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(25)百九    高名の木登り

語釈                                            徒然草 

 

(1)高名の木登りと1ひし男、人をおきてて、高き木に2せて梢を切らせしに、いと危ふく

 

どはこともなくて、3降るるときに1軒たけばかりになり、1「過ちすな。心して降りよ。」

 

と言葉をかけ1侍り、2「4かばかりになりては、飛び降るとも降りなん。いかに5かく

 

ぞ。」と2申し侍りしかば、3「6そのことに4候ふ。目くるめき、枝危ふきほどは、7おのれ

 

が恐れ54侍れば、6申さず。過ちは、やすき所になり、必ず7つかまつることに8候ふ。」と

 

 

(2)8あやしき下なれども、A聖人の戒めにかへり。Bまりも、難き所を蹴いだしてのち、

 

すく思へば、必ず落つと9C侍るやらん

 

(注)@軒たけ  家の軒の高さ。A聖人の戒め  「戒め」は、教え。『易経』に「君子安

而不忘危・・・治不忘乱。是以身安而国家可保也。」とあるのによる。Bまり  蹴鞠。貴

族の遊戯。革ぐつをはき、数人でまりを、地上に落とさないように蹴る。C侍るやらん 

言っておりますようです。「やらん」は「にやあらん」の縮まった形。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      高名                  過ち      侍る      候ふ        

 

    8  戒め      難き所    10  蹴いだして

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      高名

 

      木登り

 

     

 

      心す

 

      くるめく

 

      やすし 

 

      あやし

 

      難し

 

  傍線部1〜8とA・Bの問いに答えよ。

 

      主語。

 

      主語。

 

      主語。

 

      指示内容。

 

      指示内容。

 

      何のことか。

 

      誰のことか。

 

      誰のことか。

 

      1〜3の会話は誰が誰に言ったものか。

      この文章の要旨に似た一般的なことわざに1(                           

 

        2(                      )があり、四字熟語に3(            )がある。

 

  二重傍線部1〜9の敬語について次の表を埋めよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注意

 

番号

侍る

候ふ

つかまつる

申さ

侍れ

候ふ

侍り

申し

侍り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

種類

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地の文

会話文

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敬意

誰が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰を

 

五 口語訳

(1

評判の木登りと言われた男が、人を指図して、高い木に登らせて梢を切らせた時に、たいそう危なく見えたうちは言うこともなくて、降りるときに軒くらいの高さになって、「失敗するな。用心して降りろ。」と言葉をかけましたのを、「これぐらいになったら、飛び降りても降りられよう。どうしてこう言うのだ。」と申しましたところ「そのことでございます。目くらみ枝危ないうちは、自分で恐れますので、申しません。失敗はやさしいところになって、必ずいたすことでございます。」と言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

構成

(1)    

身分が低い下臈だけれども、聖人の教えにかなっている。蹴鞠も難しいところを蹴出してのちに、やさしいと思うと必ず落とすと言っております。

 

 

(1)高名の木登り   「注意しろ。」 「易しいところで失敗する。」

 

    木に登った人   軒丈くらい   筆者「なぜ?」

 

(2)高名の木登り=賤しい身分 

 

聖人の戒めにかなう。『易経』

 

筆者 蹴鞠でもそうだ。

 

主題 専門家の人間洞察力の確かさ

 

 

 

(25)百九    高名の木登り    解答

                                       

一 1 こうみょう 2 こずえ 3 おき 4 あやま 5 はべ 6 そう

  7 げろう 8 いまし 9 かた 10 

二 1 評判の高いこと。2 木にのぼることを職業としている人。 3 指図する。

  4 用心する。 5 目がくらむ。 6 やさしい。 7 身分が低い。 8難しい。

三 1 世間の人。 2 高名の木登り。 3 木に登った人。 4 「軒たかばかり」

  5 「過ちすな。心して降りよ。」 

6 飛び降りられそうな所まで降りて来たときに、注意して降りろと声を掛けたこと。

7 木に登った人 8 高名の木登り

A 1 高名の木登りが木に登った人に 2 筆者が高名の木登り

3 高名の木登りが筆者に 

B 1 猿も木から落ちる。 油断はけがの本。 治にいて乱を忘れず。

  2 弘法も筆の誤り。 3 油断大敵。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注意

 

番号

侍る

候ふ

つかまつる

申さ

侍れ

候ふ

侍り

申し

侍り

 

 

高名の木登り

 

 

 

筆者

 

主語

丁寧

丁寧

謙譲

謙譲

丁寧

丁寧

丁寧

謙譲

丁寧

種類

地の文

会話文

会話文

会話文

会話文

会話文

地の文

地の文

地の文

地の文

会話文

筆者

高名の

高名の

高名の

高名の

高名のき

筆者

筆者

筆者

敬意

誰が

読者

筆者

筆者

筆者

筆者

筆者

読者

高名の木

読者

 

誰を