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原発と火力発電の簡単な図解

 火力発電と原子力発電の比較図  簡単な説明
   図の左側は、タービンを回す蒸気を発生させるもので、上が火力
発電のボイラで、下が原発の原子炉である。

図の右側は、発生した蒸気で動かす上記タービン・サイクルと、
タービンに回される発電機と送電網を示す。

このように、原発は一般の火力発電のボイラを原子炉に変えた
だけのものである。

厳密には、原発は飽和蒸気しか使えないのに対し、火力発電は
もっと温度の高い過熱蒸気を使うので、熱効率が高いという違い
がある。
 原子力発電ー沸騰水型  
   福島第一原発と同じ型。

原子炉で水を沸騰させて、発生した蒸気が蒸気タービンへ至る。
つまり、原子炉内でウランと接した蒸気が蒸気タービン・サイ
クルをめぐる。一旦、蒸気タービン・サイクルに漏れが発生する
と、サイクル全体が放射能汚染されることになる。

原子炉の外側の格納容器は、原子炉のより少し大きいだけだ。
原子炉に付随する燃料格納容器などは、その内部には入らず、
その外側に置くので、別に原子炉建屋が必要になる。
 原子力発電―圧力水型  
   福井県若狭湾に集中する関西電力の丸か、丸に近い格納
容器にすべてが収まり、原子炉建屋を必要としない。

原子炉内は、飽和温度以上の高圧にして蒸発させずに加熱
して、その水を蒸気発生器内で普通の水に熱を伝えて蒸発
させる。だから、蒸気タービン・サイクルには、放射能は流れ
ない。

格納容器という大きな丸の中に、原子炉と蒸気発生器という
小さな丸が2つ入るので、その直径はかなり大きくなる。小さな
丸が2つ並ぶと、その両側にかなりのスペースが残り、その中
にずべてが収まる。

格納容器の直径が大きいと、水素爆発のような内圧に弱いし、
耐震性も弱くなる。

欠点は、蒸気の温度が沸騰水型よりも10℃くらい低くなるのと、
蒸気発生器の細管が漏れやすいことである。
 一般の火力発電  
   この図は、火力発電を構成しているボイラとタービンの細部を
よく表している。

右の水管式ボイラの上部左に丸いドラムがあり、そこで飽和蒸気
が発生する

強いすぐ右に高温のボイラの排気ガスがまず通る加熱器があり、
そこでドラムから発生した飽和蒸気が加熱されて過熱蒸気となる。

過熱器の右には、再熱器があり、蒸気タービンで少し仕事をした後の
中圧蒸気が再熱されて、再び蒸気タービン戻って仕事をする。

うような復水ポンプと給水ポンプが、分けて描かれている

戻る ここで最後ではない

 沸騰水型原発の立体図 (サロンでは提示していない)  
    左図は、東日本大震災とその直後の大津波に襲われて大事故を
起こした福島第一原発で使われた沸騰水型原発の立体図である。

 この型の格納容器は、中央部に原子炉(圧力容器)が入るだけなの
で、直径が小さく、下側にリング状の圧力調整室がつながっている。

 格納容器が小さいので、核燃料棒を交換するためのクレーンとか、
原子炉の停止中に核燃料棒を格納する場所が、格納容器の外に
置いている。そのため、全ての装置の外側に原子炉建屋を作って
外側を覆った。

 なお、参考までに、圧力水型原発について述べると、圧力水型では
格納容器内に、原子炉と蒸気発生器という、ほぼ同じ大きさの円筒を
二つ入るので、直径が大きくなる。内部面積も大きくな、核燃料棒の
運搬用のクレーンや核燃料格納庫もすべて入るので、原子炉建屋
というものが要らない。だから。福井県若狭湾にある関西電力の原発
は、円形とか正多角形というすっきりした形になっており、外部に飛び
出しているものはない。

 だからといって、圧力水型の格納容器が堅固というわけではなく、
内部の圧力が上がれば、直径の二乗の力が格納容器の外壁に
かかるので、それほど頑丈なわけではない。
 


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