決別

 

・・リオウ、お前は見つけちまったんだよな、“一族以外の生き方”ってヤツを

 

 長期潜伏任務中、潜伏先で腕を鈍らせたりしないか?任務を忘れて裏切りはしないか、その場合は殺す事、それがここ数年オレに課せられた任務だった。

 それ以来、あいつの動向をずっと見張ってきた。

 

 春頃からリオウはお姫さんの供として出掛ける事が増えた、建国際前夜、オレ達の密会を見られたとき、リオウは今まで見せたことが無い表情でオレを追い払い、さらには王子までもオレから守った。

 

 どう見てもリオウは一族を裏切っている、なのに何故オレは嘘の報告で長老達をごまかし続けたのか・・

 

 答えはさっき、姫さんとリオウに会ったときに判っちまった。

 

「お前と話すことなど何も無い」そう言ったときの表情、

「分ってんだろ?時間はそう無いぜ」オレにそう言われた時のあの目、

 

リオウは一族に戻る気は無い、そしてこれからどうするか、覚悟もしている。

 

 オレは一族を敵に回してまで違う生き方をしたいとは思わなかった。

ただ、その場が面白ければいいじゃんという生き方をしていた。

“一族全体を敵に回しても欲しいもの”を持つリオウが羨ましかったのか・・

 

「あ〜、オレもひょっとして裏切り者か〜」

嘘の報告をし続けたことは、そうなるのかもしれない、だがオレは“一族以外の生き方”は出来ない。

 

「や〜っぱ、あいつとは殺りあうことになんのかね〜」

それも悪くない、あいつとは昔から色々比べられてきたしな。

 

 

「だったら、命賭けろよ」

一族では見せたことの無いお前の本気、見せてみろよ。

 

                            2008/03/01

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