(16)一二七 はしたなきもの
語釈
はしたなきもの 他人を呼ぶに、我もとてさし出でたるもの。まして物とら1するをりはいとど。おの
づから人のうへなどうち言ひ謗りなども2したるを、幼き人の聞き取りて、1その人のあるまへに2いひ出で
たる。
あはれなる事など人のいひて3うち泣くに、實にいとあはれとは聞きながら、涙のふつと出でこぬ、いと
はしたなし。泣顏つくり、けしきことになせど、いとかひなし。めでたき事を聞くには、又すずろに4唯いで
きにこそ出でくれ。
一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 謗り 2 いひ出で
二 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 はしたなし
2 こと人
3 けしき
4 つと
5 謗る
6 かひなし
三 三つに分類されるうちのどれか。また、傍線部1〜4の問に答えよ。
1 指示内容を記せ。
2 誰が何を「いひ出でたる」のか。
3 主語を記せ。
4 何がか。
四 二重線部1〜2の問に答えよ。
1 品詞 基本形 活用形 文法的意味
2 品詞 基本形 活用形 活用の種類
五 口語訳
きまりが悪いもの。他の人を呼んだときに返事をすること。物をくれるときには一層。自然、人のことなど非難したときに、幼い子供が聞き取ってその人が居るときに言い出すこと。悲しいことなどを人が言い出して、泣いたりするのに、本当にかわいそうと聞きながら涙が出てこないのは大層きまりが悪い。泣き顔を作り様子を変えてみせるが大層無駄である。すばらしいことを見聞くとまずただ出に出る。
構成
きまりが悪いもの
他の人を呼んだ 自分が差し出る 物をくれるときは一層
人の悪口 幼子がその人に言う
悲しい話 話す人が泣く 聞く人が涙が出ない
すばらしいこと 涙が出る
主題 きまりが悪いもの
(16)一二七 はしたなきもの 解答
一1 そしり 2 い
二 1 きまりがわるい。 2 他の人。 3 様子。 4 急に。 5 非難する。 6 無駄だ。
三 類従的章段 1 悪口を言われた当の本人。 2 幼い子達が話していたある人に対する悪口。
3 話して。 4 涙。
四 1 助動す体使役 2 動す用サ変