TOPへもどる

古文へもどる

 

 

    語釈 

@  雄略天皇

 

1籠1もよ Aみ籠持ち Bふくしもよ みぶくし持ち この岡に 菜摘ます児

 

家聞かCな 2名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて 我こそ居れ

 

しきなべて 我こそいませ 我こそは 告らめ 家をも名をも

 

(注)@雄略天皇 在位は457〜479年。古代中国の史書が伝える倭王部にあたるか。Aみ籠持ち 「み」は美称の接頭語。Bふくし木・竹製のへら。Cな 次句の「ね」とともに上代特有の終助詞。「な」が話し相手自信の一般的願望であるのに対して、「ね」は相手に対する願望を表す。

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

 1 籠 2 告らさ

   

   二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

     1 籠

 

     2 告らす

 

     3 おしなべて

 

     4 しきなぶ

 

   三 傍線部1、2の問いに答えよ。

 

     1 どんな人にどんな気持をこめて呼びかけた歌か。

 

     2 「名告らさね」までと其の後では内容と調子がどう違うか。

 

四 二重線部1の問いと修辞法Aに答えよ。

 

  1、2 品詞分解 口語訳

 

  A そらみつ

 

  B 籠もよ み籠持ち ふくしもよ みぶくし持ち

    

おしなべて 我こそ居れ しきなべて 我こそいませ

 

五 口語訳

 籠よ美しい籠を持ち、へらよ美しいへらを持ち、この岡で菜を摘んでいらっしゃる少女たちよ、家を聞きたいなあ。名をおっしゃい。大和の国はあまねく私が支配している。私が支配している。私こそはおっしゃろう、家をも名をも。

 

構成

 

  少女 岡 菜摘み

   ↑

  天皇「大和は私が治めている。」

 

  主題 統治の自負

 

 

1  解答

一 1 こ 2 の

二 1 籠。 2 おっしゃる。 3 あまねく。 4 広く統治する。

三 1 少女たちへの呼びかけ。2 一般的な声かけが、統治者の自覚になる。

四 1 も係強意 よ終助詠嘆 

2 名名 告ら告る未ラ四 さ助動す未尊 ね終助願望 名をおっしゃい。  A 枕詞 大和にかかる。 B 対句

語釈

                            

@  天皇、A蒲生野に遊猟し給ふとき、額田王の作る歌                B額田王

 

20 あかねさすC紫野1行きD標野行き野守は見ずや2が3袖振る

 

 

(注)@天皇  天智天皇(六二六?−六七一)。A蒲生野  今の滋賀県蒲生郡の野。B額

田王  生没年未詳。七世紀の歌人。大海人皇子と結婚して十市皇女を生み、のち天智天皇

に召された。C紫野  紫草の生える野。紫草は、ムラサキ科の多年草。根から紫色の染料

を取る。D標野  占有の旗印を示して、一般の者の立ち入りを禁じた野。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      蒲生野      遊猟      額田王      標野      野守

 

  次の意味を辞書で調べよ。

 

      野守

 

三 傍線部1〜3の問いに答えよ。

 

      主語。

 

      誰のことか。

 

      (1)「袖振る」行為にはどのような意味があったか。

 

        (2)「額田王」は、なぜ「袖振る」ことをたしなめているか。

 

  二重線部の文法問題に答え、修辞法A〜Dは何か記せ。

 

     あかねさす  修辞法

 

B 句切れ

 

C 野守は見ずや

 

D 野守は見ずや君が袖振る

 

五 口語訳

 

    天皇が、蒲生野でみ狩りをされたとき、額田王が作る歌

   

紫草の生えている野、標識を立てた御料地の野を(あちらに)行き(こちらに)行き 

    して、あなたがそんなに袖を振ったりすると野守が見ますよ。

 

 

構成

 

  狩猟の一団 

 

  兄 天智天皇=額田王   「野守は見ずや」困惑 たしなめる 婉曲 女性的

        ↑ 

 

  弟 大海人皇子(天武天皇 )袖振る。

                          

 

  主題 大海人皇子への思い

 

20  解答

一 1 がまうの 2 みかり 3 ぬかだのおおきみ 4 しめの5 のもり

二 1 野の見張りをする人。 

三 1 大海人皇子 2 大海人皇子 3 (1)愛情表現。(2)見つかると困るから。

四 A 枕詞 紫野。B 四句切れ。C 挿入句 D 倒置法。

語釈

 

 

@  皇太子の答へましし御歌                                  大海人皇子

 

21 紫草1にほへる1をにくく2あらば人妻ゆゑに吾3恋ひめやも

 

 

(注)@皇太子  大海人皇子(?−六八六)。天智天皇の弟で、のちの天武天皇。

 

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      大海人皇子      紫草            恋ひ

 

        1・2の意味を古語辞典で調べよ。

 

      にほふ

 

     

 

  傍線部1の問に答えよ。

 

1 誰のことか。

 

  二重線部1〜3の文法問題に答えよ。

 

        文法的意味

 

      あらば       品詞分解  口語訳

 

      恋ひめやも   品詞分解  口語訳

 

五 口語訳

 

      皇太子がお答えになったお歌

 

    紫のように色美しいあなたが憎いのだったら、(もう)人妻(であるあなた)ゆえに

    私が恋などするでしょうか。(人妻であるあなたに恋などしません。憎くないので人

    妻になっていても恋をするのです。)

 

20・21 贈答歌

 

 

構成

 

  かつての愛人=額田王 ←大海人皇子 「人妻でもあいしている。」

 

  主題 不倫

 

 

 

 

21  解答

 

一 1 おおあまのおうじ 2 むらさき 3 いも 4 こ

二 1 色が美しく輝く。2 女性を親しんで言う語。対義語 背

三 1 額田王

四 1 格助 比喩 ヨウニ 2 あら動あり未ラ変 ば接助仮定条件 

3 恋ひ動ハ上二 め助動む已推 や係反語 も上代終助詠嘆 

  恋するだろうか、いやそなことはない。 

 

 

 

 

語釈

 

    天皇の御製歌                                         @ 持統天皇

 

28 春過ぎて夏1来たるらし白妙の衣乾し2たりA天の香具山            (巻一)

 

 

(注)@持統天皇  六四五〜七0二。天智天皇の皇女、天武天皇の皇后。A天の香具山

 

奈良県橿原市にある山。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      持統天皇        白妙      天の香具山 

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      白妙

 

  傍線部1の問いに答えよ。

 

    1 「らし」と推定する根拠はなにか。

 

  1 色彩を説明せよ。

 

  二重線部1〜2の文法問題と修辞法A・Bに答えよ。

 

      来たる  品詞名 基本形 活用形 活用の異種類

 

      たり    品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

      句切れ

 

     天の香具山  修辞法

 

五 口語訳

 

      天皇の御歌

 

  春が過ぎて夏がやってくるらしい。真っ白な衣がほしてある。天の香具山は。

 

 

構成

 

  夏 香具山 白い衣(夏の衣)=衣替え

 

  主題 夏の季節感

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

28  解答

一 1 じとうてんのう 2 しろたえ 3 あめのかぐやま

二 1 白い色

三 1 「白妙の衣干したり」 2 白妙=白 天の香具山=緑

四 1 来たる止ラ四動 2 助動たり止存続 A 二句切れ 四句切れ

B 体言止め 倒置法

 

 

 

語釈

 

 

 

@  軽皇子のA安騎の野に宿りましし時、B柿本朝臣人麻呂の作る歌

 

48 1の野にC炎1立つ見えて2かへり見すれば月傾き2              (巻一)

 

(注)@軽皇子  六八三〜七0七。のちの文武天皇。A安騎の野  奈良県宇陀郡大宇陀町                                   

一帯の山すその傾斜地。B柿本人麻呂  生没年未詳。七世紀後半から八世紀はじめにかけ

て持等・文武両朝に仕えた。C炎  あけぼのの光。一説に陽炎。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      軽皇子      安騎の野      柿本朝臣人麻呂             

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      宿る

 

      かへり見

 

      傾く

 

  傍線部1・2の問いに答えよ。

 

      一日のうちのいつごろの情景をよんだ歌か。

 

      「かへり見すれば」には表現上どのような効果があるか。

 

四 二重線部1、2の文法問題に答えよ。

 

      文法的説明せよ。

 

  2 品詞名 基本形 活用形 文法的意味 

 

五 口語訳

 

      軽皇子が安騎の野に宿泊なさったとき、柿本朝臣人麻呂が作った歌

 

  東方の野にはあけぼのの光さしそめるのが見えて、ふりかえって見ると(西の空に)月

  が沈もうとしている。

 

 

構成

 

  夜明け 安騎の野 東=日 

           西=月

 

  主題 壮大な自然

 

 

 

 

 

 

 

48   解答

 

一 1 かるのみこ 2 あきのの  3 かきのもとのあそみひとまろ

  4 ひんがし 5 かぎろい

二 1 宿泊する。 2 振り返ってみる。 3 (日や月が)西に沈もうとする。

三 1 夜明け(東に明けぼののひかり)。 

2 視線は東の野から西の空へ移動し、広大な空間をとらえることになる。

四 1 格助主 2 助動ぬ止完了  

語釈

 

 

@       

                                              大伯皇女

 

105 1わが背子を大和へ遣るとさ夜ふけて2暁露にわが3立ち濡れ1し      (巻二)

 

 

(注)@大津皇子  六六三〜六八六。天武天皇の皇子。天武天皇の崩御の直後、謀反を企

てたとして処刑された。A伊勢の神宮 今の三重県伊勢市にある伊勢神宮。B大伯皇女  

六六一〜七0一。大津皇子の同母姉。六七三年(天武二)から六八六年(朱鳥元)まで伊

勢の斎宮。C大和  今の奈良県。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      大津皇子          大伯皇女        背子        遣る      濡れし

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      背子           

 

      遣る

 

  傍線部1〜3の問いに答えよ。

 

      だれのことか。また、どんな気持ちがこめられているか。

 

    2・3  「暁」に「立ち濡れ」たのはだれか。また、この行為にはどんな気持ちがこ

    められているか。

 

  二重線部1・2の文法事項と修辞法Aに答えよ。

 

        文法的意味。

 

      わが立ち濡れし  修辞法

 

五 口語訳

 

      大津の皇子がひそかに伊勢神宮に下って(都に)上っていらっしゃったときの大伯

      皇女の御歌

 

  わが弟を大和へいかせるとて(見送ると)夜はふけていって、夜明けの露にわたしは立

  ち尽くしてぬれていた。

 

 

構成

 

             ひそかに行く

 

  大津の皇子(弟 大和) → 大伯皇女(姉 伊勢)晩秋 暁 露の冷たさ

   ­

  この後 謀反発覚処刑 

 

  主題 弟を心配

 

 

 

 

105   解答

 

一 1 おおつのみこ 2 おおくのひめみこ 3 せこ 4 や 5 ぬ

二 1 女性が兄弟・夫などを親しんで読2、3 誰 大伯皇女 

気持ち 弟のことが心配で眠ることもできない

気持ち。 

四 1 助動き体過 A 連体止め

語釈

 

 

@  柿本朝臣人麻呂、A石見の国より妻に別れて1上り来たるときの歌

                                                          柿本人麻呂

 

131(1) 石見の海  B角の浦廻を  浦なしと 人こそ見らめ 潟なしと 人こそ見らめ 4

 

(2)よしゑやし  浦はなくとも よしゑやし 潟はなくとも  鯨魚取り  海辺をさして D 和多

 

豆の荒磯の上にか青く生ふる  玉藻沖1  E朝羽振る 風こそ寄せめ 夕羽振る 浪こそ来寄

 

 

(3)F浪のむた  か寄りかく寄り G 玉藻なす  寄り寝し妹を  露霜の  置きてし来れば 

 

この道 の H八十隈ごとに よろづたび 顧みすれど  いや遠に 里は放りぬ いや高に 山も

 

越え来ぬ 

 

(4)夏草の  念ひしなえて 偲ふらむ  妹が門見む  靡けこの山

 

(注)@柿本朝臣人麻呂  生没年未詳。七世紀後半より八世紀はじめにかけて、持統・文武両朝に仕えた。A石見の国  今の島根県西部。B角の浦廻  今の島根県江津市都野津町付近の湾曲した浦。Cよしゑやし  ええ、ままよ。D和多豆  江津市の地名か。E朝羽振る  朝、鳥が羽を振るように。F浪のむた  波といっしょに。G玉藻なす  美しい藻のように。H八十隈  数多くの曲がり角。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      柿本朝臣人麻呂      石見の国      角の浦廻        鯨魚取り

 

      和多豆    6荒磯      玉藻      朝羽振る      八十隈    10  靡け

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

     

 

     

 

  傍線部1〜5とA・B・Cの問いに答えよ。

 

      どこへ「上」るのか。

 

      「藻」の描写が美しいがこの「藻」は何をたとえたものか。

 

      具体的にはどういうことか。

 

      こうするのは何のためか。

 

      誰のどのような様子か。

 

      この歌を音読する際どのようなリズムで読めばよいか。

 

      作者の愛情の強さを訴えようとする素朴で激烈な表現がある。該当する一句を抜        き出せ。

 

      この歌の歌体を何というか。

 

  二重線部1の文法問題と修辞法A〜Dに答えよ。

 

  1 文法的に説明せよ。

 

  A いさなとり   露霜の  夏草の

 

  B 浦なしと 人こそ見らめ 潟なしと 人こそ見らめ

    よしゑやし  浦はなくとも よしゑやし 潟はなくとも

    朝羽振る 風こそ寄せめ 夕羽振る 浪こそ来寄れ

    いや遠に 里は放りぬ いや高に 山も越え来ぬ 

   

C  玉藻なす

 

   D 石見の海〜玉藻なす

 

五 口語訳

 

      石見の国から妻と別れて上って来るときの歌

 

(1)      石見の国の角の浦のめぐりを(よい)浦がないと人は見ていようが、(よい)潟がないと人は見ていようが。

(2)    ええ、ままよ、(よい)浦がなくてもええ、ままよ、(よい)潟がなくても、海辺をさして、和多豆の荒磯の上に青々とえる美しい藻や沖の藻に、朝鳥が羽を振るように風が寄せよう、夕方鳥が羽を振るように波が寄せて来ようが

(3)    (その)波といっしょにああ寄ったりこう寄ったりする美しい藻のように寄り添って寝た妻を、置いて来たので、この道の数多くの曲がり角ごとに一万遍もうしろをふりかえってみるけれども、いよいよ遠く里は遠ざかってしまった。いよいよ高く山も越えて来てしまった。

(4)    (私を)思いうちしおれてしたっているであろう妻の(家)の門を見よう。なびけせこの山よ。

 

 

構成

 

  131 長歌 石見から平城京へ

 

(1)  石見の海岸 他人 外から見る  何の変化もない光景  起

  

(2)        作者 内側から見る 味わいのある風景   承

 

  (3)最愛の人と別れてきた。                転 

 

(4)  残していた妻を思う気持ち               結

強烈な願望

     

 

      反歌二首 帰路の自然

 

132 (補足) 高角山の木の間

 

133 (補足) 笹「さ」音の連続

 

131・132 感動 → 133 沈潜

 

  主題 妻を思う情

 

 

 

 

  反歌二首

 

132  石見のや@高角山の木の際よりわが1振る袖を2妹見つらむか

 

133  笹の葉はみ山も清に乱るとも3吾は妹思ふ別れ来1ぬれ

 

 

(注)@高角山  今の江津市島星山という。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      高角山      木の際        小竹の葉

 

  次の意味を辞書で調べよ。

 

      反歌

 

  傍線部1・2について次の問いに答えよ                                                     

  1 二通りに説明せよ。

 

      どのような情景か、説明せよ。 

 

      なぜか。歌の言葉を抜き出せ。

 

  二重線部1の文法問題と修辞法に答えよ。     

 

 1 品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

    133の歌 修辞法 多用されている音を抜き出し、何を表しているか記せ。

 

五 口語訳

 

    石見の高角山の木立の間から私の振る袖を妻は見てくれただろうか。

 

    笹の葉は山(全体)をもざわざわと(風に吹かれて)乱れていても、私は(ひたすら    )妻を思っている。別れて来てしまったので。

 

 

 

131 解答

 

一 1 かきのもとのあそんひとまろ 2 いわみのくに 3 つののうらみ 4 いさなとり

5 にぎたつ 6 ありそ 7 たまも 8 あさばふる 9 やそくま 10 なび

二 1 入り江。 2 干潟。

三 1 平城京。 2 二人の睦愛。3 妻と別れ、石見の国に置いてきた。

4 妻との別れがつらいので。5 残された妻が、辛さにうちしおれている。

  A 五七調で読む。 B 「靡けこの山」 C 長歌

四 1 上代過助 A 枕詞 かかる語 海 置き しなえ B 対句 C 比喩 

  D 序詞 かかる語 寄り寝し

 

 

132 133  解答

一 1 たかつのやま 2 このま 3 

二 1 和歌の歌体のひとつ。長歌の跡に詠み添えられる歌。

三 1 招魂 愛情表現 2 石見の国に妻を置いてきた。 3 「別れ来ぬれば」

四 1 助動ぬ已完了  四句切れ 倒置法

 さ(四回 笹の葉の音・山の清々しさをあらわす) 笹の葉 さやに さやげ  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語釈

 

142 家にあればA笥に盛る飯をB草枕旅にしあれば1椎の葉に盛る      @有間皇子

(巻二)

(注)@ 有間皇子 640〜658 孝徳天皇の皇子。反逆の疑いで捕らえられ和歌山県海南市で処刑された。この歌は護送される途中でつくっれた。 A 笥 食物を入れる器。B 草枕 「旅」にかかる枕詞。

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

  1 有間皇子   2 笥  3 草枕   4 椎

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

  1 草枕

 

三 傍線部1の問に答えよ。

 

 作者のどのような心情がこめられているか。  

 

四 修辞法を記せ。

 

  1 草枕

 

五 口語訳 

 

家にいるときは食器に盛る飯を、(今は)旅の途中なので椎の葉に盛ることだ。

 

 

構成

 

  家 

 

  旅 椎の葉

 

  主題 日常と旅(非日常)の違い

 

 

 

 

142   解答

 

一 1 ありまのみこ 2 け 3 くさまくら 4 しい

二 1 旅寝。 旅。

三 1 日常との違い。

四 草枕 旅にかかる

 

 

                           

語釈

 

255 A天ざかるBひなの長道ゆ恋ひ来ればC明石の門より1大和島見ゆ (巻三)   @柿本人麻呂

 

()@ 柿本人麻呂 生没年未詳 持統・文武両天皇に仕えた。『万葉集』の代表歌人。A 天ざかる 「ひな」にかかる枕詞。B ひなの長道ゆ 都を離れた遠い旅路の間をずっと。C 明石の門 明石の海峡。 5 大和島 大和地方の山々を海上から見た語。 

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

  1 柿本人麻呂   2 長道   3 明石   4 大和

 

二 傍線部1はどこを指しているか。

 

三 修辞法はなにか。

 

   天ざかる

 

四 口語訳 (天ざかる)都を遠く離れた鄙からの長い道すじを恋しく思いながらやってくると明石の海峡から大和の山々が見える。

 

 

構成

 

  明石海峡→大和の山々

 

  主題 懐かしい大和の山々を見た感動

 

 

 

255   解答

一 1 かきのもとのひとまろ 2 ながち 3 あかし 4 やまと

二 1 大和地方の山々。

三 A 枕詞 「ひな」にかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語釈

 

 

@  柿本朝臣人麻呂の歌

 

266 近江の海 A夕波千鳥1鳴けば心もしのにBいにしへ思ほゆ

 

(注)@柿本朝臣人麻呂 生没年未祥。持統天皇、文武天皇に仕えた。『万葉集』の代表歌人。A夕波千鳥 夕方の波間を飛ぶ千鳥。Bいにしへ 天智天皇の都があった近江朝の昔。

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

 1 近江の海 2 夕波千鳥

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

 1 しのに

 

 2 思ほゆ

 

三 傍線部1の問いに答えよ。

 

 1 指示内容を記せ。

 

四 二重傍線部1の文法問題と修辞法A・Bに答えよ。

 

 1 文法的に説明せよ。

 

 A 何句切れか。

 

 B 汝が鳴けば

 

五 口語訳

 琵琶湖で、夕がた波間を千鳥が飛んでいる、ここにあった近江朝廷をしんみり自然に思いだす。

 

構成

 

  琵琶湖・夕波・千鳥―かつてここ大津に都があった。

 

  主題 近江朝廷の興亡を懐古

 

 

 

266  解答

 

一 1 おうみのうみ 2 ゆうなみちどり

二 1 しんみり。 2 自然に思われる。

三 1 千鳥

四 1 格助主 A 二句切れ。 B 擬人法。

語釈

 

 

@  山部宿禰赤人、富士の山を望む歌

 

317(1)天地1 分かれし時2 神さびて 1高く貴き 駿河3なる 富士の高峰を 天の原

 

降り放け見れば

 

(2)渡る日の 影も隠ら4ひ 照る月の 光も見えず 白雲も Aい行きはばかり 時じく5 

 

雪は降りける 語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高峰は

 

  反歌

 

318 B田子の浦6うちいでて見ればま白に7富士8高峰に雪は降りける

 

(注)@山部宿禰赤人 生没年未祥。奈良時代初期の歌人。聖武天皇に仕え、行幸に従った際の歌を多くのこしている。 Aい行きはばかり 行きためらって。B田子の浦 古くは駿河湾の北西部、興津から蒲原に至る海岸一帯を指したといわれる。

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

 1 山部宿禰赤人 2 貴き 3 駿河 4 高峰 5 天の原 6 振り放け 7 田子の浦

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

 1 神さぶ

 

 2 振り放く

 

 3 時じ

 

三 傍線部1〜の問いに答えよ。

 

 1 どこにかかるか。

 

四 二重傍線部1〜8の文法問題と修辞法A〜Dに答えよ。

 

 1、2、6、8 文法的に説明せよ。

 

 3、4 品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

 5、7 結びの語 基本形 活用形

 

A 渡る日の 影も隠らひ 照る月の 光も見えず

 

B 白雲も い行きはばかり

 

C 語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高峰は

 

D ける

 

五 口語訳

 

317・318

(1)天地が分かれた時から、神々しく高く貴い、駿河にある富士の高嶺を広い空にはるかに仰ぎ見ると

 

(2)渡っていく日の光も隠し続け照る月の光もみえない、白雲も行きためらって、季節外れに雪は降ってい

 

る。語り継ぎ言い継ぎ行こう富士の高嶺は。

 

318 田子の浦から出て見ると真っ白に富士の高嶺に雪は降っていた。

 

 

構成

 

  317

 

(1)  富士山=高く神々しい  感動

 

  (2)後世に語り継ごう。    感動

 

  318

 

  富士山の雪 

 

  主題 自然美にたいする感動

 

 

 

 

317・318   解答

 

一 1 やまべのすくねあかひと 2 とうと 3 するが 4 たかね 5 あまのはら 

  6 ふりさけ 7 たごのうら

二 1 神々しい姿をしている。 2 はるかに仰いで見る。3 季節外れだ。

三 富士の高嶺。

四 1 格助主ガ 2、6 上代特有格助経由する場所  3 助動なり体存在ニアル

  4 上代特有助動ふ用継続・反復 5、7 けるけり体過 8 格助連体修飾ノ

  A 対句。 B 擬人法。 C 倒置法。 D 連体止め

 

 

 

 

 

 

 

語釈

 

318 田子の浦ゆうち出でて見ればま白にぞ富士の高嶺に雪は降りける (巻三)

 

(注)1 山部赤人 生没年未詳。奈良時代初期の歌人。聖武天皇に仕え、行幸に従った際の歌を多く残している。 2 田子の浦 古くは駿河湾の北西部、興津から蒲原に至る海岸一帯をさしたといわれる。 

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

  1 山部赤人   2 田子の浦  3 高嶺   

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

  1 高嶺

 

三 口語訳 田子の浦を通って、(広い眺めの聞くところに)打ち出てみると、真っ白に富士高嶺に雪が積もっていることだ。

 

 

構成

 

  田子の浦→富士山 雪

 

 主題 富士山への感動

 

 

 

 

 

318  解答

 

一 1 やまべのあかひと 2 たぼのうら 3 たかね

二 1 高い峰

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語釈

 

@山上憶良臣、宴を罷る歌

                                    山上憶良

 

337 憶良1は2今は罷1らむ子泣く2らむそれ3彼の母も4を待つ3らむ

 

 

(注)@山上憶良臣  六六0?−七三三?筑前の守となり、大伴旅人と親交があった。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      山上憶良臣              罷る

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

     

      罷る

 

  傍線部1〜4の問いに答えよ。

 

     どういう意味が含まれているか。

 

     こういうのはなぜか。

 

     (1)「彼」は誰を指しているか。

 

        (2)「彼の母」とは誰を指しているか。また、こういうことには、憶良のどの

              ような気持ちがこめられているか。

 

     誰を指しているか。

 

  二重線部1〜3の文法問題と修辞法Aの問に答えよ。

 

   1〜3の「らむ」の違いを述べよ。

 

   A  何句切れか。

 

五 口語訳

 

      山上憶良臣が宴会を退出する歌 

 

    (私)憶良など(のような者)は今は(もうこれくらいで)退出しましょう。(今ご

    ろ家では)こどもが泣いているでしょう。(そして)その(子の)母も私を待ってい 

    るでしょうよ。

 

 

構成

 

  宴会を中座摺る折の言い訳の歌

 

  主題 家族愛

 

 

337  解答

 

一 1 やまのうえのおくら 2 うたげ 3 まかる

二 1 宴会。 2 退出する。

三 1 接尾語 謙遜 

2 ひきとめられていたのを辞去したい強い気持ち。「今度こそは」

3(1)子。 (2) 誰 妻 気持ち 子への愛 4 作者

四 1 まか動まかる未+む助動む止意志 2 助動らむ止現推 

3 助動らむ止現推

  A 二句切れ 三句切れ

@   

語釈

 

A  太宰帥大伴卿、酒をほむる歌        大伴旅人

 

 

338 1験なき物を思はずは一杯のA濁れる酒を飲む1べくあるらし

 

 

(注)太宰帥大伴卿 大宰府の長官。A濁れる酒 かすをこしていない酒。どぶろく。

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

1 太宰帥大伴卿 2 大伴旅人 3 験 4 一杯  

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

 1 験

 

三 傍線部1と歌全体についての問いに答えよ。

 

 1 作者の気持ちはどういうものか。

 

 歌全体 作者の心情を記せ。

 

四 二重傍線部1の文法問題に答えよ。

 

 1 品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

五 口語訳

 

 効用のない物思いなどしないで、一杯の濁り酒を飲む方がよい。

 

 

構成

 

 効用のない物思い

   ≧

 一杯の酒

 

 主題 沈痛からの逃避

 

 

338   解答

 

一 1 だざいのそちおおとものまえつぎみ 2 おおとものたびと 3 しるし 4ひとつき

二 1 効用。

三 1 大伴氏の衰運を嘆く気持と妻を失った悲しみ。

  歌全体 孤独・悲嘆。

四 1 助動べし用当然

語釈

 

 

@  故郷の家に還り入りて、即ち作る歌                      A大伴旅人

 

451 2も1なき空しき家は草枕旅にまさりて苦しかり3けり            (巻三)

 

 

(注)@故郷の家に還り  七三0年(天平二)、作者は太宰  から大納言になり、太宰府

から平城京に帰った。A大伴旅人  六六五〜七三一。家持の父。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      大伴旅人        空しき

 

  次の語の意味を古辞書で調べよ。

 

   1 即ち

 

      空し

 

  傍線部1〜3の問いに答えよ。

 

      「故郷の家に還り入りて」とあるがどこから帰ったのか。

 

      「人」とはだれか。

 

      「けり」にこめられた感情はどのようなものか。

 

  二重線部1の文法事項と修辞法に答えよ。

 

      なき  品詞名 基本形 活用形  活用の種類

 

      草枕  修辞法          かかる語

 

五 口語訳

 

      故郷の家に帰り入って、すぐに作る歌

 

  人もいないはかない家は旅よりも苦しいことであった。

 

 

構成

 

 苦しい旅

  >

 妻を失った家

 

 主題 亡妻挽歌

 

 

 

451  解答

 

一 1 おおとものたびと 2 むな

二 1 すぐに 2  はかない。

三 1 太宰府から平城京の家に。 2 旅人の妻大友郎女。

  3 詠嘆。はかなさを改めて実感している。

四 1 形なし体ク活 2 枕詞 旅

 

 

 

 

 

 

語釈

語釈

    子等を思ふ歌一首                                     @ 山上憶良

 

802 瓜食めば  子ども思ほ1  栗食めば  まして偲はゆ  何処より

 

来たりしものそ  眼交に Aもとな懸かりて B安眠し寝さぬ      (巻五) 

 

    反 歌

 

803 銀も金も玉も何せむに勝れる宝子に2及かめやも                (巻五)

 

(注)@山上憶良 六六0〜七三三。筑前の守となり、旅人と親交があった。Aもとな  

むやみに。B安眠し寝さぬ  安眠させないことだよ。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      山上憶良                偲はゆ      何処          眼交

 

      安眠                              勝れる      10  及か

 

  次の1〜4の語の意味を古語辞典で調べよ。

 

      眼交               及か

      反歌          4 長歌

 

  傍線部1〜2の問いに答えよ。

 

      「眼交に  もとな懸かりて  安眠し寝さぬ」ものは何か。また、安眠できないの

        は誰か。

      「金」、「銀」、「玉」は何を象徴しているか。

 

  二重線部1〜3の文法事項と修辞法Aに答えよ。

 

        文法的意味。

      及かめやも  品詞分解 口語訳

      瓜食めば  子ども思ほゆ  栗食めば  まして偲はゆ  修辞法。

 

五 口語訳

 

      こどもたちを思う歌一首

 

  瓜を食べるとこどもたちのことが思われる。栗を食べるといっそうしのばれる。(こど

  もは)どこからきたものなのか、目の前にむやみにちらついて(わたしに)安眠させな

  いことだ。

 

      反歌

 

  銀も金も玉もどうして子という優れた宝に匹敵するだろうか(いやしない)。

 

構成

 

  長歌 瓜 栗 →子を思う

 

  短歌 子>金・銀・玉 

 

  主題 子を思う父性愛

 

802・803  解答

一 1 やまのうえのおくら 2 うり 3 しぬ 4 いずく 5 まなかい

  6 やすい 7 しろがね 8 くがね 9 まさ 10 し

二 1 眼前。 2 匹敵する。3 和歌の一形式。長歌の終わりに読み添える短歌。

  4 和歌の一つの型。五七を繰り返し、最後に七を添える。

三 1 何か 子。 誰か 作者。2 宝として最高の物。

四 1 上代の助動詞ゆ止自発 2 及か動及く未カ四 め助動む已推 や係助反

 も終助詠嘆 匹敵するだろうか(いやしない)。

  A 対句

語釈

 

@  神亀元年甲子冬十月五日、A紀伊国に幸しし時に、B山部宿禰赤人の作る歌

 

@  貧窮問答の歌一首、あわせて短歌

892

(1)  風まじり 雨振る夜の 雨まじり 雪降る夜は すべもなく 寒くしあれば 堅塩を 

 

取りBつづしろひ C糟湯酒 うちすすろひて しはぶかひ 鼻Cびしびしに しかとあらぬ

 

ひげかきなでて 1我をおきて 人はあらじと 誇ろへど 寒くしあればE 麻ぶすま 

 

引きかがふり F布肩衣 有りのことごと 着襲へども 寒き夜Gすらを 我よりも

 

貧しき人の 1父母は 飢ゑ寒ゆらむ 妻子どもは 乞ひて泣くらむ この時は 

 

いかにしつつ2 H汝が世は渡る

 

(2)  天地は 広しといへど 我がためは 狭き3なりぬる 日月は 明かしといへど

 

我がためは 照り4たまはぬ 人みなか 我のみやしかる Iわくらばに 人とはあるを

 

人なみに 我もJなれるを 綿もなき 布肩衣の 5海松のごと Kわわけさがれる 

 

Lかかふのみ 肩にうちかけ 6M伏せ廬の 曲げ廬の内に 直土に 藁解き敷きて 7父母は

 

枕のかたに 妻子どもは 足のかたに 囲みゐて 憂へさまよひ かまどには N火気吹きたてず

 

こしきには くもの巣かきて 飯かしく ことも忘れて8 Oぬえ鳥の Pのどよひをるに

 

Qいとのきて9 短き物を 端切ると 言へるがごとく Rしもと取る S里長が声は 寝宿まで

 

来立ち呼ばひぬ 10かくばかり すべなきものか 世の中の道

 

  短歌

 

893 世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ2鳥にしあらねば

 

(注)@山上憶良 660〜733。遣唐少録として渡唐。伯耆の守や皇太子の教育係となり晩年筑前の守となる。A貧窮 貧者と窮者(極端な貧者)。Bつづしろ 少しずつ食べるに継続反復の助動詞「ふ」の搗いた形。 C糟湯酒 酒かすに湯を加えて作った酒。Dびしびし 鼻水をすする形容。E 麻ぶすま 麻の掛け布団。麻は粗末な衣料。F布肩衣 布は麻などで作った粗製品。肩衣は、丈が短く袖のない上着。Gすらを なのに。H汝が世は渡る 長歌の流れがこの五七七で中断。これまでが貧者の問い。以下窮者の答え。Iわくらばに たまたま。Jなれるを 原文「作乎」。 Kわわけさがれる やぶれて。Lかかふ   ぼろきれ。M伏せ廬 屋根が地面まで葺き下ろされ、地上に伏せたような形。奈良時代の民衆の住居は竪穴式が大部分であった。N火気 煙または湯気。Oぬえ とらつぐみの古名。「のどよひ」にかかる枕詞。Pのどよひ よわよわしい声を出す。Qいとのきて 格別に短い物を更に短く切り詰めること。Rしもと  むち。S里長 里の長。当時五十戸をもって里とした。

 

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

 1 糟湯酒 2 布肩衣 3 海松 4 伏せ廬 5 藁

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

 1 堅塩 

 

 2 着襲ふ

 

 3 直土

 

 4 炊ぐ

 

三 傍線部1について問いに答えよ。

 

 1 どんな気持が込められているか。

 

 2 どんな気持が込められているか。

 

四 二重線部1の文法問題に答えよ。

 

 1、6、7 修辞法

 

 2、3、4 結びの語 活用形

 

 5、9 修辞法

 

 8 修辞法

 

 10 修辞法

 

 893 何句切れか。鳥にしあらねば 修辞法 

 

五 口語訳

892  貧窮問答の歌一首、合わせて短歌

(1)

 風混じりの雨が降る夜、雨がまじり雪が降る夜、どうしようもなく寒いので堅塩をすこしずつ取って食べ、

糟湯酒をすすりすすりせきこんで鼻水をすすり、たいして立派でもないひげをなでて、自分ほどの人はいま

いと誇ってみても、寒いので麻ふすまををひきかぶり布肩衣のありったけを重ね着しても、寒い夜だのに、私

よりも貧し人の父母は飢え寒がっているだろう。妻子どもは食べ物をせがんで泣いているだろう。このような時は、あなたはどのようにして世を渡っていくのか。

(2)

 天地は広いと言っても自分のためには狭くなったのか。日月は明るいけれども自分のためには照りなさらない。人皆そうか自分だけそうか。たまたま人とは生まれたが人並みに自分も生きていけるのか。綿も入っていない布肩衣の海松のように破れて下がっているぼろ切れを肩にかけている。伏せ廬の曲げ廬の内に地面に直接に藁を敷いて、父母は上座に妻子は下座に囲み座り悲嘆しうめき声を発している。竈には煙も立たずこしきには蜘蛛が巣を作り飯を炊く事も忘れて弱々しい声を出しているところに、特に短い物をはしきるというように、鞭を持って里長の声が寝ているところまで来てわめき立てる。こんなにもつらいものかよのなかというものは。

 

893 

 世の中はつらいはずかしいと思うけれど飛び去ることも出来ない。鳥ではないので。

 

構成

 

(1)  貧者=問

かぜ 雨 雪 寒い夜

堅塩を食い糟湯酒を飲む。

麻ぶすま 布肩衣

父母=飢え寒い。妻子=飢えて泣く。

   

   (2)窮者=答 

    天地 狭い。 月日 照らない。

    綿無し 布肩衣は破れる。

    竪穴式住居 地面に直接 藁を敷いて寝る。

    父母=上座 妻子=下座

    竈=煙が立たない。甑=蜘蛛の巣。炊事も忘れる。

    里長=鞭を持ち、取り立てる。

 

短歌

 辛く恥ずかしいが飛び立てない。  

主題 貧しい人の困窮生活

 

   

892 893   解答

一 1 かすゆざけ 2 ぬのかたぎぬ 3 みる 4 ふせいお 5 わら

二 1 精製していないしおのかたまり。2 重ね着する。 3 地面に直接触れている様子。

  4 飯を作るために炊事をする。

三 1 貧しくても大人物であるという自負。 2 生きがたい地上から空に羽ばたこうとしたができなかった。

四 1、6、7 対句。 2 渡る体渡る 3 ぬる体ぬ完了 4 ぬず体打  5、9 比喩

  8 枕詞 「のどよひ」にかかる 10 倒置法。 893 四句切れ。倒置法 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語釈

 

919 C若の浦に潮満ち来れば1潟を無み葦辺をさして鶴鳴き渡る        (巻六)

 

 

(注)@神亀元年  七二四年。「甲子」はその年の干支。A紀伊国  今の和歌山県と三重

県の一部。B山部宿禰赤人  生没年未詳。八世紀前半、元明・元正・聖武朝ころの人。C

若の浦  今の和歌山市西南部の和歌浦。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      甲子        紀伊国        幸し        山部宿禰赤人      葦辺

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      葦辺

 

  次の問いに答えよ。

 

      この歌に用いられている色彩を列挙せよ。

 

  1の文法事項と修辞法に答えよ。

 

      品詞分解 口語訳

 

五 口語訳

 

      神亀元年甲子の年の冬十月五日に、紀伊国に(聖武天皇が)行幸なさった時に、

      山部宿禰赤人がつくった歌

 

  和歌の浦に潮が満ちてくると、干潟がなくなるので、葦の生えている水辺をさして鶴が

  鳴きながら飛んでいく。

 

 

構成

 

  若の浦 満潮 鶴

 

  主題 若の浦の景の美

 

 

 

 

 

 

 

919 解答

 

一 1 きのえね 2 きいのくに 3 いでまし 4 やまべぼすくねあかひと 

  5 あしべ

二 1 葦の映えている水辺。

三 1 潮=青 葦=黄 鶴=白

四 1 潟名 を間投助詞 無形無しク活幹 み接尾語 

形幹+み=原因理由 ガ・・ノデ  潟がなくなるので

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語釈

 

@山部宿禰赤人の作る歌                                      山部赤人

 

924 み吉野のA象山のまの木末には1ここだもさわく鳥の声かも

 

 

(注)@山部宿禰赤人  生没年未詳。八世紀前半、元明・元正・聖武朝のころの人。A象

  今の奈良県吉野郡吉野町宮滝の南西にあり、吉野離宮に近い。                   

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      山部宿禰赤人        象山      木末

 

二 次の1・2の語の意味を辞書で調べよ。

 

      木末

 

      ここだ

 

  傍線部1・Aについて答えよ。 

 

      ここは、「み吉野」の自然のどのような特色をきわだたせているか。

 

      この歌には、カメラが写し出すかのように、大きな対象から次第に焦点を絞って

        いくのに効果的なはたらきをしている語がある。その語を抜き出せ。

 

  二重線部1の文法問題に答えよ。

 

    1の文法的意味。

 

五 口語訳

 

      山部宿禰赤人が作る歌 

 

    み吉野の象山のやまあいの木のこずえにはたくさん鳴きざわめいている鳥の声よ。

 

 

 

構成

 

  み吉野>象山>木末(ここに焦点を絞る) 全体 視覚

 

        木末に群がる鳥・鳥の声 一点 聴覚

 

  主題 山の静寂

 

 

 

 

 

 

924  解答

 

一 1 やまべのすくねあかひと 2 きさやま 3 こぬれ

二 1 こずえ。 2 たくさん。

三 1 木々の生い茂る大自然。 A「の」で焦点を絞る。

四 上代 格助 詠嘆

 

 

 

 

 

 

語釈

 

925 ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

 1 更け 2 久木

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

1 久木

 

2 しば

 

三 修辞法Aに答えよ。

 

 A ぬばたまの

 

四 口語訳

 

 夜が更けていくとキサギが茂っている清い河原に千鳥がしきりにないている。

 

 

構成

 

 夜が更けていく  キサギが茂っている清い河原に千鳥が鳴く

 

 主題 夜の川原の寂しさ。

 

 

 

 

 

925  解答

 

一1ふ。 2 ひさき。

二 1 木の名。キサギの古名というが未詳。 2 しきりに。

三 枕詞 「夜」にかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語釈

 

 

@  沈阿の時の歌一首

 

978 士1やも空しくあるべき万代に語り継ぐべき1は立てずして

 

(注)@沈阿 重い病気。

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

 1 沈阿 2 士 万代

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

 1 士

 

三 傍線部1について問いに答えよ。

 

 1 どういう名か。

 

四 二重線部1の文法問題に答えよ。

 

  1 品詞分解 口語訳

 

五 口語訳

 

男性が空しく終わってよいものか、後の世に伝えるに足る名はたてないで。

 

 

構成

 

  重い病気の時 名を立てる。

 

  主題 名を立てられない悲しみ

 

 

 

 

978  解答

 

一 1 じんあ 2 よろずよ

二 1 男性。

三 1 政治的権力のある地位。

四 1 や係反語 も係助

 

 

 

 

 

語釈

 

    旋頭歌                                     @ 柿本人麻呂歌集

 

1281 1君がため手力疲れ織りたる衣ぞ春さらばいかなる色に1A摺りてば好けむ

                                                          (巻七)

 

(注)@柿本人麻呂歌集  柿本人麻呂と、その周辺の歌を集めた歌集。A摺りてば好けむ

摺り染めにしたらいいでしょう。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      旋頭歌        手力        摺りてば好けむ

 

二 次の1・2の語の意味を辞書で調べよ。

 

      旋頭歌

 

      手力

 

  3 さる

 

  傍線部1の問いに答えよ。

 

  1(1)「君」とは作者にとってどのような人か。

 

    (2)「君がため手力疲れ織りたる衣ぞ」にはどのような気持ちがこめられているか

 

  二重線部1の文法問題と修辞法Aに答えよ。

 

      品詞分解 口語訳

 

  A 区切れ

 

五 口語訳

 

      旋頭歌

 

  あなたのために手も疲れて織った布です。春になったらどんな色に摺り染めにしたらい

  いでしょう。

 

 

構成

 

  冬         春

  疲れもいとわず織る→染める

 

  主題 妻の優しさ

 

 

 

 

 

 

 

1281 解答

 

一 1 せどうか 2 たじから 3 す よ

二 1 上代の歌体お一体。五七七 五七七 2 手の力。腕の力。3 やってくる。

四 1 摺り動用摺るラ四 1 て 助動つ未強意 ば 接助順接仮定条件 

  好け 形好く数く未ク活(上代 未と已に「け」) む助動む止推

  摺り染めにしたらいいでしょう

 

 

 

語釈

A   山上憶良

@  東歌

 

 

 

@  岡本天皇の御製歌一首                                  舒明天皇

 

1511 夕され1A小倉の山にB鳴く鹿は1今夜は鳴かず2い寝にけらしも      (巻八)

 

 

(注)@岡本天皇  五九三?〜六四一。飛鳥岡本宮(今の奈良県高市郡明日香村か)を居

とした、舒明天皇。A小倉の山  所在未詳。一説に、奈良県桜井市今井谷付近の山。B鳴

く鹿は  巻九に、雄略天皇の歌で「臥す鹿は」という類歌がる。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      御製歌        今夜

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      い寝

 

      さる

 

  傍線部1・2の問いに答えよ。

 

      にはどんな気持ちがこめられているか。

 

      こう推定する根拠を表す語句を抜き出せ。

 

  二重線部1・2の文法問題と修辞法Aに答えよ。

 

        文法的意味。

 

      句切れ

 

五 口語訳

 

      岡本天皇御製歌一首

 

夕方になるといつも小倉山で鳴く鹿は、今夜は鳴かない。寝てしまったらしいな。

 

 

 

構成

 

  夕方 小倉山 鹿=泣かない

          ↑

         寐たのか?

 

  主題 鹿が鳴くことへお感興

 

 

 

 

 

 

1511  解答

 

一 1 おおみうた 2 こよい

二 1 寝る(ナ下二)。 2 来る。

三 1 うちもは鳴くおだがいつもと違うことを感じる気持ち。

  2 「鳴かず」

四 1 接助 順接確定条件恒時条件 A 四句切れ。

 

語釈

 

 

   

@  額田王の歌                                              額田王

 

3202 A熟田津1船乗りせ2と月待て3潮もかなひぬ今は漕ぎ出で4    (巻一)

 

 

(注)@額田王  生没年未詳。七世紀後半、大海人皇子(のちの天武天皇)と結婚、のち

天智天皇にめされた。A熟田津  今の愛媛県松山市にあったといわれる港。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      額田王        熟田津      漕ぎ出でな

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      かなふ

 

  傍線部1の問いに答えよ。

 

      「も」は言外にどういうことが含まれているか。

 

  二重線部1〜4の文法問題と修辞法Aに答えよ。

 

  1 に  文法的意味

 

   2  む 文法的意味

 

  ば 文法的意味

 

      な 文法的意味

 

      句切れ

 

五 口語訳

 

      額田王の歌

 

  熟田津で船を乗り出そうと月(の出)待っていると(月も出て)潮もぴったりあった。

  (さあ)今こそ漕ぎ出そう。

 

 

構成 

 

  661年 熟田津 百済救援軍団出陣 月=潮 合った

 

  主題 出港の緊張感

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3202  解答

 

一 1 ぬかたのおおきみ 2 にきたつ 3 こ い

二 1 ぴったり合う。

三 1 待っていた月も出た。

四 1 格助場所 2 助動む止意志 3 接助順接確定条件偶然条件 ト 

 4 (奈良時代)終助決意 A 四句切れ

 

語釈

 

3351 A筑波嶺にB雪1かも振らるCいなを2かもかなしきD児ろが布乾さる3かも

 

  右、常陸の国の歌

 

(注)@東歌 東国地方の歌。A筑波嶺 茨城県筑波郡の東北地にある山。筑波山。B雪かも振らる 雪が降っているのだろうか。「振らる」は「降れる」の東国方言。Cいなをかも ちがうだろうか。D児ろ 「児ら」の東国方言。

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

 1 東歌 2 児ろ 3 布

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

 1 かなし

 

三 二重傍線部1〜3の文法問題に答えよ。

 

 1〜3 文法的に説明せよ。

 

四 口語訳

 

 筑波山は白いが、雪が降っているのか、違うかも、子供たちが布を乾しているのかも。

 

 

構成

 

  筑波山=白い 雪? ちがう? 子供が布を干す?

 

  主題 子供の過酷な労働 

 

 

 

 

 

 

 

3351   解答

 

一 1 あずまうた 2 こ 3 にの

二 1 いとおしい。

三 1〜3 上代特有終助 助詞詠嘆ナア

 

 

 

 

 

 

 

語釈

 

                                                        

                                                        (東 歌)

3373 @多摩川に曝す手作Aさらさらに何そこ1ここだ愛しき      (巻十四)

 

 

(注)@多摩川  東京都西部から川崎市との間を東流し、東京湾に注ぐ川。Aさらさらに

今新たに。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      東歌        曝す          愛しき

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      東歌

 

      曝す                 

 

      ここだ

 

      愛し

 

  傍線部1と2の問いに答えよ。

 

      作者とどういう関係にある人物か。

 

  2 水の音を表す語を抜き出せ。

 

四 二重線部1、2の文法問題と修辞法A・Bに答えよ。

 

        文法的意味

 

        文法的意味

 

      多摩川に曝す手作  修辞法

 

  B 愛しき  修辞法

 

五 口語訳

 

      東歌

 

  多摩川に曝す手織りの布のように、今新たにどうしてこの子がたいへんかわいいのだろ

  うか。

 

 

構成

 

  多摩川 布さらし(重労働)=女性の仕事

 

  主題  助sうぇいへの恋

 

  3373  解答

 

一 1 あずまうた 2 さら 3 かな

二 1 上代東国地方の若で農民の素朴な民謡風の恋愛歌が多い。 

2 布などを白くするため灰汁で 煮たり水洗いしたりして日に当てる。

3 たいへんに。 4 いとしい。かわいい。 

 三 1 作者の恋人。 2 曝 さらさら

 四 1 格助連体修飾ノ 2 格助主格ガ A 序詞 かかる語 さらさらに B 連体止め

 

 

 

 

語釈

 

 

  東歌

 

3459 1稲搗けばかかる我が手を今夜2か@殿の若子が取りて嘆か3

 

(注)@殿の若子 御殿の若さま。

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

 1 搗け 2 殿の若子

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

 1 かかる

 

三 次の問いに答えよ。

 

 作者は男か女か。

 

四 二重傍線部1〜3の文法問題に答えよ。

 

 1 品詞分解 口語訳

 

 2 どういうことが分かるか。

 

 3 品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

五 口語訳

 

 米を搗くのであか切れになったこの手を、御殿の若様が今夜も手にとって嘆いてくれるだろうか。

 

 

構成

 

 米つきであか切れの手を若様が嘆いてくれる。

 

 主題 米つき女の荒れた手

 

 

 

3459   解答

 

一 1 つ 2 とののわくご

二 1 ひびがきれる。あか切れが出来る。

三 女

四 1 稲名 搗け動搗くカ四 ば接助順接確定条件原因理由 米を搗くので

  2 毎晩のこと。 3 助動む体「か」の結び推量

 

語釈

 

                                                   

@   二十三日、興に依りて作る歌                                A大伴家持

 

4290 春の野に霞たなびきうら悲しこの夕かげに鶯鳴く1

 

 

(注)@二十三日  七五三年(天平勝宝五)二月二十三日。A大伴家持  七一八?−七八

五。大伴旅人の子。『万葉集』の編者といわれる。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      興に依りて    2 大伴家持              

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      夕かげ

 

  傍線部1と2の問いに答えよ。

 

      「二十三日」とあるが、季節はいつか。

 

      大伴家持の歌に特徴的な、春という季節感に伴った「うら悲し」という感情を、

        漢字二字の熟語で示せ。また、それと対応する語も示せ。

 

  二重線部の文法問題と、修辞法Aに答えよ。

 

    1   文法的意味

 

    A 何句切れか

 

五 口語訳

 

      二十三日、感興のおこるままに作る歌

 

    春の野に霞がたなびいて、なんとなくもの悲しい。この夕日の光に鶯が鳴いているよ。

 

 

 

 

構成

 

  春・野・霞=悲しい。夕日・鶯

  

  主題 春の悲しみ

 

 

 

 

 

4290  解答

 

一 1 きょう よ 2 おおとものやかもち 3 かすみ 4 うぐいす

二 1 夕方の光。

三 1 春。 2 春愁。 啾啾。

四 1 係助詠嘆。 A 三句切れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

語釈

 

 

 

大津皇子、ひそかにA伊勢の神宮に下りて上り来ましし時の大伯皇女の御作歌                                                                     

 

@  二十五日、作る歌一首                                  A大伴家持

 

4292 うらうらに照れ1春日に雲雀上がり1情悲し一人3思へば    (巻十九)

 

(注)@二十五日  七五三年(天平勝宝五)二月二十五日。A大伴家持  七一八?〜七八

五。旅人の子。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      大伴家持          春日        雲雀

 

  次の語の意味を古辞書で調べよ。

 

      うらうらに

 

三 傍線部1の問いに答えよ。

 

      作者の気持ちに注意する。

 

  二重線部1〜3の文法事項と修辞法A・Bに答えよ。

 

        品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

        文法的意味

 

        文法的意味

 

      句切れ

 

      修辞法

 

五 口語訳

 

      二十五日に作る歌

 

  うららかに照っている春の日(の光の中)に雲雀が(舞い)上がり心が悲しいことだ。

  一人もの思いしていると。

 

 

構成

 

  うららかな春の日 雲雀=明 景

 

  孤独 寂寥      =暗 情

 

  主題 孤独・寂寥

 

     新興勢力藤原氏に押された政治状況

 

 

 

 

4292  解答

 

一 1 おおとものやかもち 2 はるひ 3 ひばり

二 1 うららかに

三 1 孤独感を抱いたから。

四 1 助動る体存続 2 係助詠嘆 3 副助強意 

  A 四句切れ B 倒置法

 

語釈

                          

 

4346 父母が頭かきなで@幸くAあれて言ひしBけとばぜ忘れかねつる

                       

右の一首は、丈部稲麻呂1なり。

 

(注)@幸く  無事で。Aあれて  「あれと」の古代東国方言。Bけとばぜ  「ことばぞ

」の古代東国方言。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      防人      幸く      丈部稲麻呂

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      防人

 

  この歌は年少の防人の歌である。このことがわかる表現を抜き出せ。

 

  文法・修辞法

 

            文法的意味

 

五 口語訳

 

      父母が、頭をなで、無事でいろって言ったこどばさわすれかねる。

 

        右の一首の歌は、丈部稲麻呂の歌である。

 

 

構成 

 

  父 

  =  「無事でいろ。」→子の頭をなでる。

  母

 

 

 

 

4346  解答

 

一 1 さきもり 2 さ 3 はせべのいなまろ

二 1 上代から平安時代にかけて壱岐・対馬九州北岸の防備についた兵士。

三 「父母が頭かきなで」

四 1 格助体言の代用。

 

*ここには,少年兵が居る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                    (防人歌)

語釈

 

4401 韓衣裾に取りつき泣く1子らを置きてそ来1や2母なしにして    (巻二十)

 

 

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      防人        韓衣       

 

  次の1・2の語の意味を辞書で調べよ。

 

      防人

 

      韓衣

 

  傍線部1の問いに答えよ。

 

      「子ら」が泣くのはなぜか。また、「子ら」の将来について、どのような運命が

        予想されるか。

 

  二重線部1、2の文法問題と修辞法A〜Cに答えよ。

 

        品詞名 基本形 活用形 文法的未

 

      母なしにして  品詞分解 口語訳

 

      韓衣

 

      句切れ

 

      母なしにして  修辞法

 

五 口語訳

 

  (舶来の衣ではないが門出の晴れ着の)着物の裾にくっついて泣く子供たちを置いて来

てしまったことだよ。母のない子供たちでああるのに。

 

 

 

 

構成

 

  父―防人

        子

  母―死

 

主題 子の悲惨な運命 

 

 

 

 

4401  解答

 

一 1 さきもり 2 からころも 3 すそ

二 1 上代から中古にかけて唐・新羅かrなお侵入に備え、九州北辺に置かれた防衛兵。東国から任期3年で 2 美しく珍しい衣服。

三 1 なぜか 父との別れを悲しんでいるから。

予想 働き手を失う。母も居ない。→孤立した悲惨な運命。

四 1 助動ぬ止完了 2 母名 なし形なしク活 に助動なり用断定 

して接助逆接確定 母が居ないのに。  

  3 枕詞→裾 4 四句切れ 5 倒置法

 

 

山部赤人

語釈

 

@  防人歌

 

4425 防人に行くはたが背と1問ふ人を2見るがともしさ3物思ひもせず

 

(注)@防人 九州北部を守備するために主として東国から召集された兵士。

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

  1 防人 2 背

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

  1 背

 

  2 ともし

 

三 傍線部1〜3の問いに答えよ。

 

 1〜3 それぞれ主体を記せ。

 

四 修辞法A・Bに答えよ。

 

 A 何句切れか。

 

 B 見るがともしさ物思ひもせず 

 

五 口語訳

 

  「防人に行くのは誰の夫なの?」と聞く人を見るのはうらやましいことだ。物思いもしないで済んで。

 

 

構成

 

  「誰の夫?」 尋ねる人

 

  主題 防人に行く妻の悲嘆  

 

4425   解答

 

一 1 さきもり 2 せ

二 1 妻から夫を親しんで言う語。 2 うやましいことだ。

三 1 尋ねている人。 2 作者。 3 尋ねている人。

四 A 四句切れ。 B 倒置法。

 

 

 

 

 

 

文学史 歌集 全二十巻 約四千五百首

 

  成立 八世紀後半

 

  内容 三大部立(雑歌・相聞・挽歌) 万葉仮名 

 

撰者   大伴家持が編纂に関係

     

     歌体   短歌 長歌 施頭歌 仏足石歌

 

     主要歌人 額田王 柿本人麻呂 山部赤人 山上憶良 大伴旅人 大伴家持

 

     形式   五七調中心 助詞止め 枕詞 序詞

 

     歌風   感動 素朴 直感的 具象的