語釈
昔、男ありけり。@深草に住みける女を、やうやう飽きがたにや思ひけむ、かかる歌をよみけり。
ア 年を経てすみこし里をいでて1いなばいとど深草野とやなりなむ
女返し、
イ 野とならbうづらとなりて1鳴きをらむかりに2だにやは2君は来ざらむ
三句切れ 掛詞 かり/狩り 仮
とよめりけるにめでて、3ゆかむと思ふ心なくなりにけり
(注)@深草 京都市伏見区北部の地。
一 次の語の読みを現代仮名遣いで記せ。
1 深草 2 経て 3 出で 4 鶉
二 次の語の意味を辞書で調べよ。
1 飽く
2 里
3 めづ
三 登場人物を抜き出せ。また、傍線部1〜3の問いに答えよ。
1 主語を記せ。
2 誰のことか。
3 なぜか。
四 二重線部 1・2の文法問題に答えよ。
1 基本形 活用の種類 活用形
2 文法的に説明せよ。
五 口語訳
昔男がいた。深草に住んでいた女を全然飽きた気持ちになっていたので、こういう歌を詠んだ。
長年住んできた人を出て行ったならこの深草は(名の通り)草深い野となるだろう。
女の返しの歌
深い野にいたなら(私は)鶉になって鳴いているよ。仮にならせめて狩りにだけでも来ないことはないだろうか。
と詠んだのに感心して、行こうと思う心はなくなってしまった。
構成
深草 |
時 場所 |
飽きた → 歌ア 出て行く → 行かない → |
男 |
住む ←歌イ 鶉になって鳴いている |
女 |
主題 従順な女の純愛
(9)鶉 第一二十三段 解答
登場人物 男 女
一 1 ふかくさ 2 へ 3 い 4 うずあ
二 1 飽きる 2 人里 3 感心する
三 1 女 2 男 3 女が従順で優しかったから
四 1 動ナ変いぬ未
2 副助 最小限の限定 せめて・・・だけでも