(9)三十一 雪のおもしろう降りたりし朝
語釈
雪のおもしろう降りたり1し朝、1@人のがり言ふべきことありて、文をやるとて、雪のこと何とも言はざ
りし2返事に、「この雪いかが2見ると、一筆3のたまはせ3ぬほどの、Aひがひがしからん人の仰せ3らる
ること、聞き入る4べきかは。4かへすがへす口惜しき御心なり。」と5言ひたりしこそ、6をかしかりしか。
今は7亡き人5なれば、8かばかりのことも忘れ難し。
(注)@人のがり 人のもとへ。Aひがひがしからん人 風流を解さないような人。B聞き入るべきかは 聞き入れることができるだろうか(いや、できない)。
一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 朝 2 文 3 返事 4 仰す 5 口惜し
二 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 おもしろし
2 文
3 いかが
4 のたまはす
5 口惜し
6 をかし
三 傍線部1〜8との問いに答えよ。
1 (1)文を送ってその用件を果たせたか。
(2)「返事」ではどのように述べているか、抜き出せ。
2 「返事」は、誰から誰へのものか。
3、5 主語を記せ。
4 こう言っているのはなぜか。
6 ここに込められた作者の気持ちはどのようなものか。
7 「亡き人」はどのような人か。
8 指示内容を具体的に記せ。
四 二重線部1〜5の文法問題に答えよ。
1 品詞 基本形 活用形 意味
2 品詞 基本形 活用形 活用の種類
3 品詞 基本形 活用形 意味
4 品詞 基本形 活用形 意味
5 品詞 基本形 活用形 意味
五 口語訳 雪の趣深く降った朝、人のもとに言うべきことがあって、手紙をやるといって、雪のことをなんとも言わなかった返事に、「この雪をどう見ていると、一言もおっしゃらなかいという風流を解さない様な人のおっしゃることをききいれることができるだろうか、(いやできない)。かえすがえす残念なおもいをしたことだ。」と言ったのは面白かった。今は死んでいない人なので、これほどのことも忘れがたい。
構成
構成
雪の朝 |
場面 |
返事 「雪の事が書いてない。部風流だ。用件は聞けない。」 → 残念だ。 |
人 |
←用件のみの手紙 ←面白い。 |
作者 |
主題 個人となった、風流を解する人を追想
(9)三十一 雪のおもしろう降りたりし朝 解答
一 1 あした 2 ふみ 3 かえりごと 4 おお 5 くちお
二 1 風情・趣がある。 2 手紙。 3 どう。 4 おっしゃる。 5 残念だ。 6 面白い。
三 1 (1 )果たせなかった。(2)「聞き入るべきかは」 2 「人」から作者へ
3 作者。 4 用件だけで雪の事に触れていなかったから。5 「人」。
6 「人」の風流を解する心が分かって感心したという気持ち。 7 風流を解する人。
8 作者が用件のみの手紙を出したために、風流心のなさをとがめられた一件。
四 1 助動き体過 2 動見る止マ上一 3 助動らる体尊 4 助動べし体可能 5 助動なり已断