(33)二九九 雪のいと高う降りたるを
語釈
雪のいと1高う降りたるを、1@例ならずA御格子参りて、B炭櫃に火おこして、物語など2して2集ま
り侍ふに、3「少納言よ、C香炉峰の雪いかなら3む。」と4仰せらるれば、5御格子上げさせて、御簾を6高
く上げたれば、7笑はせたまふ。人々も、「8さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそよら4ざりつれ。
なほ9Dこの宮の人には10Eさべきなめり。」と言ふ。
(注)@例ならず いつもと違って。A御格子参りて 御格子をお下げもうしあげて。B炭櫃 角火鉢。C香炉峰の雪 『白氏文集』の句。Dこの宮の人この中宮にお仕えする女房としては。Eさべきなめり それにふさわしい人であるようだ。
一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 格子 2 炭櫃 3 侍ふ 4 香炉峰 5 御簾
二 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 炭櫃
2 物語
3 仰す
4 さること
三 「 」が誰の言葉か記し、*と傍線部1〜10の問に答えよ。
*内容の上で三つに分類されるうちのどれか。
ア 類聚章段 イ 日記回想的章段 ウ 随想的章段
1 いつもはどういう状態か。
2・4・5・6の主語は誰か。
3「 」 誰の言葉か。
7 この笑いはどういう性格のものか。
8 指示内容を記せ。
9 誰のことか。
10 誰がふさわしいのか。
四 次の文法事項に答えよ。
1 音便の種類 もとの形
2 品詞名 基本形 活用形 活用の種類
3、4 品詞名 基本形 活用形 文法的意味
五 口語訳
雪がたいそう高く降り積もっているのに、いつもと違って御格子をお下げ申して、角火鉢に火をおこ
して、雑談などをして集まって思考しているときに、「少納言よ、香炉法の雪はどんなだろうか。」とお
っしゃるので、御格子を(人に)上げさせて(私が)御簾を高く上げたところお笑いになる。 人々も
「そういうことは知っており、歌などにまで詠うけれど、おもいつきもしなかった。やはり、この中宮
にお仕えする女房としてはそれにふさわしい人であるようだ。」と言う。
構成
宮中 雪 炭櫃 |
時 場所 |
Q「香炉峰の雪は?」 → 笑う |
定子 |
A 格子を上げさせる。 自ら簾を高く上げる。 (女房)「知っているがおもいよらない。定子には清少納言だ。」 |
清少納言 |
『白氏文集』 香炉峰の雪の詩 |
背景 |
主題 雪蓑際の清少納言の機知
(33)二九九 雪のいと高う降りたるを 解答
一1 こうし 2 すびつ 3 さぶら 4 こうろほう 5 みす
二1 角火鉢 2 話をすること。 3 おっしゃる。 4 そういうこと。
三 イ
1 雪の降る日には格子を上げておく。 2 女房 4 定子 5 作者 6 作者
3 定子 7 予定通りに成ったという会心の笑み。
8 香炉峰の雪をよんだ漢詩の事。 9 定子 10 清少納言
四 1 ウ音便 高く 2 動す用サ変 3 助動む止推 4 助動ず用打