いた
ところが近衛の大軍はここからは進んでいかず、どうしようもなくて
まろやかな曲線を描く眉の美人の楊貴妃は天子の馬前で死んでしまった
花模様のかんざしは地に捨てられたままで、だれも拾い上げる人とてなく
かわせみの羽の髪飾りも、黄金造りの孔雀の形をしたかんざしも、玉で作ったこうがいも、同じく散乱したままである
天子は見かねて顔を袖で覆ったまま、救おうにも救えず振り返って見ると、血を交えた涙が流れるばかりであった
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 煙塵 2 翠華 3 揺揺 4 奈何 5 血涙
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 血涙
五 二重線部1の文法問題に答えよ。
1 奈何
六 傍線部1、2の問いに答えよ。
1 主語を記せ。
2 誰のことか。
3 誰の涙か。
解答
一
の じ
にく
として きてたまる
のかた をづること
せず ともするく
たる にす
地にてられて のむるく
をひて ひず
をらせば してる
三 1 えんじん 2 すいか 3 ようよう 4 いかん 5 けつるい
四 1 血の涙を流す。
五 疑問 いかん どうか
六 1 楊貴妃 2 玄宗皇帝 3 玄宗皇帝
5
黄 埃 散 漫 風 蕭 索
@ 雲 桟 A栄 紆 登 B剣 閣
C峨 嵋 山 下 少人 行
旌 旗 無 光 日 色 薄
蜀 江 水 碧 蜀 山 青
聖 主 朝 朝 暮 暮 1情
行 宮 見 月 2傷 心 色
D夜 雨 聞 鈴 3腸 断 声
(注)@雲桟 雲まで届くほど高いかけはし。A栄紆 まわりくねる。B剣閣 四川省剣閣県にある難所。大小剣山の間に桟道がある。C峨嵋山 四川省峨嵋県の西にある名山。ここではただ蜀の山の代表としてもちいる。D夜雨聞鈴 明星雑禄に、玄宗が桟道で雨中に鈴の音を聞き、雨霖鈴の曲を作ったとある。
一 書き下せ。
二 口語訳
やがて 騒ぎが収まると、行列は、黄色い砂塵が一面に舞い上がり、風
が物寂しく吹く中を進んで雪行き、
雲に届くような高い懸け橋の曲がりくねった道を剣閣山へと登ってゆく
娥眉山のほとりの成都にたどり着くと、道行く人もほとんど無く
天子の旗も今は色あせて光なく、日の光までも弱々しく薄く感じられる
蜀の川は深みどりの色をし、蜀の山は青緑色をしており、それを眺めるにつけても
天子は朝な夕な、楊貴妃を恋い慕って悲しまれた
そして仮の御所で、月の光を見れぱ心を痛ませる御様子である
雨の夜に駅伝の鈴の音を聞くと、はらわたを断ち切られるような思いでいらっしゃる
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 黄埃 2 剣閣 3 峨嵋山 4 朝朝暮暮 5 行宮
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 行宮
2 朝朝暮暮
五 傍線部1〜の問いに答えよ。
1 誰の気持か。
2、3 誰のどういう気持か。
解答
一
黄
にる
のくことなり
く し
は にして はく
の
にをれば をましむるあり
にをけば つあり
三 1 こうあい 2 けんかく 3 がびさん 4 ちょうちょうぼぼ 5 あんぐう
四 1 天子が旅行先で住まう仮の宮殿。
2 毎朝毎晩。
五 1 玄宗皇帝。
2 玄宗皇帝の楊貴妃を慕う気持ち。
6
@ 天 旋 地 転 回 竜 馭
到 1此 躊 躇 1不 能 去
馬 嵬 坡 下 泥 土 中
不 見 2玉 顔 空 死 処
3君 臣 相 顧 尽 4沾 衣
東 望 都 門 信 馬 帰
(注)@天旋地転 唐軍が両京を取り返したこと。「回竜馭」は、玄宗と粛宋が長安に還ることを表す。
一 書き下せ。
二 口語訳
戦乱が治まり、天下の情勢が変わると、天子は車を都に向け帰還されることになったが
途中馬嵬の地に差し掛かると、行きつ戻りつ立ち去りかねた
馬嵬の坂道のほとりの土の中には(楊貴妃が葬られ)
かつての玉のように美しい顔は二度と見られず、楊貴妃の亡くなった跡が空しく残っているばかりであった
天子も家来も互いに振り返りして、涙で旅衣の袖を濡らし
東の方、都の城門を望みながら、馬の進むに任せて力なく帰ってゆく
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 竜馭 2 躊躇 3 馬嵬坡 4 玉顔 5 君臣
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 躊躇
2 玉顔
五 二重線部1〜の文法問題に答えよ。
1 不 能
六 傍線部1〜4の問いに答えよ。
1 指示内容を記せ。
2 誰の顔か。
3 誰と誰か。
4 どういうことか。
解答
一
天旋り じて をらす
にりて して ることはず
の の
をず しくせし
みて くをす
のかたをみ にせてる
三
1 りゅうぎょ 2 ちゅうちょ 3 ばかいは 4 ぎょくがん 5 くんしん
四
1 ためらう。 2 女性の美しい顔。
五
否体 よく〜ず できない
六 1 馬嵬坡。 2 楊貴妃。 3 玄宗皇帝と家来。 4 ともに涙を流す。
7
リ タエバ ル ニ
帰 来 池 苑 皆 1依 旧
ノ ノ
@ 2太 液 芙 蓉 A未 央 柳
ハ ク ノ ハ シ ノ
芙 蓉 如 面 柳 如 眉
レ レ
シテ ニ ゾ ラン レ
対 3此 1如―何 不 4涙 垂
レ ニ 一
ク
春 風 桃 李 花 開 夜
ウル
秋 雨 梧 桐 葉 落 時
ニ ク
A 西 宮 南 苑 多 秋 草
二 一
チテ ニ ハ
宮 葉 満 階 5紅 不 掃
レ レ
ノ タニ
C 梨 園 弟 子 白 髪 新
ノ イタリ
D 椒 房 阿 監 E青 娥 老
ニ ビテ ヒ
夕 殿 蛍 飛 思 悄 然
ゲ クシテ ダ サ リヲ
孤 灯 挑 尽 2未 成 眠
レ レ
タル メテ キ
遅 遅 鐘 鼓 初 長 夜
タル スル ケント
耿 耿 F星 河 欲 曙 天
レ
ノ ヤカニッシ ク
G 鴛 鴦 瓦 冷 霜 華 重
ノ クシテ ト ニセン
H 翡 翠 衾 寒 誰 与 共
タル レテ タリ ヲ
I 悠 悠 生 死 別 6経 年
テ タリテ ラ ニモ
7魂 魄 不 曾 来 入 夢
ニ 一レ
(注)@太液 唐の太波池は大明宮の含涼殿の後ろにあった。A未央 漢の宮殿の名をかりている。B西宮南内 太上皇となった玄宗は初め興慶宮に置かれついで西内の甘露殿に移された。C梨園弟子 唐書礼楽志に玄宗は歌舞の子弟三百を選んで梨園で教え、皇帝の梨園の弟子と称したと見える。D椒房阿監 椒房は皇后の居処。E青娥 青く美しい眉。F星河 天の川、銀河。G鴛鴦瓦 瓦の対になっているもの。H翡翠衾 翡翠を刺しゅうしたふとん。I悠悠 果てしなく遠いさま。
一 書き下せ。
二 口語訳
宮中に帰ってみると、池も庭も皆昔のままであり
太液池の蓮の花も、未央宮の柳も変わりなく
蓮の花は在りし日の楊貴妃の顔のようだし、柳の葉は眉のようで
これを見るにつけ、どうして涙のこぼれないことがあろう。涙を流さずにはいられなかった
暖かな春風に誘われ、桃やすももの花が開く夜
秋の雨に青桐の広葉が落ちるときなども(天子は楊貴妃を思い、特に堪え難い心情にかられる)
西の御殿も南の御所も、秋草が生い茂り
宮殿の庭に落ちた木の葉が階段の上に一面に散り敷いても、その紅葉をだれも掃除しない
かつて梨園で(舞楽を)親しく教えた弟子たちも、このごろめっきり白髪頭になり
若くして美しかった皇后の部屋の監督の女官もすっかり衰えてしまった
夜の御殿に蛍の飛ぶのを見てもしょんぼりと思いにふけり
ただ一つともっている灯火のしんをかき立て、それが燃え尽きても、目はさえて眠られない
時を告げる鐘や太鼓の音が遅く間延びして聞こえて、初めて夜が長く感じられ
やがてかすかにぼんやりと(輝く)天の川の空が早くも明けようとする
おしどりの形の屋根瓦は冷えて、霜の華は真っ白に重そうに厚く降り
かわせみの縫い取りのある夜着も冷え冷えとして、いっしょに寝る人もいない
はるかに遠く生と死の世界に別れてから、長い年月がたったが楊貴妃の
魂魄はこれまで天子の夢にさえ現れることがなかった
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 芙蓉 2 桃李 3 梧桐 4 耿耿 5 鴛鴦 6 翡翠衾 7 魂魄
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 梧桐
2 遅遅
五 二重線部1の文法問題に答えよ。
1 如何
2 未
六 傍線部1〜7とAの問いに答えよ。
1 意味を述べよ。
2 この二句は誰の形容になっているか。
3 指示内容を記せ。
4 誰の涙か。
5 何の色か。
6 このことを最もよく表している二句を抜き出せ。
7 誰の「魂魄」か、誰の「夢」かぞれぞれ記せ。
A 君主がこの女性を思い続け、他の女性をお愛することが全くない様子を表している一句を抜き出せ。
解答
一
帰りたれば にる
の の
はのごとく はのごとし
にして ぞれざらん
く夜
つる
に く
にちて はず
の たに
の いたり
にびて ひ
げくして だりをさず
たる めてき夜
たる 曙けんとする
のやかにして く
のくして とにせん
たる れてをたり
曾てたりてにもらず
三 1 ふよう 2 とうり 3 ごとう 4 こうこう 5 えんおう
6 ひすいのふすま 7 こんぱく
四 1 あおぎり。 2 ちち。
五1 疑問 いかん どうして
2 再読文字 未だ〜ず まだ〜ない
六 1 元のままである。 2 楊貴妃。 3 芙蓉 柳。4 玄宗皇帝。 5 木の葉。
6 梨 園 弟 子 白 髪 新
椒 房 阿 監 青 娥 老
7 誰の「魂魄」 楊貴妃 誰の「夢」玄宗皇帝
A 翡 翠 衾 寒 誰 与 共
8
ノ
@
臨 邛 A道 士 B鴻 都 客
ク テ ヲ ス ヲ
能 以 精 神 致 魂 魄
二 一 二 一
ニ ズルガ ノ ヒニ
為 感 1君 王 C展 転 思
レ 二 一
ニ ム ヲシテ ニ メ
遂 1教 D方 士 E殷 勤 覓
二 一
シ ヲ シテ ニ ルコト ク ノ
排 風 馭 気 奔 如 電
レ レ レ
リ ニ リテ ニ ムルコト ヲ シ
升 天 入 地 求 之 遍
レ レ レ
ハ メ ヲ ハ
上 窮 F碧 落 下 G黄 泉
トシテ エ
2両 処 H茫 茫 皆 不 見
レ
チ ク ニ リ
忽 聞 海 上 有 仙 山
二 一
ハ リ ニ
山 在 虚 無 I縹 緲 間
二 一
トシテ コリ
楼 殿 J玲 瓏 K五 雲 起
ノ トシテ シ
其 中 L綽 約 多 M仙 子
二 一
ニ リ
中 有 一 人 字 玉 真
二 一
ノ ノ トシテ レナリト
雪 膚 3花 貌 N参 差 是
(注)@臨邛 きょうらいさん。四川省の名山。A道士 道教の布教者。B鴻都 漢の宮門のお名。C展転 寝返りする。安眠できない様子。D方士 仙術を行うう者。道士と同じ。E殷勤 ねんごろに心をつくしt。F碧落 天界を言う。G黄泉 地下の泉。人が死ぬと地下に葬られる。H茫茫 遠く広いさま。I縹緲 はるかにかすかなさま。J玲瓏 明らかに美しいさま。K五雲 五色の雲。仙宮をとりまく雲。L綽約 姿の美しいさま。M仙子 侍女。N参差 まあそれかと思われるうぐらい。
一 書き下せ。
二 口語訳
蜀の臨邛の道士で、長安の鴻都門に身を寄せている者がいたが
彼は真心のこもった祈祷で死者の魂魄を招き寄せることガてきるとのことてあった
天子が楊貴妃を恋い慕うあまり、夜も眠られず寝返りばかり打っている、心に同情したので
(玄宗の側近は)彼に命じて念入りに(場貴妃の魂魄を)捜し求めさせることにした
その力士は大空を押し開くようにしながら、気流に乗って、まるで稲妻のように走り
天上に上り地下に潜り、残るくまなく捜し求めた
上は青空の果てまで、地はよみの国まで探し尽くしたが
どちらも広々として果てしなく、楊貴妃の魂魂を見いだすことはできなかった
そのうちに、ふとこんなことを耳にした、「海上に仙人の住んでいる山がある」と
その山は何もない広々とした所に在って
そこの高殿は麗しく輝き、辺りには五色の雲がわき起こり
その中にはたおやかな美しい仙女がたくさんいる
中に一人、字は太真という仙女がいるが雪のような白い肌、花のように美しい顔形は、楊貴妃にどうやら似ているのである
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 臨邛 2 鴻都 3 遂 4 殷勤 5 碧落 6 黄泉 7 縹緲 8 玲瓏
9 綽約 10 玉真
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 精誠
2 魂魄
五 二重線部1の文法問題に答えよ。
1 教
六 傍線部1〜3の問いに答えよ。
1 誰のことか。
2 指示内容を記せ。
3 同義の語を抜き出せ。
解答
一
臨の の客
くをて をす
のひにずるがに
に をしてにめしむ
をし にして ることのごとく
にり にりて をむることし
はをめ は
としてえず
ちく にり
は のにり
として こり
の としてし
中にり は
の の としてれなりと
三 1 りんきょう 2 こうと 3 うい 4 いんぎん 5へきらく 6 こうせん
7 ひょうびょう 8 れいろう 9 しゃくやく 10 ぎょくしん
四 1 純粋なまごころ。 2 霊魂。
五 使役 教AB AをしてBせしむ AにBさせる
六 1 玄宗皇帝。 2 碧落 黄泉 3 玉真。
9
@ 金 闕 A西 廂 叩 B玉 扃
転 教 C小 玉 報 D双 成
聞 道 1漢 家 天 子 使
E 九 華 帳 裏 F夢 魂 驚
攬 衣 推 枕 起 2徘 徊
G 珠 箔 H銀 屏 I邐 迤 開
雲 鬢 半 偏 新 睡 覚
J花 冠 1不 整 下 堂 来
風 吹 仙 袂 K飄 飄 挙
猶 似 霓 裳 羽 衣 舞
L玉 容 寂 寞 M涙 欄 干
梨 花 一 枝 春 3帯 雨
(注)@金闕 宮殿の門。A西廂 廂は廊であるが、本殿の側の房を指すようになった。B玉扃 扃は門のかんぬきだが転じて戸の意味になる。玉で作られた仙宮の扉。C小玉 取り次ぎ役のもの。D双成 同じく側仕えの者の名。E九華帳 九は多くの意。たくさんの花を刺繍したカーテン。F夢魂驚 うたたねしていた魂が目を覚ます。G珠箔 真珠を飾りつけた簾。H銀屏 銀屏風。I邐迤 つらなるさま。J花冠 美しい冠。K飄飄 風に吹かれて舞い上がるさま。L玉容 美し顔。M涙欄干 欄干は涙の流れるさま。
一 書き下せ。
二 口語訳
そこで力士は仙山を訪ね、黄金造りの御殿の西の棟に行って、玉の扉
をたたき案内を乞うて
出てきた侍女の小玉に、更に双成へと、順次に取り次がせた
漢王朝の天子の使者がやってきたと聞いて
いろいろの美しい花模様を縫い取りした帳の中で、夢うつつであった楊貴妃の魂魄はぱっちり目を覚ました
急いで衣を手に取り、枕を押しやって、立ち上がったものの、しばらくためらって、行きつ
やがていくつも重なる玉のすだれ、銀の屏風が次々にずらりと押し開かれた
雲のようにふさふさした髪は、少し乱れて傾き、たった今眠りから覚めたばかりの風情で
花の冠も整えないまま、奥の部屋から階段を下りて現れた
風は仙女の袂を吹いて、ひらひらと翻って上がり
それはまるであの霓裳羽衣の舞をまっているようであった
しかし、その美しい顔はいかにも寂しげで、涙のはらはらと流れるさまは
まさしく、一枝の梨の花の上に、春の細かい雨がはらはらと降り懸かってぬれて
いるかのようであった
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 金闕 2 西廂 3 玉扃 4 徘徊 5 雲鬢 6 花冠 7 飄飄 8 霓裳羽衣
9 玉容 10 梨花
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 寂寞
2 帯
五 二重線部1〜の文法問題に答えよ。
六 傍線部1〜3の問いに答えよ。
1 史実に基づくと何か。
2 主語を記せ。
3 どういうことを言っているか。
解答
一
金闕のに をき
じて をしてにぜしむ
くならく のひなりと
の く
をり をして ちてす
屏邐迤としてく
ばき たにりめたり
へず よりりたる
はをきて としてがり
ほ のにたり
として
をびたり
三 1 きんけつ 2 せいしょう 3 ぎょくけい 4 はいかい 5 うんびん 6 かかん
7 ひょうひょう 8 げいしょううい 9 ぎょくよう 10 りか
四 1 ひっそりとsて静かなさま。 2 身にまといつける。
五 1 否定 ず ない
六 1 唐 2 玉真 3 雨に濡れることを言っている。
10
ミ ヲ ラシテ ヲ ス ニ
含 情 @凝 睇 1謝 君 王
レ レ 二 一
ツナガラ
一 別 音 容 2両 A渺 茫
エ
B 昭 陽 殿 裏 恩 愛 絶
シ
C 蓬 莱 宮 中 日 月 長
ラシテ ヲ メバ ヲ
回 頭 下 望 D人 寰 処
シテ ヲ ル ヲ
不 見 長 安 見 塵 霧
レ 二 一 二 一
ダ ッテ ヲ ハシ ヲ
1唯 将 3旧 物 表 深 情
二 一 二 一
セ テ ラント
D 鈿 合 F金 釵 寄 将 去
ハ メ ヲ ハ
釵 留 一 股 合 一 扇
二 一
ハ キ ヲ ハ カツ ヲ
釵 擘 黄 金 合 分 鈿
二 一 レ
ダ メバ ヲシテ ノ キニ
2但 3令 心 似 金 鈿 堅
三 二 一
ズ ント
天 上 人 間 会 相 見
ミテ レニ ニ ネテ ス ヲ
ミテ レニ ニ ネテ ス ヲ
臨 別 殷 勤 重 寄 詞
レ レ
リ ヒ ノミ ル
詞 中 有 4誓 両 心 知
レ
G七 月 七 日 H長 生 殿
シ ノ
夜 半 無 人 私 語 時
リテハ ニ ハクハ リ ノ ト
在 天 願 作 I比 翼 鳥
レ 二 一
リテハ ニ ハクハ ラント ト
在 地 願 為 J連 理 枝
レ 二 一
ハ ク ハ シキモ リテ ク
天 長 地 久 有 時 尽
レ
ノ ミハ トシテ カラン ユル
此 恨 K綿 綿 無 絶 期
ニ 一
(古文真宝前集
(注)@凝睇 美しい目を見据えて。A渺茫 水のはるかに広いさま。ここは記憶の薄れた様を言うか。B昭陽殿 漢の後宮。また昭陽舎。漢の成帝は超飛燕姉妹をここに置いた。C蓬莱宮 玉真のいる仙境の宮殿。D人寰 人間世界。寰 は天地、天下の意。E鈿合 螺鈿の合わせ箱。F金釵 黄金の二股の簪。G七月七日 唐代この日を七夕節という。乞巧澱を行い、二つにかぎって願をかけることが行われた。H長生殿 廬山の華清宮内の長生殿は神を祭るためで、白楽天は長安や洛陽の長渭生殿が寝殿であるので、間違えたのだ。もともと玄宗の華清宮への行幸は冬または初春に限られていた、と陳寅格は「元白詩箋証稿」で考証している。I比翼鳥 爾雅の釈地に「南方ニ比翼鳥アリ」と見える。J連理枝 二本の枝で理(もくめ)がつづいている。前項ともに夫婦の仲の良い野にたとえる。K綿綿 内続いて絶えぬさま。
一 書き下せ。
二 口語訳
(楊貴妃の霊は天子恋しい)思いを込め、じっと見つめながら、天子
にお礼を申し上げて言った
「(馬嵬駅で)お別れしてからは、お声を聞くことも、お姿を見ることもできず、それらははるかに遠いものとなりました
生前、昭陽殿で受けた御寵愛も今は絶えてしまい
ここ蓬莱宮に来て、もう長い月日が過ぎ去りました
(仙宮から)振り返って下界の人間世界を望みましても長安は見えず、ただ一面塵やもやの立ち込めているのが見えるばかりです
今はただ昔をしのぶ形見の品によって、わたしの深い心の内を(天子に)お示し申したいと思います
それで(かつて天子からいただいた)青貝細工の小箱と黄金のかんざしとをことづけて持っていっていただきましょう
かんざしは一方の足をこちらに残し、小箱はふたとみの一方をこちらに残します
かんざしは黄金造りであるのを二つに裂き、小箱は青貝細工のを分けます
と言いますのは、わたしたちの心が、この黄金や青貝の堅いように、堅く思い合っていさえすれば
今は天上界と人間界とに別れて住んでいましても、いっかはまたきっとお会いできましょう。」と
方士が別れ去ろうとすると、楊貴妃の霊はまた丁寧に重ねてことづてをした
その言葉の中には誓いの言葉があり、それは天子と楊貴妃の二人の心だけが知っているものであった
それは、「ある年の七月七日、長生殿で
夜更けだれもいないとき、ささやき交わしたそのときの
『天上においては、どうか比翼の鳥となりたい
地上においては、どうか連理の枝となりたい。』というものであった」
たとえ天地は長く久しいといっても、いつかは滅び尽きるときもあろう
しかし、この玄宗と楊貴妃の相思別離の悲しい思いばかりはいつまでも続いて絶え果てるときがないであろう
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 音容 2 渺茫 3 昭陽殿裏 4 蓬莱宮中 5 鈿合 6 金釵 7 殷勤
8 比翼鳥 9 連理枝 10 綿綿
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 深情
2 音容
3 私語
五 二重線部1〜3の文法問題に答えよ。
1 唯
2 但
3 令
六 傍線部1〜4とAの問いに答えよ。
1 (1)お礼は誰が誰に言った言葉か。
(2)その内容はどこからどこまでか。
2 誰の何と何のことか。
3 (1)何を指すか。
(2)誰が誰に与えたのか。
4 誓いの言葉はどこからどこまでか。
A 一般的には、自然は永遠で人事は無常と謂われるが、これと逆の事を言っている個所がある。抜き出せ。
解答
一
情をみ をらして にす
つながら
え
蓬莱中 し
をらして のをめば
をずして をる
だをて をはし
せちらしむ
はをめ は
はをき はをかつ
だをして のきにしめば
ずんと
れにみて にねてをす
中ひり のみる
く の
にりては はくはのとり
にりては はくはのとらんと
はくはしきも りてく
のみは としてゆるからん (宝)
三 1 おんよう 2 びょうぼう 3 しょうようでんり 4 ほうらいきゅうちゅう
5 でんごう 6 きんさい 7 いんぎん 8 ひよくのとり 9 れんりのえだ 10めんめん
四 1 相手を深く思う気持ち。 2 声と姿。3 ひそかに話す。
五 1 限定 ただ〜のみ ただ〜だけだ 2 限定 ただ〜のみ ただ〜だけだ 3
3 使役 令AB AをしてBせしむ AにBさせる
六
1 (1)玉真が玄宗皇帝に。 (2)一別〜相見」
2 玄宗皇帝の声と姿。
3(1)鈿合 金釵 (2)玄宗皇帝が玉真に
4 「在天〜理枝」
A 天長地久有時尽
此恨綿綿無絶期
1 2 3 4 5 6 7 8 |
節 |
漢 長安 楊家 宮中 740年 春 華清池 後宮三千人 姉妹兄弟=繁栄 天下の父母=「女を生む。」 華清宮 楽の音 755年 漁陽で反乱 756年 西の城門百里 馬嵬坡 軍隊出発せず 蜀の桟道 剣閣 蛾眉山 川 新緑 山 青々 行宮 月 鈴の音 759年 安禄山=子が殺す 馬嵬坡 東方の都の門 宮中 池 庭 芙蓉 柳 春風 桃李 秋雨 西の御殿 南の御所 教習生=白髪 女官=衰微 蛍 天の川 道士=方士に楊貴妃の姿を捜させる 方士=天地に捜す 仙山 |
場面 |
美人を求める 楊貴妃を娶る 朝政をしなくなる 寵愛 栄華 西南の蜀に向かう 71歳 上って行く 心はれない 感傷的 断腸の思い 立ち去りかねる 涙 傷心 馬を進める 楊貴妃を思う深い悲しみ 独り寝 眠れない 夢にも現れない 眠れない |
玄宗皇帝 |
成長 美人 なまめかしい 柔らかな肌 髪 顔 一身に集まる あでやかな姿 死去 38歳 簪 髪飾り いない 玉真=仙人 楊貴妃 雪の肌 花の顔 |
楊貴妃 |
構成
9 10 |
節 |
方士=仙山訪問 小玉、双成に取り次ぐ 蓬莱宮 |
場面 |
「漢の天子の使いだ」 |
玄宗皇帝 |
玉真 夢うつつ 上衣をとり 枕を押しのけ立ち上がる 歩き回る 目覚めの姿 髪の毛 花の冠 風は袂を吹く 霓裳羽衣の曲 顔に涙=梨花が春雨に 濡れる 玉真 お礼を言う 「声も姿も遠い喪になった。 長い月日 人間世界を見ても長安 ることはできない。 すり貝の箱と金の釵を半 分ずつ持って行け。」 誓いの言葉「比翼の鳥 連理の枝」 切ない恋はいつまでも 続く |
楊貴妃 |
主題 玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋
七言古詩
韻字