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(24)九十二 ある人、弓射ることを習ふに                                 

(1)

ある人、1弓射ることを習ふ、諸矢をたばさみ的に向か。師のはく、「初心の人、二つの

 

矢を持つことなかれ。のちの矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。毎度ただ得失なく、この

 

一矢に定べしと思へ。」と言わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせ2と思は

 

や。懈怠の心、2みづから知らずといへども、師3これを知る。4このいましめ、万事にわた

 

る4べし

(2)

道を学する夕には朝あら5ことを思ひ、朝には夕あら6ことを思ひて、重ねてねんごろ

 

に修せ7ことを期す。7はんや一刹那の内において、8懈怠の心あることを知ら。9

 

、ただ今の一念において、ただちにすることのはなはだ難き。

 

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

      射る        諸矢                  初心          毎度

 

      得失        一矢        懈怠        万事        10 

 

    11        12  修せん  13  期す    14  一刹那    15  一念

 

    16  難き

 

  次の語の意味を辞書で調べよ。

 

      諸矢

 

      たばさむ

 

      なほざりなり

 

      得失

 

      おろそかなり

 

      懈怠

 

      わたる

 

      重ねて

 

      ねんごろなり

 

    10  期す

 

    11  はんや

 

    12  一刹那

 

    13 

 

    14  一念

 

    15  難し

 

 

  登場人物を抜き出し、傍線部1〜9と*の問いに答えよ。

 

    *筆者が最も力強く訴えているのはどの部分か、一文で抜き出せ。

 

      「弓射ることを習ふ」人と5「道を学する」人の話とに共通することはどのよう

        なことか。

 

      誰を指すか。

 

      指示内容。

 

      指示内容。

 

      修辞法。

 

      ここに含まれている気持ちを説明せよ。

 

      主語を記せ。

 

      どの箇所につづくか。

 

  二重線部1〜8の文法問題に答えよ。

 

     

 

     

 

     

 

     

 

     

 

     

 

 

 

   

 

五 口語訳

(1)

ある人が弓を射ることを習うときに、日本の矢を手に持って的に向かう。師が言うことには、「初心の人よ。二本の矢を持つな。後の矢を頼りにして、はじめの矢にいい加減な心が起こるからだ。毎回、ただ成功と失敗を考えず、この一本で決めようと思え。と言う。わずかに二本の矢を師の前で、一本をおろそかにしようと思おうか、(いやおもわない)。怠け心は自分では知らないと言っても、師はそれを知っている。この戒めは万事に通じるに違いない。

(2)

仏道を学ぶ人は、夕方には翌日の朝があると思い、朝にはその日の夕方があることを思ってその時に、もう一度丁寧に修行しようと期待する。まして、一瞬のうちに、怠け心が琴を知ろうか(いや知りはしない)。どうして今すぐの瞬間に置いて、直ちにすることは、きわめて難しいのか。

 

 

構成

 

(1)弓を習う

 

 集中 甲矢→乙矢    気が緩む

 

(2)道を学ぶ

    

    集中 夕 →朝 朝→夕 気が緩む

 

主題 その時、集中してすることの難しさ

 

 

 

 

 

 

 

(24)九十二 ある人、弓射ることを習ふに    解答

 

一 1 い 2 もろや 3 まと 4 しょしn 5 まいど 6 とくしつ 7 ひとや

  8 けだい 9 ばんじ 10 ゆうべ 11 あした 12 しゅ 13 

 14 いっせつな 15 一年

二 1 対となった二本の矢。甲矢と乙矢。的に向かうときは二本の矢を持つのが作法。

  2 手に挟み持つ。 3 おろそかあ。いい加減。 4 成功と失敗。 5 おろそか。

  6  怠けること。 7 通じる。 8 もう一度。 9 念を入れて丁寧にする様。

  10 期待する。 11 まして。 12 ほんの一瞬。 13 どうして・・・か。

 14 きわめて短い時間。 15 むずかしい。

三 弓を習うひと 師 * 何、ただ今の一念において、ただちにすることのはなはだ難き                               

  1 後の機会を頼んで、はじめの練習、学問に真剣になれない。

  2 弓の弟子。 3 「懈怠の心」 4 「この一矢に定べしと思へ。」  

  6 対句 

7 夕方から朝というような一日という時間でも怠け心ができるのに気がつかないのだから。、

  8 「道を学する人」 9 「難き」

四 1 助動べし止意志 4 助動べし止推量 2 助動む止意志 

3 助動む止仮定婉曲 5 助動む体仮定婉曲 6 助動む体仮定婉曲 

7 助動む体仮定婉曲 助動む体仮定婉曲