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(1 )一 春はあけぼの                                       

語釈

 

  春は、1あけぼの。やうやう白くなりゆく、2山ぎは少し@あかりて、A紫だちたる雲の細くたなびき3

 

 

夏は、夜。月のころはBさらなり、闇1なほ、蛍の多く飛びちがひ4たる。また、ただ一つ二つなど、5

 

ほのかにうち光りて行く2、をかし。雨など降る3、をかし。

 

秋は、夕暮れ。夕日のさして6山の端いと近うなりたるに、からす4寝どころへ行くとて7三つ四つ、二

 

つ三つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて雁など5連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。

 

日入り果てて、9風の音、10虫の音など、Cはた言ふべきにあらず。

 

冬は、つとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、また、11Dさらでもいと寒き

 

に、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、12Eぬるくゆるびもていけば、火

 

桶の火も白き灰がちになりて、わろし。

 

(注)@あかりて 明るくなって。赤らんで。A紫だちたる 紫がかったBさらなり 言うまでもない Cはた言ふべきにあらず またなんともいいようがないDさらでも そうでなくてもEぬるくゆるびもていけば 寒さが薄らぎだんだん温かくなっていくと

  

  次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。

 

              山の端            4 風の音  5 虫の音      火桶

 

  1〜5の語の意味を辞書べよ。

 

      やうやう

 

      さらなり

 

      をかし

 

      あはれなり

 

    5 つとめて

 

  6 つきづきし

 

  7 わろし

 

  *と傍線部1〜12の問に答えよ。

 

    *内容の上で三つに分類されるうちのどれか。

 

   ア 類聚的章段  イ 日記回想的章段  ウ 随想的章段

 

   1 こういう終わり方を何というか、またその効果。

 

     2「山ぎは」と6「山の端」の違いを図示せよ。

 

   3・4 こういう終わり方を何というか、またその効果。

 

   5 どこにかかるか。

 

   7  この数詞の配列からどんな情景が想像されるか。

 

   8 照応する部分を抜き出せ。

 

    9「風の音」と10「虫の音」の読みの違いと意味の違いを記せ。

 

   11 具体的に説明せよ。

 

   12 主語を記せ。

 

四 二重線部1〜5の文法問題に答えよ。

 

   1〜3の「も」はそれぞれどんなことに対して「も」といったのか。

 

   4・5 文法的に説明せよ。 

 

五 口語訳

 春はあけぼの。だんだん白くなっていく(うちに)山際が少し明るくなって紫がかった雲が細く帯のように長く引いているの。

 夏は夜。月の頃は言うまでもない。闇でもやはり蛍がたくさん飛び交っている。また、一つ二つぐらいずつかすかに光っていくのも趣がある。雨などが不ryの裳趣がある。

 秋は夕暮れ。夕日が差して山の稜線に大層近くなったころに、烏がねぐらへ帰ろうとして三羽四羽、二羽三羽とうように急いで飛んでいくのまでしみじみと情趣深い。まして雁などが列をなして飛んでいくのが

 大層小さく見えるのは、大層趣深い。日がすっかり沈みきって、風の音、虫のねなど、またなんともいいようがない。

  冬は早朝がいい。雪が降った(早朝)はいうまでもない。霜がたいおす白いのも、また、そうでなくても大層寒い(早朝)に火など急いで起こして、炭火を持って移動するのも大層ふさわしい。昼になって寒さがうすらぎだんだん暖かくなっていくと火鉢の火も白い灰ばかりになってよくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

構成

 

主題 作者の発見し,創造した四季の美

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春宵 春夜

「あさぼらけ」

「あかつき」

 

短夜 闇(古代においては恐ろしい世界)

 

 

 

 

烏(あまり取り上げられない) 

 

 

 

 

 

 

 

当時の常識

 

「あけぼの」  山ぎわ 雲 

色調の変化 静的

 

 

「夜」 月夜

闇夜 蛍多い 蛍一つ二つ

雨夜

闇と光 動的

 

「夕暮れ」

日没前 烏 雁 視覚で

日没後 風の音 虫の音

        聴覚で

 

「つとめて」

雪 霜 雪霜なくても

寒さ

 

作者の発見

 

叙景 好ましい点 軽い

 

 

 

叙景 好ましい点 軽い

 

 

 

 

 

叙景 好ましい点 力入れる    

 

 

 

 

 

叙情 好ましい点 力入れる

   好ましくな

い点

 

 

 

 

展開の仕方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文学史   随筆  300段 作者清少納言

 

  成立 1001年ごろ

 

  内容 類聚的章段・日記回想的章段・随想的章段に分けられる。

 

     自然・人間について鋭い感覚でとらえたものを印象的に表現する。

 

     作者 随筆家 歌人 清原元輔の娘 深養父の孫 一条天皇の中宮定子に仕えた。

        皇后崩御後の消息は不明。漢籍に通じていた。

        内大臣伊周が中宮に髪を中宮に差し上げた。中宮が何を書くかと言ったと

        き、枕だと答え、頂戴した。

 

 

 

(1 )一 春はあけぼの          解答

 

一 1 やみ 2 やまのは 3 かり 4 かぜのおと 5 むしのね 6 ひおけ

二 1 だんだん 2 いうまでもない 3 趣深い 4 しみじみと情趣深い 5 早朝

  6 ふさわしい 7 よくない

三 * ウ 1 体言止め 余韻を残す 2   6   3・4 連体止め 余韻を残す

    7 あちらこちらに群れて飛んでいく様子。 8 夕日のさして 

9 おと 大きな音 10 ね 小さな音 11 雪や霜がねくても 12 寒気

四 1 月の出ること 2 蛍が多く飛び違っている光景。 3 月の出ること。

  4 格主 5 格同