TOPへもどる

古文へもどる

(4)八  世の人の心を惑はすこと
語釈
 (1)世の人の心を惑はすこと、色欲にはしかず。人の心は愚かなるもの1かな。匂ひなどは假のものなる

 

に、@しばらく衣裳に薫物すと知りながら、2えならぬ匂ひには、必ず心ときめきするもの3なり

 

(2)A久米の仙人の、物洗ふ女のはぎの白きを見て、B通を失ひ4けんは、まことに手足・はだえなどの

 

よらに、肥えあぶらづきたら5は、C外の色なら6ば、1もあらんかし。

(注)@しばらく 一時的に。A久米の仙人 大和国(奈良県)の人。深山に籠もって修行し、空中を飛

行する力を身につけたという。この話は、『今昔物語集』などにある。B通 神通力。C外の色 ほかから

仮につけた美しさ。

 

一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

 1 惑はす 2 衣裳 3 薫物 4 久米の仙人 5 肥え

 

二 次の語の意味を辞書で調べよ。

 

 1 色欲 

 

 2 はぎ

 

 3 はだへ

 

 4 清らなり

 

 5 あぶらづく

 

三 傍線部1の問いに答えよ。

 1 指示内容を記せ。

四 二重傍線部1〜6の文法問題に答えよ。

 

 1 文法的に説明せよ。

 

 2 品詞分解 口語訳

 

 3 品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

 4 品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

 5 品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

 6 品詞名 基本形 活用形 文法的意味

 

 

 

五 口語訳

(1)

世間の人の心を迷わせることは、男女間の情欲には及ばない。人の心は、愚かなものだなあ。匂いなどはかりそめに付けたものであるのに、しばらく衣装に香をたいてそのにおいをしみこませたと知っていながら、言いようもないいい匂いには、必ず心をときめかすものだ。

(2)

 久米の仙人が、洗濯をする女のすねの白いのを見て、神通力を」失ったとうことは、本当に、手足・肌などの清らかで美しく肥え、太って肉づきがよいのには、ほかから仮につけた色情ではないので、そういうこともあるだろう。

 

 

構成

(1)   人 色情に惑わされる。

匂いー外から=嗅覚

 

(2)   例 久米の仙人

肌の美―中から=視覚

 

主題 色情の特色 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)八  世の人の心を惑はすこと  解答

一 1 まど 2 いしょう 3 たきもの 4 くめのせんにん 5 こ

二 1 男女間の情欲。 2 すね。 3 はだ。 4 清らかで美しい。5 太って肉付きが良くなる。  
三 1 久米の仙人が女の白い肌のすねを見て、其の魅力に心迷いをしたこと。

四 1 終助詠嘆 2 え 副 なら動なるラ四未 ぬ助動ず体 いいようもない。

  3 助動なり止断 4 助動けむ体過推 5 助動む体婉 6 助動ず已打