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登高 杜甫
語釈
ニ ク ノ クコト シ
1風 急 天 高 猿 嘯 哀
ク ク ビ ル
渚 清 沙 白 2鳥 飛 廻
ノ トシテ リ
A 無 辺 B落 木 C蕭 蕭 下
ノ トシテ タル
不 尽 長 江 D滾 滾 来
ニ リ ト
3万 里 4悲 秋 常 作 E客
レ
リ ル ニ
百 年 多 病 5独 登 台
レ
ダ ム ノ
艱 難 苦 6恨 7繁 霜 鬢
タニ ム ノ
F潦 倒 G新 停 濁 酒 杯
(注)@登高 陰暦九月九日、重陽の日には、人々は小高い場所に登って宴を開き、かわはじかみを頭にかざし、菊花を浮かべた酒を飲んで、厄を払うのを習わしとした。A無辺 はていがないこと。B落木 落葉。C蕭蕭 もの寂しいさま。D滾滾 水が勢いよく流れるさま。E客 旅人。F潦倒 落胆したさま。 G新 近頃〜したばかりだ。
一 詩について。
1 形式
2 韻字
3 展開の仕方
4 対句
二 書き下せ。
第一句
第二句
第三句
第四句
第五句
第六句
第七句
第ハ句
三 口語訳
高台に登る
第一句 風は激しく、天はどこまでも青く高く、猿の鳴き声が悲しく響く。
第二句 長江の渚は清く、砂は白く、その上を鳥が輪を描いて飛びめぐる。
第三句 はてしなく続く落葉樹林はザワザワとものさびし音を立てて葉を落とし続け、
第四句 尽きることのない長江の水はわき立つように盛んに流れてくる。
第五句 故郷を離れて万里、私は秋を悲しみ、来る秋もまた次の秋もさすらいの旅人となり、
第六句 生涯病気がちの身で、(重陽の節句の)今日はひとり高台に登っている。
第七句 これまでのさまざまな苦労のために、びんの毛がひどく白くなったことが恨めし
くてならない。
第八句 しかも近ごろは、(老いと病気のために、わずかな慰めである)濁り酒の杯さえも手にすることをやめてしまったので、私は、いよいよなげやりな気持ちになる。
四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 蕭蕭 2 滾滾 3 艱難 4 繁霜鬢 5 潦倒
五 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 不尽
2 多病
3 艱難
六 傍線部1〜7の問いに答えよ。
1 なぜ風が「急」なのか。
2 なぜ鳥は「飛廻」のか。
3 どこにかかるか。
4 具体的に表現した句を二句抜き出せ。
5 どのような意味が込められているか。
6 何を「恨」むのか。
7 (1)作者のどのような様子を表しているか。
(2)なぜこうなのか。
構成
第一句 風 天 猿 視線 上 景 晩秋
第二句 渚 砂 鳥 視線 下
第三句 落葉 ≒
第四句 長江
第五句 放浪 情 絶望
第六句 老病
第七句 白髪
第ハ句 断酒
主題 絶望
解答
一 1 七言律詩 2 廻 来 台 杯 3 首頷頚尾
4 第一句と第二句 第三句と第四句 第五句と第六句 第七句と第ハ句 全対
二
第一句 風急に天高く猿の嘯くこと哀し
第二句 渚清く沙白く鳥飛び廻る
第三句 無辺の落木蕭蕭として下り
第四句 不尽の長江滾滾として来たる
第五句 万里 悲秋常に客と作り
第六句 百年 多病独り台に登る
第七句 艱難 苦だ恨む繁霜の鬢
第ハ句 潦倒 新たに停む濁酒の杯
四 1 しょうしょう 2 こんこん 3 かんなん 4 なんそうのびん 5 りょうとう
五 1 尽きない。 2 病気がちである。 3 苦しみ。悩み。艱難辛苦
六 1 高台に登っているから。 2 風が急だから旋回する。 3「常作客」 4 第一句と第二句
5 家族や友人がいないこと。6 頭髪を白くしてしまったこと。
7(1)白髪。(2)「艱難」のため。