語釈
① 黄 鶴 楼 ② 崔 顥
ニ ジテ ニ リ ノ シク ス
昔 人 已 乗 白 雲 去 此 地 １空 余 黄 鶴 楼
二 一
タビ リテ タ ラ シク
黄 鶴 一 去 １不 復 返 白 雲 千 載 空 悠 悠
ニ 一
タリ ノ タリ
晴 川 歴 歴 ③漢 陽 樹 芳 草 萋 萋 ④鸚 鵡 洲
レノ カ レナル ム ヲシテ ヘ
日 暮 郷 関 ２何 処 是 煙 波 江 上 ３使 人 愁
二 一
（注）①黄鶴楼 今の湖北賞武漢市の長江右岸にあった高楼。②崔顥 ？～７５４。盛唐
の詩人。③漢陽 黄鶴楼の対岸にあった町。④鸚鵡州 黄鶴楼の南西の江中にあった中州。
一 詩について。
１ 形式
２ 韻字
３ 展開の仕方
４ 対句
二 書き下し文にせよ。
第一句
第二句
第三句
第四句
第五句
第六句
第七句
第八句
三 口語訳
第一句 昔ここを訪れた仙人はすでに白雲に乗って飛び去り
第二句 この地には伝説にちなむ黄鶴楼がただ残っているだけだ。
第三句 黄鶴は一度飛び去ったきりもう二度度帰ってこない。
第四句 ただ白雲だけが千年後の今も変わることなく空のかなたを流れ続けている。
第五句 晴れ渡った川の向こうに漢陽野町の樹木がはっきり見え
第六句 鸚鵡州にはうつくしい花をつけた草が生い茂っている。
第七句 日が暮れると望郷の思いがつのる、私の故郷はどの辺りになるのだろうか。
第八句 水面に夕靄が立ちこめてきた長江の眺めは私を深い物思いに誘う。
四 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
１ 黄鶴楼 ２ 崔顥 ３ 昔人 ４ 已 ５ 復
６ 千載 ７ 悠々 ８ 晴川 ９ 萋萋 １０ 鸚鵡洲
五 次の語の意味を辞書で調べよ。
１ 千載
２ 悠々
３ 晴川
４ 歴歴
５ 芳草
６ 萋萋
７ 郷関
８ 煙波
９ 江上
六 二重線部１～３の文法問題に答えよ。
１ 不 復
２ 何
３ 使
七 傍線部１とＡ・Ｂの問いに答えよ。
１ 働きを説明せよ。
Ａ 第一句から第四句で対比されているものは何か。
Ｂ 作者の視点の移動、時間の経過、色彩の対比を説明せよ。
構成
第一句 仙人去る 過去 時間・眼前の景 首
第二句 黄鶴楼 現在
第三句 黄鶴去った 過去 頷
第四句 白雲 現在 空間・望郷の念
第五句 明るい春光 町の木 頸
第六句 中洲の草
第七句 日暮れ 尾
第八句 靄 望郷
主題 望郷悲哀
解答
一 １ 七言律詩 ２ 楼 悠 州 愁 ４ 第三句と第四句 第五句と代六句
二 第一句 昔人已に白雲に乗じて去り 第二句 此の地空しく余す黄鶴楼
第三句 黄鶴一たび去りて復た返らず 第四句 白雲千載空しく悠々
第五句 晴川歴歴たり漢陽の樹 第六句 芳草萋萋たり鸚鵡州
第七句 日暮郷関何れの処か是れなる 第ハ句 煙波江上人をして愁えしむ
四 １ こうかくろう ２ さいこう ３ せきじん ４ すで ５ ま ６ せんざい
７ ゆうゆう ８ せいせん ９ せいせい １０ おうむしゅう
五 １ 千年 ２ 暇なさま。のんびりしたさま。 ３ 水面が晴れ渡って遠くまではっきり見える点。
４ 明らかなさま。 ５ かおりのよい草花。 ６草木の盛んに茂るさま。
７ ふるさと。郷里。
８ 遠く広い海上などがけむっているようで、空と水の色がはっきりしないさま。
９ 河の水面。
六 １ 部分否定 復た～ず 二度と～ない ２ 疑問 いずれの どの
３ 使役 使ＡＢ ＡをしてＢせしむ ＡにＢさせる
七 １ 悠久の時間。自然の運行 Ａ 過去と現在。
Ｂ 視点の移動 第一句～第四句 空
第五句・第六句 対岸・中洲
第七句・第ハ句 対岸・向こう
時間 昼→夕暮れ 色彩 白雲 黄鶴