一 つれづれなるままに
語釈
1つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかと
なく書きつくれば、あやしう1こそものぐるほしけれ。
一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 徒然草 2 兼好法師
3 日暮し 4 硯
二 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 つれづれなり
2 日暮し
3 よしなしごと
4 そこはかとなし
5 あやし
6 ものぐるほし
三 傍線部1はどこにかかるか。
『徒然草』が随筆であることを端的に表している言葉を抜き出せ。
四 二重線部の文法問題について記せ。
1 結びの語、基本形、活用形
五 口語訳
することがなく退屈なまま、一日中硯に向かって、心の浮かんでくるつまらないことを、どうということもなく書きつけていると、不思議に気違いじみてくる。
構成
執筆について
動機 つれづれなるままに
態度 日暮らし硯に向かひて
対象 心にうつりゆくよしなしごとを
姿勢 そこはかとなく書きつくれば
心境 あやしうこそものぐるほしけれ
主題 随筆の本質
文学史 随筆 二巻
成立 1331年ごろ
内容 244段 無常観で人生や人間について考えている。
作者 京都吉田神社の神官の家に生まれた。後二条帝に六位蔵人として仕た
が、天皇没後の三十才前後に出家し遍歴した。後、双ガ丘に隠棲した。
二条為世門の四天王と言われた。
(1)一 つれづれなるままに 解答
一1 つれづれぐさ 2 けんこうほうし 3 ひぐらし すずり
二 1 することがなく退屈なさま。 2 一日中。 3 とりとめもないこと。
4 はっきりした理由がない。 5 不思議だ。 6 狂気じみている。
三1 書きつくれば そこはかとなく
四 1 ものぐるほしけれ ものぐるほし 已
*『枕草紙』第三一九段には随筆を書く自覚が述べられている。それはここに完結された。