推 敲
語釈
キテ ニ リ ニ リテ ニ シ ヲ
@ 賈 島 赴 A挙 至 B京、 騎 C驢 D賦 詩、
レ レ レ レ
タリ ハ ノ ヲ
1得 僧 推 月 下 門 之 句。
ニ 一
ス メテ ヲ サント ト
2欲 改 推 作 敲。
ニ レ 一レ
キテ ヲ スモ ヲ ダ セ
E引 手 作 推 敲 之 3F勢、1未 4決。
レ ニ 一 レ
エ タル ニ
G不 覚 衝 H大 尹 I韓 愈。
レ ニ 一
チ サニ フ ハク シ ト
J乃 5K具 言。愈 曰、「敲 字 佳 矣。」
ニ ベテ ヲ ズ ヲ
L遂 6M並 轡 論 詩。
レ レ
(唐詩紀事)
(注)@ 賈島 中東の詩人。A 挙 官吏登用の試験。科挙。 3B京 都。C 驢 驢馬。D 賦詩 詩を作って。E 引手 手を動かして。F 勢 身振り。G 不覚 うっかりして。H大尹 都の長官。I 韓愈 中唐の詩人・文章家。J 乃 そこで。 K 具 くわしく。 L 遂 そのまま。M 並轡 乗り物を並べて。
一 書き下し文にせよ。
二 口語訳
賈島が官吏登用の試験を受けに都にやって来たとき、驢馬に乗って詩を作っているうちに、
「僧は推す月下の門」という句を思いついた。
推という字を敲という字にしようかと思った。
手を動かして、「推す」と「敲く」の身振りをしてみたが、なかなか決まらなかった。
うっかりして都の長官である韓愈に突き当たった。
そこで、くわしく言った。韓愈は「敲くの字がよい。」と。
そのまま轡を並べて詩について語った。
三 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 推敲 2 賈島 3 驢 4 赴 5 推
6 敲 7 韓愈 8 乃 9 具 10 轡
四 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 推敲
2 赴
3 驢
4 推
5 敲
6 衝
7 佳
五 次の文法事項に答えよ。
1 未
六 傍線部1〜6と7・8の問に答えよ。
1 意味を記せ。
2 どういうことか。
3 意味をしるせ。
4 何を決するのか。
5 (1)主語を記せ。
(2)内容を記せ。
6 (1)どういう状況か。
(2)韓愈のどういう人柄がわかるか。
7 賈島が一心不乱に考えていることがわかる一文を抜き出せ。
8 詩の決定稿を記せ。またその違いを説明せよ。
賈島 「推」
韓愈 「敲」
構成
受験のため都に来る 驢馬に乗って詩を作る 「僧推下月下門」を思いつく 推を敲にしようか? その身振リをする 突き当たる → 事情を詳しく説明する → くつわを並 |
賈島(受験生) |
馬車に乗っている ←「敲がいい。」 べて詩について論じあった。 |
韓愈(都の長官・詩人) |
主題 推敲=自分の書いた詩や文章について反省し、字句を練ること
(参考) 鍋洗う前に蛍が二つ三つ 蛍の動き=静止
↓
鍋洗う前へ蛍が二つ三つ 蛍の動き=到着
↓
鍋洗う前を蛍が二つ三つ 蛍の動き=移動 決定稿
解答
一 賈島挙に赴きて京に至り、驢に騎りて詩を賦し、
僧推月下門之句を得たり。
欲推を改めて 敲と作なさんと欲す。。
手を引きて推敲之勢を作すも未だ決せず。
覚えず大尹韓愈衝る。
乃具に言ふ。愈曰く、敲字佳し。」と。
遂に轡を並べて詩を論ず。
三 1 すいこう 2 かとう 3 ろ 4 おもむ 5 お 6 たた 7 かんゆ
8 すなわ 9 つぶさ 10 くつわ
四 1 支部の字句を練ること。 2 行く。「赴任」 3 驢馬 4 前へ推す。「推量」
5 たたく。打つ。 6 当たる。つきあたる。「衝突」
7 美しい。すぐれてりう「佳作」「佳人薄命」
五 1 再読文字 未だ〜ず まだ〜ない
六 1 考え付いた。 2 「推」を「敲」にしたらどうかと考えていた。
3 姿勢 4 「推」か「敲」か
5(1)賈島。」(2)「推」か「敲」か決しかねていたこと。
6 (1)馬を並べて詩について論じあう。 (2)詩を好む謙虚な政治家。
7 「不覚衝大尹韓愈」
8 賈島 「推」 僧推月下門 予定の訪問 行くことがわかっているから黙って門を推す。
韓愈 「敲」 僧敲月下門 突然の訪問 いきなり行くから戸を敲く。
月の夜の訪問は風流。