晏子使楚

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語釈

           ヒス   ニ           ナリ            リテ     ヲ

@ 晏 子 使 A楚。 晏 子 短。 1楚 人 為 小 門 於

レ                               二     一                                         二             ラニ      ク      ヲ           シテ ラ   ク   ヒ

 大 門 之 側、 而 延 晏 子。 晏 子 不 入 曰、「 使

             一        二      一           レ

 ル        ニ  ハ   リ         ル        ハ  ヒス  ニ       ニ     

至 B狗 国 者 従 狗 門 入。 今 臣 使 楚。 2不 当

   二       一      二      一              レ           下

    リ   ノ          ハ  メテ  キ    リ          ル

 従 此 門 入。C儐 者 更 導、 従 大 門 入 。

二                               二      一
2 

  ユ      ニ       ク      ニ  キ       ト           ヘテ ク

見 楚 王 。王 曰、「 3斉 無 人 耶。」 晏 子 対 曰

  二      一                    レ

                ハ                  ヘバ  ヲ  リ  ト   バ

「D斉 之 臨 湽 三 百 E閭。 4張 快 成 帳、揮 汗

                               

             ベ  ヲ  ギテ  ヲ      リ       レゾ  カラント

 成 雨。 此 肩 継 踵 而 在。1何 為 無 人。」

    レ       レ      レ                      レ     ヘテ  ク

 王 曰、 「然 則 子 2何 為 使 乎。」晏 子 対 曰、

     ノ  ズルヤ ヒヲ                トスル ノ  ナル ハ   ヒセシメ     

     ノ  ズルヤ ヒヲ       リ       トスル ノ  ナル ハ  ヒセシメ    ニ

「 斉 命 使、F各 有 G所 主。其 賢 者 使 賢 王

         レ           レ    レ                 二     一

       ナル ハ  セsム       ノ  ニ   ハ  モ        ナリ               

不 肖 者 使 5不 肖 王。嬰 最 6不 肖

              二          一

    ハ  モ      ナリ    ニ  シク ヒス  ニ     ト 

嬰 最 不 肖。 故 宜 使 楚 3耳。

                       レ   レ

 

(注)@晏子 ?〜前500年。名は嬰。字は平仲。斉の三代の王にt変え名宰相と謂われた。A楚 春秋戦国時代に長江中流域を領有した国。B狗国 犬の国。C儐者 客の案内をする役人。D斉 春秋戦国時代に、今の山東省一帯を領有した国。E閭 集落。F各 各々。G所主 よるべき基準。

 

一 書き下せ。

 

 

二 口語訳。


晏子が楚に使節として来る。晏子が小柄だという理由で、楚の人が小門を大門の側につくって(大門ではなく小門のほうに)晏子を案内する。晏子は(小門に)入らないで言うことには、「イヌの国に使節として来ればイヌの門から入る。今回楚に使節として来る。この門から入るべきでない。」と。接待係は改めて案内して大門から入らせる。

(晏子が)楚王に謁見する。王が言うことには、「斉には人がいないのか。」と。晏子が答えて言うことには、「(斉のみやこ)臨湽の戸数は七千五百戸である。(ひとびとは)日陰をつくるほど服の袖を伸ばし、雨をつくるほど汗をたらす。肩を並べて踵を継いであるいている。どうして人がいないといえようか。」と。王が言うことには、「そうであればなぜあなたが使節として(楚に)来るのか。」と。晏子が答えて言うことには、「斉は使節となる人物のために、ひとりひとりうけもつ国を命令で決める。斉の賢いひとは賢い王のところへ使節として来させられ、だめな者はだめな王のところへ使節として来させられる。わたしは最もだめだ。わたしが楚に使節として来た理由はただそれだけだ。」と。

三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

1 狗国 2 従 3 更 4 袂 5 帳 6 何為 7 不肖

 

四 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

1 不肖

 

五 二重線部1〜の文法問題に答えよ。

 

1 何為

 

2 何為

 

3 耳

 

六 傍線部1〜6の問いに答えよ。

 

1 理由は何か。

 

2 こう言った理由を説明せよ。

3 意味を記せ。

 

4 このたとえの意味を記せ。

 

5 、6 (1)「不肖」と対照的な語を抜き出せ。

 

     (2)「不肖者」と「不肖主」とはぞれぞれ誰のことか。

 

7 ここで晏子が言いたいことはなにか。

 

 

 

 

 

 

構成

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楚人  小門

    大門

 

楚王「斉に人はいない。

 

楚王「なぜおまえが来た。」

 

 

 

 

小柄

晏子「使者としてきた。」 大門より入る

 

 

晏子「大変多い。」

 

晏子「賢い者は賢主の所へ。愚かな者は愚かな所へ。私は最も愚かで楚へ来た。」

 

 

 

主題 晏子の応対の冴え。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

子楚に使ひす。晏子の短なるを以て、楚人小門を大門の側らに為りて晏子延く。晏子入らずして曰はく、「狗国に使ひする者は狗門より入る。今日楚に使ひす。此の門従り入るず当に。」儐者更めて導き大門従り入らしむ。

 楚王に見ゆ。王曰はく、「斉に人無きか。」と。晏子対へて曰はく、「臨湽三百閭なり。快を張れば陰と成り、汗を揮へば雨と成る。肩を比べ踵を継ぎて在り。何為れぞ、人無からん。」と。王曰はく、「然らば則ち子何為れぞ使ひすつか。」と。晏子対へて曰はく、「斉は使ひを命ずるに、おのおの主とする

説苑

三 1 くこく 2 よ 3 あらた 4 たもと 5 とばり 

6 なんす 7 ふしょう

四 1 愚かな者。親に似ない者という意。自己の謙遜。

五 1 反語 何為れぞ〜ん どうして〜か(いや〜ない)

  2 疑問 何為れぞ〜や どうして〜か

  3 限定 のみ だけだ

六 1 晏子を侮辱するため。 

2 斉の使者として来たのだから客人としての待遇を受けるべきだと考えたから。

3 斉には人材がいないのか。 4 人が大変多い。

5、6 (1)「」賢 」(2)「不肖者」晏子  「不肖主」楚王

7 楚王は諸侯の中で最も愚かな人間だということ。