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江亭 A杜甫
語釈
スレバ カニ
A
坦 腹 江 帝 暖
ノ
長 吟 野 望 時
レ ハ ハ
水 流 心 1不 競
レ
リ ハ ニ シ
雲 在 意 2倶 遅
トシテ ハ ニ レント
寂 寂 春 1将 晩
レ
オシテ ハ ラ ス
欣 欣 C物 自 私
ルコト ダ
故 林 帰 2未 得
レ
ハントシテ エヲ ヒテ ル ヲ
排 3D悶 強 裁 詩
レ レ
漢詩様式
(注)@江亭 川辺の小屋。A杜甫 712~770年。盛唐の詩人。字は子美。B坦腹 あおむいて寝そべる。C物 万物。D悶 心中のもやもやしたもの。
一 詩について。
1 形式
2 韻字
3 展開の仕方
4 対句
二 書き下せ。
第一句
第二句
第三句
第四句
第五句
第六句
第七句
第ハ句
三 口語訳
第一句 仰向いて寝そべると川辺の小屋は暖かい
第二句 声を長くひいて歌い、田野を眺望する
第三句 水は流れ心は競わない
第四句 雲はあり思いはともにゆったりしている
第五句 さびしく静かで春は今にも暮れようとしている
第六句 万物はそれぞれ生きようとしている
第七句 故郷にはまだ帰ることが出来ない
第ハ句 悶えをはらおうとして強いて詩を作る
四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 江亭 2 杜甫 3 長吟 4 倶 5 寂寂 6 欣欣 7 悶
五 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 寂寂
2 欣欣
3 故林
六 二重線部1〜の文法問題に答えよ。
1 将
2 未
七 傍線部1〜3とAの問いに答えよ。
1 何と競わないのか。
2 何とともにか。
3 内容は何か。
A 第二句・第四句は何を表しているか。
構成
第一句 江亭 仰向け
のどかな自然 首
第二句 詩 田野
第三句 水とともに
自然に溶け込む 頷
第四句 雲とともに
第五句 春は暮れる
喜びの自然 頚
第六句 万物は生きる
第七句 故郷へ帰れない
不本意な自己 尾
主題 不本意な自己に対するやりきれなさ
解答
一 1 五言律詩 2 時 遅 私 時 3 首頷頚尾 4 第三句と第四句 第五句と第六句
ニ
第一句 坦腹すれば江帝暖かに
第二句 長吟野望の時
第三句 水流れ心は競はず
第四句 雲り在意は倶に遅し
第五句 寂寂として春は将に暁れんとす
第六句 欣欣として物は自ら私す
第七句 故林帰ること未だ得ず
第ハ句 悶を排はんとして強ひて詩を裁る
四 1 こうてい 2 とほ 3 ちょうぎん 4 とも 5 せきせき 6 きんきん 7 もだ
五 1 寂しく静かなさま。 2 喜ぶさま。 3 古い村。また、もと住んだ村。
六 1 再読文字 将に〜んとす 今にも〜しようとする。 2 再読文字 未だ〜ず まだ〜ない。
七 1 水の流れと。 2 動かない雲と 3 戦乱がおさまらず故郷に帰れないでいること。
A 自然の中に溶け込み一つとなる自己。