No−248

無帰還IVC型MCプリアンプをStudyする






・まぁ、こんな感じ。

・No−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプ。

・オール半導体。で、±7.2V電源の電池式。

・これまでと何が違うのか? オーバーオール無帰還にしてしまったこと。(DC領域はSAOCで帰還が掛かっているが。)

・もうないと思っていたが、43年前のDCアンプシリーズNo−1はオーバーオール無帰還DCパワーアンプだった。そこに還った。
・その特性を観る。

・右は、カートリッジVICであるJ1の入力電圧と、カレントラインアンプの出力であるR28の出力電流の比(電流/電圧)、すなわち、カートリッジVICを含めたMCプリアンプトータルのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

・上から、ボリュームであるR27が10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合。

・縦軸はdB表示であるが、0dBがgm=1Sである。


・このグラフから、1kHzにおけるgmは、ボリューム=R27が10kΩの場合に7.8dB≒2.46S、1kΩの場合0.39dB≒1.046S、100Ωの場合−16.2db≒150mS、10Ωの場合−35.7dB≒16.5mS、1Ωの場合−55.7dB≒1.65mSである。

・から、MCカートリッジDL−103の1kHzでの出力を0.3mVとし、このMCプリアンプの後ろにIV変換抵抗10kΩのパワーIVCが繋がれるとすれば、その出力電圧は、
ボリューム=R27が10kΩの場合0.0003×2.46×10000=7.38V、1kΩの場合3.14V、100Ωの場合450mV、10Ωの場合49.5mV、1Ωの場合4.95mVとなる。

・ので、ゲイン設定、ボリューム調整機能設定とも良いかな。
・カートリッジVICを含むイコライザー部。

・カートリッジVICには手持ちの2SK97のものを使う。が、2SK97や2SK43のモデルがないので、シミュレーションでは2SK117GRを使用する。2SK117のgmは2SK97や2SK43より少し大きいので、シミュレーション上のゲインはやや大きくなる。

・動作点設定は、Q1≒1mA、Q2≒Q3≒5mA、J2≒5mA。

・SAOCは、オリジナルのようなシンプル型は私には難しい。ので、旧差動タイプ。動作点設定はJ5≒2mA、J3≒J4≒1mA。
・その電圧ゲインの周波数特性。

・SAOCによりDCサーボがかかり、25Hz程度をピークとして低域のゲインが低下し、DCでは−20dB以下のゲインになる。

・ので、SAOCも適切。

・25Hz以上の領域でのRIAA特性の方は、100Hz以下の領域でやや過剰だが、毎度こうなる。8月号の図19もそうだから、こんなものだろう。

・なお、超高域方向ではピークが生じることもなく只々下降していく。のは、さすがにオーバーオール無帰還。
・SAOCのDCサーボ効果を確認する。

・カートリッジVICである2SK117の入力に振幅が±1mV、5mV,10mV、15mVで周期16秒という方形波(要するに±1mV、5mV,10mV、15mVの直流)を入力してその働きを観じる。
・結果。

・緑が出力電圧。赤はQ5の電流値。

左から入力に振幅が±1mV、5mV,10mV、15mVの周期16秒の方形波が加わった場合だが、いずれも方形波が加わった直後SAOCの入力部の時定数により制御が働くまでの間は出力が電源電圧で規定される最大出力電圧に張り付いてしまう。

・が、SAOC入力のフィルタの時定数による一定時間経過後に出力のDCオフセット電圧がSAOCに検出され、赤で示したSAOCのQ5の制御電流が立ち上がり、出力電圧を0Vに制御することが分かる。

・プラス側に飽和した後に出力が0Vになった緑の線がやや太くなっている。のは、各入力電圧の場合の制御後出力電圧が完全に一致していないことを示している。

・のだが、電圧軸を拡大して確認すると±1mV以内のバラつきである。ので問題なし。
・1kHzでのゲインは63dB程度なので、0.994mV(0.705mVr.p.m.)1kHzの正弦波を入力し、出力がほぼ1Vr.p.mでの歪みの状況をFFTで観る。

・なお、SAOC入り口の時定数による動作安定までの時間を見込んで100mSから200mSの100mS間のデータで測定する。

・結果、2次歪みが−60dB強程度、3次歪みが−80dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.123274%

・私の各種No−217MCプリのイコライザーに比較すると歪率は1桁多い。が、オリジナルNo−248も8月号の図21から歪率はこの程度だ。

・まあ、オーバーオール無帰還だからね。

・無帰還としては良好?
・カレントラインアンプ部。

・動作点設定は、Q1≒1mA、Q3=Q4≒15mA。

・SAOCは、こちらも旧差動タイプ。動作点設定はJ3≒2mA、J1≒J2≒1mA。

・Q1とQ5、Q7とQ9には、実機ではデュアルTR2SC2291と2SA995を起用する。

・半導体で作ればSAOCを使用しなくてもオフセットは許容範囲に収まるのではないか?とも考えたが、今回は電流ゲインが大きいのでオフセットも大きくなる可能性がある。し、SAOCを付加することにデメリットもない。ので、付加しよう。

・結果DCアンプではなくなるが、音楽再生アンプがDCを増幅しても意味がないので、オール半導体でもこれでいい。
・ボリュームであるR7が10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合の電流ゲインの周波数特性。電流ゲインであるから、I(R9)/I(I1)。

・上からボリュームR7=10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合である。ボリューム最大で22dB程度。良いね。

・SAOCによる低域下降の周波数も10Hz以下であり適切だろう。

・ところで、SAOCを付加しておいて“DCから100kHzまで完全にフラットな特性”?  意味不明。
・SAOCのDCサーボ効果を確認する。

・入力に振幅が±0.1mA、0.5mAで周期16秒の方形波を入力してその働きを観じる。
・緑が出力電圧、赤はQ8が出力する制御電流。

・良いね。
・こちらは、ボリューム=R7を100Ωにした場合。

・緑が出力電圧、赤がQ8の出力電流なのは同じ。ボリューム=R7が10kΩの場合に比すと制御完了までやや時間がかかることが分かる。

・が、何の問題もない。
・1kHzでのゲインは22dB程度なので、0.12mA1kHzの正弦波電流を入力し、出力(R9の電流)がほぼ1mAでの歪みの状況をFFTで観る。
・結果、2次歪みが−55dB強程度、3次歪みが−80dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.242922%

・歪率はやや多いか。

・まあ、オーバーオール無帰還だからね。

・と言うか、測定の仕方がこれまでと異なるので、これだけでは判断し難い。と言うべきか。
 
・と、シミュレートしているうちに基板が出来上がって来た。
・ステレオの2チャンネル分が1枚のAT−1W基板上に収まっている。

・し、バッテリーチェック回路も左チャンネルの右下隅に収まった。右チャンネルの右下隅には空きスペースがあるが、ここは電源ケーブル等の中継用ランドとして活用する。



・この際、私のNo−215イコライザーアンプを廃用とし、そのケースや部品等を適宜キャリーオーバーする。


私のNo−215イコライザーアンプは、イコライザー部1チャンネルがAT−1Wの半分(要するにAT−1)を占有したが、今回は同スペースにカレントラインアンプ部まで収まった。

・小さくて可愛いMCプリアンプになりそう。(^^)



・が、よく見れば取り付け間違いがある。

・後でこそっと直そう。(^^;
・で、回路はこう。
・基本的にシミュレートした回路に同じ。

無帰還IVC型イコライザーである点はフェーズメーションのEA−200に同じで、MJ2013年11月号P17に載っているその回路と似ているのは、IVC型という考え方が同じだから当たり前か。

・ZD1、ZD2には05Z3.0Xを起用してみた。が、ランクがXなのでツェナー電圧が2.7V程度しかない。ので、各部動作電流はシミュレートしたものよりやや少なくなる。

・私の手持ちのカートリッジVICの2SK97のIdssはほぼ4mA、TR1の動作電流を1mA、SAOCのTR5の動作電流をまぁ0.5mAとすれば、VR1、R1には4+1+0.5=5.5mA流れる必要があるので、2.1V/5.5mA=382Ωなので、220Ωの固定抵抗+500Ωの半固定抵抗となる。

・後の定数は基本芋づる式。

・TR6に2SC2291、TR11に2SA995を起用したのは、手持ちがあったからだが、まぁ、デュアルTRの方がTR+ダイオードより良いかな、と。

・であれば、イコライザー部のSAOCは何故そうしないのか?No−215イコライザーからのキャリーオーバーだから。実はそれで基板スペースギリギリに収まっている。って、でっかいV2Aをキャリーオーバーしないで小型のコンデンサーにすれば楽に収まるわなぁ。(^^;
  
取り付け間違いをこそっと直して(^^;ケーシング。

・ケースはNo−215イコライザーアンプから使いまわしのタカチOS49−16−23BB。
・裏側。

・下手くそだね。(^^;
・調整は、カートリッジVICを繋いで行う。

・先ずはイコライザーアンプ部。電源を入れると、その出力(R5のスケルトン抵抗7.5kΩのイコライザーアンプ側が測りやすい)はプラスかマイナス数ボルトに張り付いている。VR1をゆっくり回すと、ある地点で出力が±20mV程度以内に収まる。そこで、VR2をゆっくり回して出力を0Vに近づける。VR1とVR2はやや関連するのでさらにVR1とVR2を微調整する。出力は0Vにピタッと張り付く訳ではない。±数mVの範囲で振動する状態で問題ない。

・次にカレントラインアンプ部。VR3を回し、入力点(R5のスケルトン抵抗7.5kΩのカレントラインアンプ側が測りやすい)の電圧を0Vに調整する。次にVR4により出力点(R26のスケルトン抵抗220Ωのカレントラインアンプ側が測りやすい)の電圧を0Vに調整する。こちらも±数mVの範囲で動いても問題ない。

・調整終了。
 
・で、試聴。
私のAll-TR版No−217もどきMCプリと比較した。

・結論から言うと、より元気で溌剌としている感じ。

All-TR版No−217もどきMCプリの音も良いけれど、比較するとちょっとこじんまりとした感じを受ける。
・生々しい。

・雅楽の太鼓、笙、笛、琵琶、木鉦などなどの
実在感。

・臨場している感が素晴らしい。

・のは、All-TR版No−217もどきMCプリでも同じだが、No−248もどきMCプリでは、さらに何か解き放たれたような感じがする。逆に言えばNo−217もどきMCプリの方は、より制御されている感じ。
・宇宙が鳴り響く演奏には感動する。



・で、やはり、No−248もどきは自由だね。

・No−217もどきの方は、比較して言うなら優等生。

・No−248もどきで聴くと、このレコードをまともに聴くためには部屋とスピーカーを変える必要がある、ということが分かってしまう。

・って、そんなことはとっくに承知だが。(爆)
・やはり我があばら家にはこの程度の規模のものが合う。(爆)

・透明感。

・あぁ、田舎はいい。(^^)






・これは、NFBありとなしの差だなぁ。

・ない方がより自由闊達といった感じで、それによって音楽に出会う感動がより大きいのかも知れない。
・と、No−217もどきMCプリを擁護したいのだが、、、

・勝負としては、No−248もどきMCプリの圧勝だね。(爆)

・進化という言葉を使うのであれば、確かに進化の度合いは大きい。
(と言っても差は僅かだが(^^;)




・いやはや、NONーNFB。

・こんなことになるとは。
・革命?

・と、感じるほどの感受性は私にはない。(爆) し、No−248オリジナルを作った訳ではないので、私の関知するところでもない。

・が、もう限界だろう。とは思う。レコードの溝に入っている音以上の音は出ない。そんな音だ。



SAOCによるカップリングコンデンサーレスの直結化、カートリッジVIC、電流伝送、シンプル化(差動の廃止)、IVC型イコライザー、オーバーオール無帰還

・No−215で本格的に始まった新世代はNo−248で完成かな。

・違うか?(^^;



・と、小さくて素晴らしいMCプリアンプが出来た。(^^)  

・写真下は勝負に敗れたAll−TR版No−217もどきMCプリアンプ。




平成28年8月7日







その後



・まぁ、こんな感じ。

・No−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプ。

・今度は±18Vレギュレーターを用いたAC電源式。

勝負に敗れたAll-TR版No−217もどきMCプリアンプが、No−248もどきに変身するようだ。

・だから使用可能な部品は極力キャリーオーバー。
・その特性を観る。

・右は、カートリッジVICであるJ1の入力電圧と、カレントラインアンプの出力であるR33の出力電流の比(電流/電圧)、すなわち、カートリッジVICを含めたMCプリアンプトータルのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

・上から、ボリュームであるR34が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合。20kΩと10kΩの場合は殆ど重なっている。20kΩの場合を加えたのは、ボリュームに用いるのがキャリーオーバーする20kΩであるため。

・縦軸はdB表示であるが、0dBがgm=1Sである。


ボリューム=R34が1kΩの場合の1kHzにおけるgmは、−1.42dBと上の電池式に比較すると1.81dB小さい。

・全体に上の電池式よりそれだけgmが小さいが、上の電池式の使用感から判断すると、これでも問題ないだろう。

・何故小さくなったのか?

・それはカレントラインアンプの電流ゲインを、素子の損失の関係で小さくせざるを得ないから。その分、イコライザー出力の7.5kΩを5.6kΩに小さくして(キャリーオーバーして)帳尻を合わせたのだが、それでもやや小さくなったということ。

・一番キャリーオーバーですませたいのがイコライザー素子だが、このグラフを見る限り上手くいっている。100Hz以下の領域でのRIAA特性も、上の電池式より上出来だ。
・カートリッジVICを含むイコライザー部。

・動作点設定は、Q1≒1mA、Q2≒Q3≒1.2mA、J5≒5mA。

・Q2、Q3はエミッタ抵抗を大きくして出力インピーダンスを高める。

・SAOCは、キャリーオーバーなので旧差動タイプ。動作点設定はJ4≒2mA、J2≒J3≒1mA。
・その電圧ゲインの周波数特性。

・SAOCによりDCサーボがかかり、20Hz程度をピークとして低域のゲインが低下し、DCでは−20dB以下のゲインになる。

・ので、SAOCも適切。

・20Hz以上の領域でのRIAA特性の方は、100Hz以下の領域でやや過剰だが、20Hzで84dB、30Hzで83dB、1kHzで63dBだから、上の電池式に比較するとその程度は良いねちなみに20kHzで43dBである。
・SAOCのDCサーボ効果を確認する。

・カートリッジVICである2SK117の入力に振幅が±1mV、5mV,10mV、15mVで周期16秒という方形波(要するに±1mV、5mV,10mV、15mVの直流)を入力してその働きを観じる。
・緑が出力電圧。赤はQ5の電流値。

左から入力に振幅が±1mV、5mV,10mV、15mVの周期16秒の方形波が加わった場合だが、いずれも方形波が加わった直後SAOCの入力部の時定数により制御が働くまでの間は出力が電源電圧で規定される最大出力電圧に張り付いてしまう。

・が、SAOC入力のフィルタの時定数による一定時間経過後に出力のDCオフセット電圧がSAOCに検出され、赤で示したSAOCのQ5の制御電流が立ち上がり、出力電圧を0Vに制御することが分かる。
・1kHzでのゲインは63dB程度なので、0.994mV(0.705mVr.p.m.)1kHzの正弦波を入力し、出力がほぼ1Vr.p.mでの歪みの状況をFFTで観る。

・なお、SAOC入り口の時定数による動作安定までの時間を見込んで100mSから200mSの100mS間のデータで測定。

・結果、2次歪みが−65dB強程度、3次歪みが−100dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.046249%

・上の電池式に比べると一桁下がって1/3の歪率。Q3に掛かる電流帰還(=NFB)が大きくなったからだろう。
・カレントラインアンプ部。

・動作点設定は、Q3≒1mA、Q2=Q6≒10mA。

・SAOCは、旧差動タイプ。動作点設定はJ3≒2mA、J1≒J2≒1mA。

・Q3とQ4には、実機ではデュアルTR2SA995を起用する。

・Q2、Q6の動作点を上の電池式のように15mAではなく10mAに設定したのは、これでもうそれぞれの損失が130mWに達してしまうから。

・ここにはキャリーオーバーで2SA7262SC1400を起用するのだが、2SA726の最大損失は150mW、2SC1400は250mWであるから、特に2SA726の方は限界に近い。

・ので、ゲインを稼ぐためにこれ以上流すわけにはいかない。

・このため、このカレントラインアンプの電流ゲインは概算5.1kΩ/510Ω=10倍(20dB)と、上の電池式より小さくせざるを得ない。
・ボリュームであるR17が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合の電流ゲインの周波数特性。電流ゲインであるから、I(R16)/I(I1)。

・上からボリュームR7=20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合である。20kΩの場合と10kΩの場合は殆ど重なっている。

・ボリューム10kΩで18dB程度と上の電池式より4dB程度小さい。が、ボリューム20kΩで19dB程度と、差は3dBに縮む。20kΩのボリュームを使っていて良かったね。

・SAOCによる低域下降の周波数も10Hz以下であり適切。
・SAOCのDCサーボ効果を確認する。

・入力に振幅が±0.1mA、0.5mAで周期16秒の方形波を入力してその働きを観じる。
・先ずはボリュームであるR17が10kΩの場合。

・緑が出力電圧、赤はQ8が出力する制御電流。

・良いね。
・こちらは、ボリューム=R17を100Ωにした場合。

・緑が出力電圧、赤がQ8の出力電流なのは同じ。

ボリューム=R17が10kΩの場合に比すと制御完了までやや時間がかかっているが、当然で問題ない。
・1kHzでのゲインは、ボリュームR17が10kΩで18dB程度なので、0.18mA1kHzの正弦波電流を入力し、出力(R16の電流)がほぼ1mAでの歪みの状況をFFTで観る。
・結果、2次歪みが−70dB強程度、3次歪みが−105dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.024625%

・素晴らしい。上の電池式に比して1/10の歪率。

・まあ、電源電圧が高いからね。
  
・ところで、上の電池式のイコライザー部だが、

・手持ちにSE15000pFがあったので、EQ素子をオリジナルに合わせて作ってしまったが、今更だが、これでも良かったかな、と。
・良好だね。
・要するにQ2,Q3のエミッタ抵抗を2kΩとして電流帰還(=局部NFB)を増やしてQ2,Q3の出力インピーダンスをEQ素子のインピーダンスより高くして、このEQ素子定数でも正しいRIAA特性が得られるようにしたわけだが、物は試しにQ2をオリジナルで採用されている2SA1967のフルモールドパッケージ版である2SA1968にしてみる。
・結果。

2SA1968(=2SA1967)はHfeが小さいため(ここではこのTRにとっては電源電圧が低いことも相まって)2kΩのエミッタ抵抗でも出力インピーダンスがこの定数のEQ素子のインピーダンスに見合った高さにならない。このため数kHz以下でRIAA特性から大分かい離してしまう。

・これでは使えないね。
・そこで、EQ素子の方をオリジナルの素子定数に変更し、要するにEQ素子のインピーダンスを下げてこれに対応する。
・正しいRIAA特性になった。

・当然全体的にゲインが小さくなり、ここではSAOCによる低域のピークも10Hz程度となってしまっているが、この辺は他で調整すれば良い。



・と、半導体で低電源電圧で作ればわざわざ2SA1967(2SA1968)を起用する必要はないので、EQ素子の定数を真空管式のオリジナルに合わせて変える必要はないのだね。

・私は手持ちに15000pFがあったのでそうしてしまったが。(爆)
 
・と、シミュレートしているうちに基板が出来上ってきた。



・が、何となく基板中央付近の間が抜けている。



・のは、実は基板が出来上ってきてから実際に部品を間引いたため。



・基板裏側には、間引かれて不要になったランドに残る半田の痕跡が美しくない。



・であれば、基板を作り直せば良い。



・が、まぁ、そのためにも万能基板に組んでいるのだしね。



・見栄えは良くないが、暑いし、手間を省いてこのままにする。(爆)
・で、その回路。
・間引いたので、シミュレートした回路とちょっと違っている。

・のは、この際カレントラインアンプ部をさらにシンプル化することとし、イコライザー部の出力をより直接的に受け取る方式に変えて、0V入力のための回路を省いたのである。(カレントラインアンプ部にいにしえのフラットアンプ部の如くにAUXで外部から入力する必要がある場合は0V入力の従来型にすれば良い。)

・加えて、イコライザー終段2SK117BLの電流出力をそのソース抵抗でIV変換しさらにそれをイコライザーからカレントラインアンプへの接続抵抗でVI変換してカレントラインアンプに伝達するという従来型の手順を省き、2SK117BLの電流出力を直接カレントラインアンプに伝達しようという訳。すなわち、カートリッジVICとイコライザー部の接続と同じ、フォールデッドカスコード接続。

・要すれば二重のシンプル化だが、果たしてまともに動作するか?

・そりゃあ、まともに動作するわなぁ。(爆)

・右は、カートリッジVICであるJ1の入力電圧と、カレントラインアンプの出力であるR33の出力電流の比(電流/電圧)、すなわち、カートリッジVICを含めたMCプリアンプトータルのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

・上から、ボリュームであるR34が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合。20kΩと10kΩの場合は殆ど重なっている。

・縦軸はdB表示であるが、0dBがgm=1Sである。

・ボリューム=R34が1kΩの場合の1kHzにおけるgmは、2.27dBと上の電池式に比較すると1.88dB大きくなった。

・全体に上の電池式よりそれだけgmが大きいが、上の電池式の使用感から判断するとこれでも何ら問題ない。



・で、本当にシンプルになったね。MCプリアンプがこんなんで良いんだろうか?と思えるわなぁ。(^^;



・これ以上のシンプル化?

・無理。

・SAOC部? 勿論この電源電圧であればシンプル型にできるが、私の場合ここはキャリーオーバなのでそのままにする。

・念のため、シンプル化したカレントラインアンプの特性を観る。

・なお、信号の電流源I1に5mAの直流を流しているが、これはイコライザー部の2SK117BLの動作点電流5mA相当分。
・先ずは、ボリュームであるR14が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合の電流ゲインの周波数特性。電流ゲインであるから、I(R13)/I(I1)。

・上からボリュームR7=20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合である。20kΩの場合と10kΩの場合は殆ど重なっている。

・ボリューム10kΩで18dB程度、ボリューム20kΩで19dB程度と、従来型と同じ。

・SAOCによる低域下降の周波数も10Hz以下であり適切。
・SAOCのDCサーボ効果を確認する。

・入力に振幅が±0.1mA、0.5mAで周期16秒の方形波を入力してその働きを観じる。
・ボリュームR14が10kΩの場合。

・緑が出力電圧、赤はQ5が出力する制御電流。

・従来型より制御完了までの時間がやや長いが、良いね。
・ボリューム=R14を100Ωにした場合。

・緑が出力電圧、赤がQ8の出力電流なのは同じ。

この場合も従来型より制御完了までやや時間がかかっているが、まぁ、大丈夫だろう。

・1kHzでのゲインは、ボリュームR14が10kΩで18dB程度なので、0.18mA1kHzの正弦波電流を入力し、出力(R13の電流)がほぼ1mAでの歪みの状況をFFTで観る。
・結果、2次歪みが−60dB強程度、3次歪みが−85dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.080971%

・ありゃ、従来型の3.3倍の歪率。

・が、上の電池式よりは良い数値だ。

・から良かろうて。
・そうじゃなくて、そこまでするならSAOCも減らせるだろ!

・そうですね。(^^;

・ってこう。

・ついでにSAOCもシンプル型にする。
・カートリッジVICであるJ1の入力電圧と、カレントラインアンプの出力であるR33の出力電流の比(電流/電圧)、すなわち、カートリッジVICを含めたMCプリアンプトータルのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

・上から、ボリュームであるR34が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合。20kΩと10kΩの場合は殆ど重なっている。

・と、まともに動作する。

・ここまででもう本当に限界だね。



・が、SAOCの入り口のローパスフィルターのコンデンサーの容量が0.68uFだし、ボリュームであるR34が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合によって、低域のピークの周波数がちょっと異なっている。

・と難癖を付けて今回は採用を見送り、次回にでも考えよう。
 
・と、シミュレートしているうちにケーシングも終了。って、ケースは使い回しなので配線しただけだが。(^^;
・レギュレーターは、我がNo−128からAll−TR版No−217と引き継いできたものをそのまま使用。
・早速音出し。

・・・・・・・・・・・・

・ワンダフル(^^)

・これで我がAll−TR版No−217もどきMCプリアンプは、めでたくNo−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプに変身。また、それを記念してパイロットランプもBlueLEDに変身。

・写真上はバッテリー式No−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプ。

・写真下は真ん中のNo−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプの電源部。

・なお、その後、下の回路図の丸で囲んだ部分を回路図のとおり変更してある。
・また、電池式のNo−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプの方も、下の回路図の丸で囲んだ部分を回路図のとおり変更してある。
・何故なの?

・さぁ(^^;



平成28年8月19日







その後の2



・ブラッシュアップ後のNo−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプ
・カートリッジVICを含めたMCプリアンプトータルのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

・上から、ボリュームであるR34が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合。20kΩと10kΩの場合は殆ど重なっている。

・ボリューム=R34が1kΩの場合の1kHzにおけるgmは、0.35dB。我が家の環境ではこれを0dB程度にするのが丁度良い。
・カートリッジVICを含むイコライザー部の特性。

・緑はJ5のソース側電圧で観た電圧ゲインの周波数特性。

・ピンク(赤と10MHz以上の領域以外でほぼ重なっているので赤に見える。)はJ5のドレイン電流で観たgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

・相互コンダクタンスの方は0dB=1S
である。

・そして青は、
緑のJ5ソース側電圧をカレントラインアンプとの接続抵抗7.5kΩ=0.13mS(−77.7dB)で電流変換した場合のgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

・と、オリジナルでは接続抵抗で−77.7dBの電圧、電流変換を行ってカレントラインアンプに信号伝達をするのだが、これはJ5の電流信号のまま直接信号伝達する。

・私の従来型では接続抵抗は5.6kΩ=0.179mS(−75.0dB)で電流変換したのだが、その場合のgm(相互コンダクタンス)の周波数特性が、赤である。

・その信号の伝達レベルはJ5のドレイン電流直接接続のレベルとほぼ同じであることが分かる。

・要するに、IV、VI変換過程を省いたんだね。

・が、10MHz以上の領域で信号の下降の仕方に違いがある。

・何故か? 知らない。(爆)
・イコライザー部の1kHzでのゲインは63dB程度なので、0.994mV(0.705mVr.p.m.)1kHzの正弦波を入力し、その電圧出力がほぼ1Vr.p.mでの歪みの状況をFFTで観る。

・既にその電圧出力は利用しないのだが、比較上その出力で観る。

・結果、2次歪みが−70dB強程度、3次歪みが−105dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.026847%

・ブラッシュアップ前よりさらに良くなった。
・カレントラインアンプの特性を観る。

・信号の電流源I1に3.214mAの直流を流しているが、これはイコライザー部の2SK117BLの動作点電流相当分。
・ボリュームであるR14が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合の電流ゲインの周波数特性。電流ゲインであるから、I(R13)/I(I1)。

・上からボリュームR7=20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合である。20kΩの場合と10kΩの場合は殆ど重なっている。

・ボリューム10kΩで20dB程度、ボリューム20kΩで21dB程度。

・SAOCによる低域下降の周波数も10Hz以下であり適切。
・1kHzでのゲインは、ボリュームR14が10kΩで20dB程度なので、0.14mA1kHzの正弦波電流を入力し、出力(R13の電流)がほぼ1mAでの歪みの状況。

・結果、2次歪みが−60dB強程度、3次歪みが−85dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.082274%

・ブラッシュアップ前より僅かに悪いが、まぁ殆ど同じ。

・ブラッシュアップになっていない。(^^;
・ボリューム1kΩの場合の最大出力を観る。

・入力に1kHz、0.5mA,1mA、1.5mA、2mAの電流を入力して、出力電圧及び出力電流(R13の電流)を観る。
・入力1.5mAで、プラス側で出力電流3.87mA、出力電圧9.4Vで飽和する。

・いいかな。
・結果、DL−103の1kHz出力を0.3mV,3mV、4mV、5mV、6mV、7mV、8mV、9mV、10mVとしてこのMCプリアンプの出力電圧、出力電流(R33の電流)及びEQ部の出力電圧を観ると、ボリュームR34が1kΩで右のようになる。

・先ず、ピンクのイコライザー部単体の出力電圧だが、ぎりぎり8mV入力までは何とかなっている。

・何を観ているのか?って、勿論最大許容入力を観ているのだが、上下対称で8mVまでだから、まっ、御の字だね。

・が、このIVC型MCプリアンプはEQ部とカレントラインアンプが直結なので、カレントラインアンプ部の出力能力がEQ部以下であると、カレントラインアンプ部がこのMCプリアンプの最大許容入力を決めることになる。

・で、カレントラインアンプ部の出力電圧と出力電流(R33の電流)を観ると4mV弱の入力までは何とかなっている。

・この辺は電源電圧とカレントラインアンプ部終段の動作電流によるが、この場合は電源電圧ではなく、終段の動作電流に縛られてここまでである。

・いまいちという感も無きにしも非ずだが、実用上は全く問題はない。

・ので、まぁいいかな。


・ちなみに、オリジナルNo−248もカレントラインアンプの終段動作電流を10mAから15mAにしたのはこの辺が理由だろう。
・2SA726Gにこれ以上電流を流せないし、どうせそんな大きな出力を使うことはないのでこれでいい。

・が、分かっているなら何とかしたら。という声もある。のでこう。

カレントラインアンプの終段の動作点を15mAにする。
・結果、同様な状況でこう。

カレントラインアンプ部の出力電圧と出力電流(R33の電流)は、5mV入力程度までは可能となった。

・たった1mVだが、最大許容入力は広がった。

・が、こんなに大きな出力は実際使わない。
・とは、この方式のボリュームコントロールの場合は言えない。

・右は、同様にボリュームのR34が200Ωの場合。

・単純に言うと、出力電流がR34のボリュームに食われるだけなので、出力を小さくしてもあまり状況に変化は出ない。

・この場合でも5.5mV程度の入力電圧まで可能になるに過ぎない。



・要すれば、最大許容入力の観点からカレントラインアンプ部の終段の動作点は考える必要がある。ということになる。
・ので、カレントラインアンプの終段動作点を15mAにした場合の特性をもう少し確認する。
・カートリッジVICを含めたMCプリアンプトータルのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

・上から、ボリュームであるR34が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合。20kΩと10kΩの場合は殆ど重なっている。

・ボリューム=R34が1kΩの場合の1kHzにおけるgmは、0.2dB。丁度良い。

・と、当たり前だが殆ど同じ。
・カートリッジVICを含むイコライザー部の特性。

・当然だが変化なし。

・ボリュームであるR14が20kΩ、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合のカレントラインアンプ部の電流ゲインの周波数特性。

・こちらも殆ど同じ。
・さて。
 
電池式のNo−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプの方だが、
一応ブラッシュアップしたものの、また変更を加えてある。

・EQ素子のR8を560kΩから240kΩへ変更。

その結果、右のカートリッジVICを含めたMCプリアンプトータルのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性の通り、低域における過剰な盛り上がりがなくなり、より正しいRIAA特性になっている。

・オリジナルNo−248では、本文で説明されているように、EQ素子のインピーダンスを下げるため、3.4の倍率でEQ素子の定数が変更されている。

・すなわち、51kΩ/3.4=15kΩ、1500pF×3.4=5100pF、5100pF×3.4=17340pF≒17200p or 17500pF、そして、820kΩ/3.4=241.2kΩ≒560kΩ?

・Zeを従来の1/3.4って、(51kΩ+820kΩ)/3.4=256.176kΩで、15kΩ+560kΩ=575kΩにはならない。

・15kΩ+240kΩ=255kΩが正しい。

・何故オリジナルNo−248ではこれが560kΩなのか?

・は、知る由もないが、まぁ、オリジナル回路では出力インピーダンスが十分に上がらず、現物合わせて抵抗値を決めたのかな。単なる勘違いかな。それとも低域増強のためわざと?



・まっ、この世は全て自灯明。

・で、ここは240kΩに変更。
・同様に、DL−103の1kHz出力を0.3mV,3mV、4mV、5mV、6mV、7mV、8mV、9mV、10mVとしてこのMCプリアンプの出力電圧、出力電流(R33の電流)及びEQ部の出力電圧を観る。

・まず、ボリュームR34が1kΩの場合。

・ピンクのイコライザー部単体の出力電圧だが、ぎりぎり8mV入力までは何とかなっている。電源電圧の高い上のAC電源式と同等だから、正に御の字だ。

・が、カレントラインアンプ部の出力電圧と出力電流(R33の電流)は3mV入力で既に飽和してしまっている。

・この辺は電源電圧とカレントラインアンプ部終段の動作電流によるのであるが、この場合は終段の動作電流ではなく、±7.2Vという電源電圧によるものである。
・ボリュームR34を500Ωにした場合がこう。

・この場合は、3mVの入力まではカレントラインアンプの出力電圧及び出力電流とも対応できている。

・その場合の出力電流はピーク1.9mAであるので、この出力を受け取るパワーIVCのIV変換抵抗が10kΩの場合でそのパワーIVCの出力電圧はピーク19Vであるから、我が家の環境では、これで実用上十分である。

・し、最大許容入力の観点でも、20dBの余裕があれば問題はないので(この辺は異論があるかな(爆))、これで良いかな。
  
・が、結局、こうなった。
・どういうことか?

・を、LTspiceで観る。

・緑がイコライザー部の電圧ゲイン。

・上の見直しでこのゲインを下げ過ぎたので、1kHzで60.2dBと60dB程度に戻した。

・オリジナル248と同様、EQ素子のインピーダンスが低い分Q3の2SC2240でゲインをプラスして1kHzで60dB程度のゲインにする。信号はなるべく信号源に近いうちに大きくするという考え方だ。が、大きくし過ぎれば他の要素と齟齬を生じる。ので、その辺のバランスも観ての設定。

・ピンクはカレントラインアンプの電流ゲイン。21dB程度とした。あわせて、終段の動作点を15mAから10mAに下げた。±7.2V電源の電池式なのにオリジナル248に合わせてむやみにパワーアップする必要はない。し、電池式としては消費電流を出来るだけ減らしたい。ここは10mAで十分だ。

・赤がR10の電流で観たイコライザー部のgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

・相互コンダクタンスの方は0dB=1S
であるが、電圧ゲインが
R10の5.6kΩ=0.179mS(−75.0dB)で電流変換され、1kHzで−15dBとぴったりとなっている。

・これにカレントラインアンプ部の電流ゲイン21dBが加算され、1kHzで6dB=2Sが、このMCプリアンプのgm(相互コンダクタンス)である。

・が、最終的には出力のアッテネータで電流が分流されるので、青の通り、1kHzにおけるgmは、ボリューム=R27が10kΩの場合に4.95dB、1kΩの場合−2.47dB、100Ωの場合−19db、10Ωの場合−38.6dB、1Ωの場合−58.6dBとなっている。
・DL−103の1kHz出力を0.3mV,3mV、4mV、5mV、6mVとしてこのMCプリアンプの出力電圧、出力電流(R33の電流)及びEQ部の出力電圧を観る。

・ボリュームR34が1kΩの場合。

・ピンクのイコライザー部単体の出力電圧だが、4mV入力までの対応とした。イコライザー部のゲインを高くすれば、電源電圧との兼ね合いでここはこうなる。上のブラッシュアップでは、ここだけ広げ過ぎてちょっとバランスに欠けた。ので、変更。

・カレントラインアンプ部は、ボリュームR34が1kΩでは3mV入力までは可だ。4mV入力は飽和する。
・ボリュームR34を500Ωにした場合がこう。

・この場合は、カレントラインアンプ部も4mVの入力まで対応できている。

・その場合の出力電流はピーク1.83mAであるので、この出力を受け取るパワーIVCのIV変換抵抗が10kΩの場合でそのパワーIVCの出力電圧はピーク18.3Vであるから、我が家の環境では、これで十分である。
・DL−103の1kHzの基準出力0.3mVに対する最大許容入力の余裕が20dB(10倍)で本当に良いのか?市販品だったら40dB(100倍)は余裕があるんじゃないの?

・なので、右は世上評価の高いNo−218のもどき。
・4mV入力がぎりぎりマイナス側で飽和。
・イコライザー部の歪を観る。

・1kHzでのゲインは60.2dBなので、1.38mV1kHzの正弦波を入力し、出力がほぼ1Vr.p.mでの歪みの状況をFFTで観る。

・結果、2次歪みが−58dB強程度、3次歪みが−82dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.129560%

・当初より僅かに悪いが殆ど同じといったところ。

・まぁ無帰還としては良好?
・カレントラインアンプ部の歪を観る。

・1kHzでのゲインは20dB程度なので、0.141mA1kHzの正弦波電流を入力し、出力(R16の電流)がほぼ1mAでの歪みの状況をFFTで観る。

・結果、2次歪みが−58dB強程度、3次歪みが−85dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.1131600%

・当初の約半分となった。終段の動作点を15mAから10mAに減らしたことが効いたかな。
 
・さて、AC電源式のNo−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプの方だが、
・新しい基板が出来上がってきた。

・ので、早速装着。
・で、その回路はこう。
・随分簡素。

・どういうことか?

・を、LTspiceで観る。
・緑がイコライザー部の電圧ゲイン。

・1kHzで60.48dBと、カートリッジVICである2SK117(2SK97)のフォールデッドカスコード電流出力をEQ素子でIV変換するだけで十分なゲインが得られる。ので、カレントアンプを撤去した。のは、掲示板でkkomeさんのご教示でこれが可能なことに気づいたため。

・考えてみれば、No−217、No−218形式もカートリッジVICである2SK117(2SK97)の電流出力をEQ素子でIV変換して1kHzで60dB程度の電圧ゲインを得ているのだから、このEQ素子定数を使用すればこうなるのは当たり前で、であればオリジナル248のようにカレントアンプを加えてゲイン増加を図る必要はない。

・J5のソース側に定電流回路を付加したのは、同じく掲示板でkkomeさんに頂いたご教示によるもの。まぁこの回路はレギュレータが優秀なことが前提の回路ではあるのだが、レギュレータが優秀であったとしても、対アース基準で増幅するに越したことはない。

・カレントラインアンプは従前の終段動作点10mA版のまま。従ってピンクのカレントラインアンプの電流ゲインは21dB程度。終段の動作電流を15mAにすると2SA726の許容損失を超えるのでこれをそのデュアル版である2SA798(の片側使用)に交換する必要がある。が、ここは10mAで十分だ。って、それで十分なようにもした。

・赤がJ5の2SK117のドレイン電流で観たイコライザー部のgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。1kHで−14.5dBである。これはEQ部の電圧ゲイン(1kHzで60.5dB)をJ5のソース側抵抗5.6kΩ=0.179mS(−75.0dB)で電流変換した数値になる。
・これにカレントラインアンプ部の電流ゲイン21dBが加算され、1kHzで6.5dB=2.11Sが、このMCプリアンプのgm(相互コンダクタンス)である。

・が、最終的には出力のアッテネータで電流が分流されるので、青の通り、1kHzにおけるgmはボリューム=R27が20kΩの場合に6.1dB、10kΩの場合5.4dB、1kΩの場合−2.06dB、100Ωの場合−18.7dB、10Ωの場合−38.2dB、1Ωの場合−58.2dB。

・DL−103の1kHz出力を0.3mV、3mV、4mV、5mV、6mV、7mV、8mV、9mV、10mVとしてこのMCプリアンプの出力電圧、出力電流(R33の電流)及びEQ部の出力電圧を観る。

・ボリュームR34が1kΩの場合。

・ピンクのイコライザー部単体の出力電圧は10mV入力まで対応している。実はシミュレーションでは11mVまで可能だ。電源電圧が高いが故だ。

・カレントラインアンプ部は、ボリュームR34が1kΩでは5mV入力までは可だ。カレントラインアンプ部は従前通りなのに従前の場合の4mV入力までが5mV入力までとなったのは、イコライザー部のゲインが3dBほど小さくなったからである。この辺のバランス。
・ボリュームR34を500Ωにした場合がこう。

・この場合でもカレントラインアンプ部は5mVの入力。

・これは終段の動作点によるものなので、出力をボリュームで絞ってもこれ以上は増えない

・その場合の出力電流を観れば十分以上。
・イコライザー部の1kHzでのゲインは60.5dB程度なので、1.3mV1kHzの正弦波を入力し、その電圧出力がほぼ1Vr.p.mでの歪みの状況をFFTで観る。

・その電圧出力は利用しないのだが、比較上その出力で観る。
・結果、こちらも随分と簡素。

・2次歪みが−73dB強程度、3次歪みが−107dBといったところ。

・Total Harmonic Distotion:0.022638%

・イコライザー部としてはこれまでで最良。
・シンプル型SAOCのDCサーボ効果を確認する。

・カートリッジVICである2SK117の入力に振幅が±1mV、5mV,10mV、15mVで周期16秒という方形波(要するに±1mV、5mV,10mV、15mVの直流)を入力してその働きを観じる。
・結果。

・緑が出力電圧。赤はJ1の電流値。

左から入力に振幅が±1mV、5mV,10mV、15mVの周期16秒の方形波が加わった場合だが、いずれも方形波が加わった直後SAOCの入力部の時定数により制御が働くまでの間は出力が電源電圧で規定される最大出力電圧に張り付いてしまう。

・が、SAOC入力のフィルタの時定数による一定時間経過後に出力のDCオフセット電圧がSAOCに検出され、赤で示したSAOCのJ1の制御電流が立ち上がり、出力電圧を0Vに制御している。

・のは、旧差動型と同じだが、入力電圧が大きくなるほどに0Vへの収斂値がやや0Vからかい離している。のは、SAOCのゲインが旧差動型より小さいため。

・が、実用的には問題ない。



平成28年9月4日








結論



・こんな簡素なアンプからこんな音がして良いのだろうか。

・何もやっていないスケルトン構成の極みのようなMCプリアンプ。

・そんな簡素なアンプからこんな音が出てしまってはどうしようもないね。



・本当か?

・単なるプラシーボ効果じゃないか?

・と、我がTR版No−217もどきMCプリアンプと比較試聴。

・なお、我がTR版No−217もどきMCプリアンプの回路は、未報告だったが、本格的電流伝送化に伴い最低限の変更を加えてこうなっていた。

・うん、悪くないよね。

・と言うか、大変良いよ。
我がTR版No−217もどきMCプリアンプ。(爆)

・これだけ聴く限りはこんなに素晴らしい
MCプリアンプはないだろうと思える。
・が、

・聴き比べると負けるんだなぁ。

・どこが?じゃなくて、全ての点で。。。

・無帰還IVC型MCプリアンプ。

・上なんだなぁ、こっちの方が。

・参った。

・こんな簡素なアンプからこんな音がして良いのだろうか。

・何もやっていないスケルトン構成の極みのようなMCプリアンプ。

・そんな簡素なアンプからこんな音が出てしまってはどうしようもないではないか。



プラシーボ効果だな。多分。(爆)




平成28年9月10日








その後の3



・我がオール半導体式No−248もどきIVC型MCプリアンプ。

・その音はちょっと良いのではないかなぁ。(^^;

・レコードに閉じ込められた音楽が演奏者とともに生き生きとよみがえる。

・とは、いつものフレーズだが、「楽音と奏者の存在感が極めて大きく、音楽に出会う感動がとびきり大きい。」「従来のアンプの延長上の音にもかかわらず、進化の度合いが歴然としている。」ので、聴くばかりだ。

・が、我が電池式
No−248もどきIVC型MCプリアンプのその後をちょっと。

・下が現在の回路。

・以前との違いは、R10が10MΩ→100MΩ、R14が5.6kΩ→510Ω、R21が10MΩ→5.6MΩの3点。

・要はSAOCを見直したものだが、カレントラインアンプの方は低域下降周波数をより適切にしたに過ぎないが、イコライザーについては、カートリッジVICをつながなくてもその出力を0Vに調整できるようにしたもの。その結果、イコライザーのオフセットについてはカートリッジVICをつながないままで粗調整が済んでしまう。

・まっ、そんなことはどうでも良いと言えばどうでも良いのだが、従前でカートリッジVICを接続しないとイコライザー部の出力はマイナスの大きな電圧に張り付いていた。これがちょっと嫌な感じだった。ので、見直したもの。

・そうするためにはイコライザー部のSAOC制御電流を出力するTR5の吸い込み電流を増加する必要があり、そのためにはそのエミッタ抵抗R14の抵抗値を小さくする必要がある。ので従来の約1/10の510Ωにしたのである。

・が、このR14はSAOCの制御電圧を制御電流にVI変換する機能も担っており、その変換率は抵抗値に反比例するから、抵抗値を1/10にするとSAOCの効きが10倍になってしまう。その結果現実的にはSAOCによる低域のピーク周波数が3倍程高い周波数に上がってしまう。これに対応するため、SAOCの入り口の時定数を決める抵抗R10の抵抗値の方を10倍にしたのである。

・が、100MΩなんて、大丈夫か?

・と、おっかなびっくりだったのだが、やってみたら、動作に問題なく、出てきた音もIVC型MCプリアンプの音そのまま。

・なので、こうした。
結果、とても気持ちが良い。(^^)
・結果は右図のとおり。

・緑がイコライザー部の電圧ゲインだが、SAOCによるピークは20Hz程度と適切である。

・赤がカレントラインアンプの電流ゲインであり、DCから高域1MHz付近までフラットである。が、カーキ色の通りSAOCの作用で低域数Hz程度から下降している。

・青が最終的なこのMCプリアンプのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。上からボリュームが10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合。その周波数特性は当然だがイコライザー部とカレントラインアンプ部の特性が加算され反映したものになっている。
・やはり100MΩを起用したSAOCのDCサーボ効果が心配なのでLTspiceで観る。

・カートリッジVICである2SK117の入力に振幅が±1mV、5mV,10mV、15mVで周期16秒という方形波(要するに±1mV、5mV,10mV、15mVの直流)を入力してその働きを観じる。
・動作にかなり時間を要するかな、従来の10倍?と思ったら、そんなことはなく2〜3倍程度だ。

・これなら問題ないね。
・真空管式のオリジナル248はさぞ良かろうね。



平成28年9月19日








その後の4



・我がAC電源式No−248もどきIVC型MCプリアンプのその後をちょっと。

・現在の回路がこう。

・変更点は、VR1が1kΩ→500Ω、VR2が500Ω→50Ω、VR2とシリーズにあった510Ωの撤去、R8が10MΩ→30MΩ、そしてR9が6.2kΩ→2.2kΩの5点。

・要は先の電池式と同様SAOCを見直したもの。こちらはイコライザー部のみである。

・その心は先の電池式と同じく、カートリッジVICを接続しない状態でも、出力のオフセットを0Vに調整出来るようにしたもの。

・だが、こちらの場合、カートリッジVICを接続しない状態でイコライザー部のSAOCの入力点のオフセットを0Vに調整した後にカートリッジVICを接続すると、イコライザー部のSAOCの入力点のオフセットは−0.3V程度になってしまう。

・これは、イコライザー部のSAOCがシンプル型のため、そのゲインが不足していることが原因のようで、これ以上両立が図れる調整は困難だ。

・なので、イコライザー部のSAOCを旧差動型に戻そうか、とも思ったが、そのために基板を作り直すのは面倒だし、そもそもイコライザー部とカレントラインアンプ部は2SK117のドレイン側で信号伝達しており、そのソース側電圧が0Vから多少外れても、イコライザー部、カレントラインアンプ部双方の動作に何の影響もない。

・ので、これで良い。

・なお、カレントラインアンプ部の出力は、イコライザー部がどちらの状態でも、カレントラインアンプ部自体のオフセット調整後は0Vのままである。

・その辺もシミュレーターが見せてくれる。
・電源オンから20秒間のイコライザー部SAOCの入り口の電圧推移が緑、カレントラインアンプ部のSAOC入り口の電圧推移が赤である。

・上のシミュレーション回路では、カートリッジVICとイコライザー入力間にR16を挿入し、これを0.01Ω(接続相当)と100MΩ(断絶相当)のパラメトリック解析でカートリッジVICをつないだ場合とつながない場合を一気にシミュレートしている。

・結果が右の通りで、0Vへの収束まで時間を要していない方がカートリッジVICを接続していない場合であり、時間を要している方がカートリッジVICを接続した場合である。

カートリッジVICを接続した場合において、イコライザー部SAOCの入り口の電圧が0Vまで収束せず、ややマイナス電位にあることも分かる。拡大して数値を読むと−282mVである。この辺の電圧値も実機の場合と良く一致している。

・という訳で、電源オンから10秒位は待っていてね。
・こちらは、電池式No−248もどきIVC型MCプリアンプのもの。

・見方は全く同じ。

結果も同様で、0Vへの収束まで時間を要していない方がカートリッジVICを接続していない場合であり、時間を要している方がカートリッジVICを接続した場合である。

イコライザー部SAOCの入り口の時定数を決める抵抗100MΩは流石に伊達ではないね。0V収束までにかなり時間を要することが分かる。

・という訳で、こちらは電源オンから20秒位は待っていてね。
・AC電源式No−248もどきIVC型MCプリアンプに戻り、
・結果。

・緑がイコライザー部の電圧ゲインだが、SAOCによるピークは20Hz程度と適切。

・赤がカレントラインアンプの電流ゲインであり、本来DCから高域1MHz付近までフラットである。が、カーキ色の通りSAOCの作用で低域数Hz程度から下降している。

・青が最終的なこのMCプリアンプのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。上からボリュームが20kΩと10kΩがほぼ重なっており、以下1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの場合。その周波数特性は当然イコライザー部とカレントラインアンプ部の特性が加算され反映したものとなっている。
・我がオール半導体式No−248もどきIVC型MCプリアンプ。

・その音はなかなか良いのではないかなぁ。(^^;

・レコードから何とも生きた楽器、生きた人の声が聴こえてくる。

・こんなに血の通った感覚が得られるとは。

・命が一層キラキラと輝いている。

・無帰還IVC型MCプリアンプ。嘘みたいだがちょっと凄い。
・が、課題がないわけではない。

・イコライザー部がかなりの高インピーダンス動作なので、AC電源だとやはりハムを拾いやすい。 
←誤認識であることが↓で判明


・この点では電池式は有利だ。電池式の方はイコライザー部のインピーダンスが1/3.4ということもあるし。



平成28年9月22日








その後の5



・続いてこう。
・これで無帰還IVC型MCプリアンプ。の全て。



・増幅部よりSAOC部の方が複雑だ。大丈夫か?



・これで音が良かったら、もう終わりだね



・ところで、FET2のゲートシリーズ抵抗68Ωは寄生発振防止用の抵抗である。カソードフォロアーのみならずソースフォロアーにもこのような抵抗が必要な場合がある。(爆)
・さて、ことの始まりは、プラシーボ効果で悦に入っていたところ、掲示板でまたしてもkkomeさんから素敵な御教示を賜ったこと。

・右は上のAC電源式無帰還IVC型MCプリアンプの特性図だが、イコライザー部で稼いだゲイン(右図緑)を、J5(2SK117)の電圧電流変換で−75dB引き下げ(右図赤)、カレントラインアンプで21dB戻して(右図ピンク)、アッテネータで最終的なゲイン調整をする(右図青)という手順にはまだ無駄がある。J5(2SK117)の電圧電流変換率を20dB上げればカレントラインアンプは必要ない。ということなのだか、全くその通りである

・さらに、J5(2SK117)の
電圧電流変換率を可変型にすれば、ボリューム調整がそれで出来るとのご教示も頂いた。これも全くその通り。

プラシーボ効果で悦に入っている場合ではない。

・基本的にK教徒なのでオリジナルの呪縛からなかなか逃れられない。素直にそのまま作ろうとする。のだが、そういう視点で見ると、オリジナル248の構成は、217、218当時の、フラットアンプ部にCDラインアンプ出力又はDAC出力を入力してフラットアンプ部でボリューム調整をした構成を引き摺っているという風にも見えてくる。

・DACも電流出力となり、旧フラットアンプ部又は現行カレントラインアンプ部でそのボリューム調整を行う必要は既にないのだから、MCプリのカレントラインアンプも、無くせるものなら無くしても良いのだ。

・とは言え、オリジナル248には必然性があってカレントラインアンプが採用されているに違いない。

・ので、良い子はこういうことを考えてはいけない。(爆)
・が、既にEQ部も改悪した邪教徒の身なので、ご教示に従いカレントラインアンプ部も省略するとこう。

・旧カレントラインアンプ部にあるのは、単にJ5の電流を反転させるフォールデットカスコード回路とその動作点を決める定電流回路である。
・緑がイコライザー部の電圧ゲイン。1kHzで60.1dB。

・赤がJ5の2SK117のドレイン電流で観たイコライザー部のgm(相互コンダクタンス)の周波数特性だが、1kHで5.2dBである。

・これがEQ部の電圧ゲイン(1kHzで60.1dB)をJ5のソース側抵抗560Ω=1.786mS(−55.0dB)で電流変換した結果である。

・目論見通りカレントラインアンプは不要なゲインとなり、後はアッテネータで調整すれば青の通り、適切な電流出力が得られる。

・が、課題もある。カレントラインアンプをなくしたので、その電流ゲインとともに、電流値自体の増幅機能もなくなる。

・ので、出力に必要な電流値は、J5自体で確保する必要があり、となるとJ5の動作点は10mAになる。という点である。

・そうなると、当然だがJ5に起用するFETのIdssは20mAが必要になる。

・ので、2SK170のVランクを起用している訳だが、Vランクでも2SK170のIdssの範囲は10mA〜20mAであるので、2SK170VのIdssが20mAのものは中々手に入らないだろう。

・可能性があるのは2SK147及びその後継と思われる2SK369のVランクである。それらのVランクのIdssは14mA〜30mAなので、20mA以上のものが得られる可能性がある。が、手持ちがないし、今や手に入らないよなぁ。。。
・が、kkomeさんのご教示の通り、もう1石加えれば悩むことなく解決する。
・緑がイコライザー部の電圧ゲイン。1kHzで60.5dB。

・赤がQ4の2SC2240のコレクタ電流で観たイコライザー部のgm(相互コンダクタンス)の周波数特性だが、1kHで5.5dBである。

・そのエミッタ側抵抗560Ω=1.786mS(−55.0dB)での設定通り。

・で、アッテネータで調整して青の通り適切な電流出力。

・この構成なら、Q4、Q5、Q3、Q9の動作点電流を15mAに増やして、オリジナル248並みにパワーアップを図ることも簡単である。
・こう。

・で、DL−103の1kHz出力を0.3mV,3mV、4mV、5mV、6mV、7mV、8mV、9mV、10mVとしてこのMCプリアンプの出力電圧、出力電流等を観る。
・まずはボリュームR34が1kΩの場合。

・上図のピンクがEQ点の出力電圧、上の青はQ4(2SC2240)の出力電流、下図の青がだOUT点の出力電圧、そして赤がR33を流れる、要するにこのMCプリの出力電流。

・結論的には、このMCプリの最大許容入力はQ4の2SC2240の動作点で決まっていて、15mA*560Ω=8.4VでEQ点がマイナス側で飽和する点が限界である。上図からEQ点とQ4のコレクタ電流は入力8mVまで対応できることが分かる。

・Q4の出力電流をフォールデットカスコードで反転した最終的な出力については、ボリューム1kΩの場合、今度は電源電圧の制約から下図の通り、入力7mVまでの対応となっている。

・素晴らしい。
・ボリュームR34が500Ωの場合。

・OUT点でも18V−6V=12Vの電源電圧の制約範囲内なので、全てQ4の動作点電流による制約である入力8mVまでの対応となっている。

・素晴らしいね。
・カートリッジVICの入力に1mV1kHzの正弦波を入力し、ボリュームR34を調整してR33に1mA1kHz正弦波を出力させた場合のその歪率をFFTで観ると。
・二次高調波が−72dB程度、三次高調波が-93dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.025805%

・素晴らしい。

・早速製作。
       
と思ったのだが、この際、出力の電流も確保しながらフォールデッドカスコードの電流反転部分を省略してさらに簡素化してしまえ、と思ってしまったのだった。



・で、それが成り立つためには電流が流せてgmの大きいFETが必要。

・なので、思い切ってMOS−FETの2SK214を起用して、その動作点を15mAに設定する。

・2SK214はId=15mAではgm=50mSと、良いんではないかな。

・が、出力を2SK214のソース側から取り出すので、いわゆる電流出力ではない。

・ならば、アッテネータを通例通りとすれば?

・が、この場合はアッテネータ部の抵抗が電圧電流返還率設定抵抗を兼ねているので、それを踏まえると回路図のような抵抗値設定にせざるを得ない。

・これでプリアンプ−パワーアンプ間あるいはチャンネルフィルター間が電流伝送になるのか?

・それが問題だ。(爆)
・が、結果は右。

・緑が電圧ゲインだが、1kHzで60.1dB。SAOCによるピークも20Hz程度と適切。

・赤がR32の電流で観たこのMCプリアンプのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。

R34の値により、1kHzで3.9dBから5.2dBまでとなっている。ここは当然こうなる。

・最終的には、アッテネータで調整され、青の通りR34が1kΩの場合3.1dB、100Ωの場合−1.6dB、10Ωの場合−15.8dB、1Ωの場合−34.9dB、0.1Ωの場合−54.8dBである。

・ゲイン、ボリューム調整機能とも良いのではないかな。
・DL−103の1kHz出力を0.3mV,3mV、4mV、5mV、6mV、7mV、8mV、9mV、10mVとしてこのMCプリアンプの出力電圧、出力電流を観る。
・まずはボリュームR34が500Ωの場合。

・緑がOUT点の出力電圧、そして赤がR33を流れる、要するにこのMCプリの出力電流。

・なんと素晴らしいねぇ。入力9mVまで対応できている。

・なお、この限界値を決めているのは、M1の動作点電流値である。15mAとパワーアップした効果だ。

・が、こんな大出力使うわけがない。(爆)
・こちらはボリュームR34が50Ωの場合。

・この場合も入力9mVまで対応出来ている。

・素晴らしい。
・カートリッジVICの入力に1mV1kHzの正弦波を入力し、ボリュームR34を調整してR33に1mA1kHz正弦波を出力させた場合のその歪率をFFTで観る。
・二次高調波が−79dB程度、三次高調波が-100dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.011658%

・ええぇぇ。本当か?

・本当だったらとても素晴らしいね。
・当然これもカートリッジVICを接続しない状態でも出力のオフセットを0Vに調整出来るように設計してある。

カートリッジVICの2SK97もIdssが8mA以下のものなら皆大丈夫かな。

・カートリッジVICとイコライザー入力間にR16を挿入し、これを0.01Ω(接続相当)と100MΩ(断絶相当)のパラメトリック解析でカートリッジVICをつないだ場合とつながない場合の出力電圧の動きを一気に観る。
結果が右。

・0Vへの収束まで時間を要していない方(ピンク)がカートリッジVICを接続していない場合で、時間を要している方(緑)がカートリッジVICを接続した場合。

SAOCのゲインが十分なので、どちらの場合もしっかり0Vに収束している。ので、出力オフセット調整はカートリッジVICを接続しない状態で実施すればそれで終わり。

・ただし、どうしても0mVに正確に調整しないと気が済まないという場合を除く。(爆)

・ただ、電源オンから15秒位は待っていてね。
    
という訳で、我がTR版No−217もどきMCプリアンプも、我がオールTR版No−217もどきMCプリアンプに続いてAC電源式無帰還IVC型MCプリアンプに変身してしまった。



当然電源部のレギュレーターは従来のものをそのまま活用。



カートリッジVICを含めてもアンプ部は5石で構成されるMCプリアンプを、SAOC及びこのレギュレーターで支える。



・実に贅沢。といえば贅沢かな。



・が、簡単なものほど周りが支えなければならないのが世の常。
・で、その音だが、

・FETらしいきめ細やかさを感じるが、素晴らしい。

・要すれば
2SK97で電圧増幅して2SK214でそれを電流増幅しただけのMCプリアンプから、こんなにもあからさまな音が出てしまってはどうしようもない。

・もう終わりだね。

・OVER。



・ただし、ハムを拾いやすいのは欠点。ヘッドフォンだとちょっとそれが目立つ。ので、そういうのが嫌な人は止めた方が良い。






・これで
AC電源式無帰還IVC型MCプリアンプが二つになってしまった。

・ので、こちらは
AC電源式簡素型無帰還IVC型MCプリアンプと呼ぶことにしようかな。




平成28年9月30日







その後の6



・ハムの原因が、イコライザー部の高インピーダンス動作のためで、そのためAC電源だとハムを拾いやすいのだと思っていた。

・が、誘導による場合はトランス部を動かしたり、アンプ部のどこかに手を触ったりするとハム音に変化があるなどするものだが、今回はそういうことがない。ハム音は一定だ。

・なので、もしや単純にレギュレータでハムを取り切れていないのかな?

・すなわち、単純にレギュレータのリップル抑制能力が足りていないだけではないか?



・と、何気に転がっていたパワーIVC用のリチウムイオンバッテリー。

・丁度いい電圧だ。

・と思って、これで動作させてみると、・・・

・ハムなんか拾わない。(爆)

・近くでAC電源部を動作させていてもね。





・レギュレータでのリップル抑制能力を高めて、確かめる以外にない。
・ので、こういうものを作った。

・メタルキャンタイプなのは、ジャンクボックスにたまたま入っていたから。
・そして、電源部のケース内に組み込む。
・その回路は点線で囲んだ部分。

・オリジナルも何気にダブルレギュレータとなっているが、これで我がAC電源式No−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプもダブルレギュレータとなる。

・K式のレギュレータではなくLM338で間に合わせているところが如何にも“もどき”だね。(爆)

・が、結果、ハムは消滅。

・これで、アンプ部に組んだレギュレータだけではリップル抑圧能力が足りないことが判明。

・オリジナル248もあの部分がダブルレギュレータなのはこのためだろう。多分。
簡単なものほど周りが支えなければならないのが世の常。



・で、上のリチウムイオンバッテリーでも、ダブルレギュレータ化した下のAC電源でも同じ音がする。

・ように思う。が、どうかな。(^^;



平成28年10月9日








その後の7



・さらに残る私のNo−217もどきMCプリアンプ。



・下から6111採用のハイブリッド版、その上が2SK79採用のSIT版、その上が2SK170を採用したFET版、そしてその上にあるのが今回の簡素型無帰還IVC型MCプリアンプとそのAC電源部。



・それらNo−217もどきを無帰還IVC型MCプリアンプと聴き比べてみると、大変良いのだが、やはりもう一皮むけきっていないように感じるのだなぁ。



・また、もう終わってしまって何もやることはないのだが、MOS−FETを採用したAC電源式簡素型無帰還IVC型MCプリアンプはハムが消滅してしまうと、今度はホワイトノイズがやはり少し大きいと感じる。



・ので、残る我が
No−217もどきMCプリアンプ達も変身させてしまおうかな。(^^;



・と、言っても簡素化はこれ以上は考えられない。



・ホワイトノイズがやや大きい原因と思われるMOS−FET2SK214を他に変えるぐらいしかない。←誤認識であることが↓で判明
・ので先ずはトランジスタ。


・ついでにK教徒らしく名石2SA606(607)、2SC959(960)を起用する。

・なんていうのはどうだろう。

・2SA970、2SC2240を2SA726、2SC1400にしても良いかなぁ。



・なお、右のインバーテッドダーリントンの2SA606を2SA970にすると、この部分フェーズメーションのEA−200と全く同じになる。



・が、柴〇先生おっしゃる通り、「100%の局部帰還をかけ、高入力インピーダンス/低出力インピーダンス/高速応答/高リニアリティ/高ドライブ能力を確保している。」という訳。何だか良くわからないけど。(爆)
・結果、問題なく上手くいきそうである。
・今一つはSIT。


・2SK214を考えたときに実はSITの2SK79と2SK63も考えたのである。手持ちがあるので。


・高耐圧だし電流も流せるしと使い手のあるFETだ。
三極管特性だけどね。


・残った我が
No−217もどきMCプリアンプにもこのSITを使用したものがあるので、他にやることがないとなればこうして使うしかあるまい。
・2SK79のgmが小さいので僅かにゲインが小さくなるが、問題ないね。
     
・と、ホワイトノイズがやや大きい原因が本当にMOS−FETの2SK214なのか?を、確かめるために、SITの2SK63に置き換えてみる。

・足の位置に注意して差し替えるだけだ。再調整の必要もない。取りあえずの差し替えなので千鳥足になる。がしょうがない。

・うん、やはりホワイトノイズは小さくなった。気がする。(爆)

・が、なくなるわけではない。まぁ、どちらも許容範囲。

・で、2SK63。良い音がする。綺麗で美しい。

・SIT版も作る気になった。

・それともこのままにするか。(爆)
     
・こういうものがアメリカからやってきた。原産国はJAPANだが。
・ブリッジに組んで、
・電源部のケース内に組み込む。
・B8A03より順方向電圧が大きいようだ。SCS306AP整流後の電圧が27.5V程度と1V下がった。

・問題の音だが、・・・

・ダブルレギュレータを噛ませているし、駄耳の私に分かろうはずがない。(爆)

・のだが、交換当初は、余り好印象ではなかった。

何だか荒っぽいし、生々しさに欠ける感じ。B8A03に戻してしまおうかな。。。とも思った。

・まぁ、そう性急に判断しなくても、と、聴き続ける。。。

・と、徐々にまぁ良いかな、と思えてきた。

・先ず、パワフルだね。力強い。エネルギッシュ。

・次に、鳴らすほどにパワフルさに美しさも感じられるようになってきた。

・う〜ん、単に耳が慣れただけかな。(爆)

・まぁ、しばらくこうしておこう。
   
・二週間が過ぎた。

・別に測っていないので実働時間は不明だが、良くなった気がする。

・当初は
失敗か、と思ったのだが、時間が過ぎて霧は晴れた。

SIC Shottkey Barrier Diode

・バッテリードライブも良いが、このAC電源ドライブも良いね。と、思えるところまで来た。
 
   
・また一月が過ぎて、



2SK170を採用したFET版No−217もどきMCプリアンプも、やはりAC電源式簡素型無帰還IVC型MCプリアンプに変身してしまった。



・懐かしの2SA606と2SC960が見える。



・が、下の回路図のとおり、この際、2SA726、2SC1400も、と、かつての名石をフル活用。



・と、妄想した通りの超豪華、レア版。(爆)



・で、これでMCプリアンプの全て。なのはやはり驚くね。
・電源は、別ケースのトランス部は共用し、アンブ部内蔵のレギュレーターは従来のものをそのまま活用。
・で、その音だが、

・・・・・・・・・・・

・参るね。

・金田式の音を思い出した。(爆)



・って、長年慣れ親しんできたこれぞ金田式!といった音がするのだ。



・帯域を伸ばしたという感じではなく、グッと中域のエネルギーを凝縮して、力強く感情熱く豊かに迫ってくる。



2SA606の音かなぁ。



簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ。簡素無帰還ゆえ素子の音が出るのだな



・多分(爆)



平成28年12月31日







初夢






・おまえ、アホやなぁ

・と、正月早々に天の声。

・何が?(怒)

・何がって、お前の考えた簡素型無帰還IVC型MCプリアンプの終段、フォロアである必要はないだろ。エミッタ(ソース)接地でいいじゃん。

・えっ〜〜Σ(・□・;)



・お前の作ったトランジスタ版だけど、これでいいじゃん。

・これならまごうことなく電流出力だ。

・し、こっちの方がSAOCもシンプルになるよ。

・その意味で正統&更なるシンプル化だね。

・ハハハハハ






・ガーン
( ^ω^)・・・
・その特性。

・緑が電圧ゲイン。1kHzで60.4dBから61.65dB。接地動作なので終段のゲインが負荷値により変わるが、負荷値と近いエミッタ抵抗=560Ωとしてあるのでその差は僅かになる。

・赤がR32の電流で観たこのMCプリアンプのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。1kHzで5.4dB程度=1.86S

・最終的には、アッテネータで調整され、青の通りR34が1kΩの場合4.55dB、100Ωの場合−0.6dB、10Ωの場合−15.4dB、1Ωの場合−34.7dB、0.1Ωの場合−54.6dB。

・ゲイン、ボリューム調整機能とも良い。
・その歪率もFFTで観てみな。
・二次高調波が−80dB程度、三次高調波が-95dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.009807%

Σ(゚д゚lll)ガーン

・ついに小数点以下3桁台。
・う〜ん。。。。。。

・参った。

・どうしようかな。
・取りあえずSIT版をこれで行こうかな。
・上の方で観たフォロアの場合と違ってゲインが小さくならない。

     
・が、



・2SA606、2SC960、
2SA726、2SC1400を起用した超豪華、レア版の
AC電源式簡素型無帰還IVC型MCプリアンプの方があっという間に再変身してしまった。(爆)



貴重な2SC2291も不要となって有難い。し、基板上も少しパラっとした。



・ほぼ部品配置は変わらぬ最小限の変更でお告げ通りのエミッタ接地型となった。(^^)



・ユニバーサル基板AT-1を使うとこうしたちょっとした改変があっという間に出来る。



・その回路は下図。
・お告げ通りに終段をダーリントン接続のエミッタ接地回路に変更。

・エミッタ接地動作と言っても、そのエミッタ抵抗560Ωで電流帰還が掛かるので、負荷抵抗(560Ω+100Ωとボリューム1kΩとのパラ)との比率で電圧増幅率はほぼ0dB(1倍)と改変前のエミッタフォロア型と変わらない。

・その動作点は定電流回路に変わった2SA606で15mAに設定。なのも改変前に同じ。

・違いはイコライザー素子の接続点。改変前はアースに接続したが、これを−18V電源へと接続替えした。理由は接地動作となった終段と動作起点を揃えるため。K式レギュレータといえども理想電源ではないので、こうしないと音もやかましくなる。

・で、その特性だが、
・緑が電圧ゲイン。1kHzで60.4dBから61.65dB。接地動作なので終段のゲインが負荷値により変わるが、負荷値と近いエミッタ抵抗=560Ωとしてあるのでその差は僅かになる。

・赤がR32の電流で観たこのMCプリアンプのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。1kHzで5.4dB程度=1.86S

・最終的には、アッテネータで調整され、青の通りR34が1kΩの場合4.55dB、100Ωの場合−0.6dB、10Ωの場合−15.4dB、1Ωの場合−34.7dB、0.1Ωの場合−54.6dB。

・と、お告げの際に観たとおり。

・イコライザー素子の接続点が変わっただけだから当たり前。
・カートリッジVICの入力に1mV1kHzの正弦波を入力し、ボリュームR34を調整してR33に1mA1kHz正弦波を出力させた場合のその歪率をFFTで観る。
・二次高調波が−80dB程度、三次高調波が-95dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.010226%

ざんねーん。

・イコライザー素子の接続点を変えただけが、僅かに歪率が悪くなった。

・が、良い数値だよね。(^^)
・調整時、電源オン後のオフセットの出方、0Vへの収束の仕方が、これまでのものと違うことに気づいた。

・最初のオフセット電圧がこれまでのものに比して小さい。

・そして、カートリッジVICをつながない場合の方がつないだ場合よりも0Vへの収束に時間を要する。これはこれまでのものと逆だ。

・シミュレーターはその辺どう見せてくれるか。
結果が右。

・やはりそうだ。

・0Vへの収束まで時間を要している方(ピンク)がカートリッジVICを接続していない場合で、時間を要していない方(緑)がカートリッジVICを接続した場合。

・何故、これまでと違ってこうなるのか?

・知らん(爆)

が、SAOCが強力なので、どちらの場合もしっかり0Vに収束する。事実上トリマーによる出力オフセット調整が不要なほどである。
・さて、お告げにより改変した後のその音だが、

・良いね。パワフルで圧倒的な情感、存在感。今度は2SC960の音かな。(^^)

・では、改変前のフォロア型と比べてどうか?

・う〜ん。。。。。。分からん(爆)

・が、不思議なことにエミッタ接地型はフォロア型に比べてホワイトノイズが全く小さい。

・このノイズレベルは、上の電池式に匹敵する静けさだ。何故かは知らないがこれは素晴らしい。これだけでも接地型に変えた甲斐がある。



・簡素型無帰還IVC型MCプリ。差動2段から考えるととても信じられないが、これでプリは終焉だ。

Blue
・続いて、MOS−FET使用の元祖簡素型無帰還IVC型MCプリもあっという間に変身してしまった。



・接地型に変身したTR版の音を聴くと、これも接地型に変更しないわけにはいかない。



・で、これも部品配置はほぼ変わらぬ最小限の変更でソース接地型となった。



・AT−1はありがたい。



・その回路は下図。
・まっ、トランジスタがMOS−FETに変わっただけだ。(爆)

・が、この際終段の定電流回路にもMOS−FETの2SJ77を起用。

・あと、初段。ちょっと手当をしてある。

・特性は勿論トランジスタ版と殆ど同じ。



・まぁ、当たり前。
・R33に1mA1kHz正弦波を出力させた場合のその歪率は、
・二次高調波が−70dB程度、三次高調波が-100dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.031060%

・トランジスタ版の3倍ほどだ。

・が、悪くはなかろう。
・電源オン後のオフセットの出方、0Vへの収束の仕方だが、
・トランジスタ版と同じだね。カートリッジVICをつないだ場合の方(緑)が早く0Vに収束する。カートリッジVICをつながない状態の場合(ピンク)の方が0Vに収束するまでの時間が長い。

SAOCが強力なので、どちらの場合もしっかり0Vに収束する。

・が、事実上トリマーによる出力オフセット調整が不要なほどと感じるトランジスタ版に比較すると、こちらは0mVに調整するためにはトリマー調整が必要な程度の強力さである。

・TR版のダーリントントランジスタはMOS−FETよりgmが大きいためだろう。
・で、接地型に変更した後のその音だが、

・良いねぇ。(^^)

・流石にMOS−FET。帯域が伸びてすきっと晴れやかと言うか爽やかさを感じる音がする。

・トランジスタ版も良いがこれも良いね。



・で、トランジスタ版では、エミッタ接地型がフォロア型に比べてホワイトノイズが全く小さくなったのだが、なんとこのMOS−FET版でもこのソース接地型はホワイトノイズが全く小さい。トランジスタ版に匹敵する静けさだ。

・上のフォロア型の際にMOS−FETが故にホワイトノイズが大きいものと思ったのだが、どうもそうではないようだ。こうなると回路構成によるものと考えるしかない。

・いずれにせよこの静けさはありがたい。



・簡素型無帰還IVC型MCプリ。差動2段から考えるととても信じられないが、これでプリは終焉だ。

Green
・良いことばかりの接地型のようだが、世の中そうそううまい話ばかりではない。得るものがあれば失うものがあるのが世の常である。

・それがこれ。

・MOS−FET版では、初段の定電流回路のツェナーダイオードを半分の電圧のものに変更して対策している。

・のは、要するに、接地動作にすると当然だがその入力と出力の電位が反転逆相となるため、電源電圧利用率が悪くなってしまう。

・その結果、最大許容入力が小さくなってしまうのである。

・まぁ、トレードオフだね。

・その状況を、カートリッジVICに1kHz0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVの正弦波を入力して観る。
・結果が右だが、初段に対策を講じたこのMOS−FET版の最大許容入力は4mV弱といったところにとどまるのである。

・この辺、実はトランジスタ版も同じだが、トランジスタ版の方は初段での対策は要しない。

・が、私としてはこれで良いと思う。

・3mVでDLー103の定格出力0.3mVに対する余裕は20dB。

・実際必要十分だ。



・さぁ、そんなことより、楽しく音楽を聴こう。(^^)



平成29年1月3日







その後の8



・No−251

・シンプルを突き詰めれば終焉だから“新たな発想”で反対方向も良しとしなければ続かない。

・そんなことは融通無碍にやれば良い。

・のだが、シンプル方式を進める際にはシンプルが一番でシンプルでないとダメかのように物事を進めるから“新たな発想”なんて言い訳をする羽目になる。

・が、根本に最新型が常に最良であるというドグマがある以上、そうなるのは宿命。

・今回は、実はもうどれでも良い音だから大丈夫、あるいはもうこれ以上はない、との告白だろう。

・が、このドグマはK式のK式たる所以。根源。

・今後も、引き続きこれでなければダメというあっと驚く“新たな発想”の回路で更に良い音のDCアンプを追及されんことをご期待申し上げます。
・No−251のイコライザー。

・カートリッジVIC出力のR11、330Ωとボルテージフォロア入力のゲート抵抗R13,100ΩはSAOCの安定化用抵抗で、330ΩがないとVo(出力電圧)が大振幅で振動し、100Ωは高周波発振防止の働きをする。

・ということだが、シミュレーションではそれらの抵抗はなしで問題なく動作する。し、私の248もどきたちもMOS-FETフォロア型の際にゲート抵抗が必要だったことを除いてそのような抵抗はなしで安定に動作している。

・もしやMCカートリッジにDL−103以外を起用した場合には必要になるのかも知れない。内部インピーダンスの低いSHELTERとか? 布石かな。

・C4の0.68uFは必ず入れなければならない。そうだが、私の248もどきたちの場合は入れても入れなくても音に差を感じなかったので入れていない。のは駄耳だから。(爆)

・SAOCはシンプル型で回路はシンプルだが、実際は従来の差動型に比べると気難しく、シミュレーションでもオフセット調整はクリティカルだ。


・と、私にはシンプル型は難しいので(爆)、私は基本的に従来の差動型を使っている。DC領域のゲインもシミュレーターによればシンプル型は差動型に比べて30dB程度小さいということもあるので。

・で、イコライザーの出力電圧の周波数特性を観る。

・イコライザー素子のR17を240kΩと560kΩした場合の両方を観る。
・結果が右で、緑がR17=240kΩの場合で、ピンクがR17=560kΩの場合である。

・そのRIAA特性関連部分の数値は、

R17  20Hz 30Hz 1kHz 20kHz
560kΩ 83.4dB 85.7dB 61.1dB 41.7dB
240kΩ 80.1dB 81.1dB 61.1dB 41.7dB

・と、なる。

・ので、私ならR17は240kΩにして、さらに低域ピークももう少し下げて20Hz辺りにするためにR9を10MΩにするだろう。

・シミュレーターもそうすれば20kHzで81.2dB、30Hzで80.86dBになるよ(^^)と教えてくれる。
・これはずっと上にある私のバッテリー式No−248もどき無帰還IVC型MCプリアンプのイコライザー。

・No−251のそっくりさんだね。(爆)

・が、カートリッジVICをつながない場合でも出力が0VとなるようSAOCを細工してあるので、SAOC入り口のR9が大きな値になるなどしている。

・イコライザー素子のR17は240kΩ。
・その電圧ゲインの周波数特性。

・RIAA特性関連部分の数値は、20Hzで80.0dB、1kHzで60.1dB、20kHzで40.4dB。
   
・さて、私は相変わらず簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ。



・回路はこれまでと同じ簡素型で、単純にSITを起用して、2SK79を起用したSIT版No−217もどきMCプリアンプを変身させたもの。



・SITは2SK79で良いのだが、折角そのメタルキャンタイプである2SK63の手持ちがあるのでこれを採用した。このほうが同じくメタルキャンタイプの名石2SA606と並んだ姿が美しいので。(爆)
・ところで、右は今回採用した手持ちの2SK63のVd−Id特性実測図。



・なんと、この資料に乗っている2SK63の静特性の3倍も電流が流れる。



・のだが、このくらい電流が流れる2SK63(2SK79)でなければ、今回の回路には採用できない。



・すなわち、資料に乗っている静特性のものでは今回は使えない。



・で、回路は下図。
・これまで簡素型では終段をオールTRでTR版、オールMOS−FETでFET版を拵えたので、今度はTRとSITでTRとFETのMIX版である。



・が、あまり変わり映えはしないね。(爆)
・で、その特性。

・緑が電圧ゲイン。1kHzで59.4dBから60.65dB。接地動作なので終段のゲインが負荷値により変わるが、TR版、MOS−FET版より僅かにゲインが小さい。

・赤がR32の電流で観たこのMCプリアンプのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。1kHzで4.4dB程度=1.66S

・最終的には、アッテネータで調整され、青の通りR34が1kΩの場合3.55dB、100Ωの場合−1.6dB、10Ωの場合−16.4dB、1Ωの場合−35.7dB、0.1Ωの場合−55.6dB。

・ゲイン、ボリューム調整機能とも良い。
・R33に1mA1kHz正弦波を出力させた場合のその歪率は、
・二次高調波が−70dB程度、三次高調波が-95dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.036179%

・MOS−FET版より更に少し悪い。

・が、絶対値としては悪くはなかろうて。
・電源オン後のオフセットの出方、0Vへの収束の仕方。
・カートリッジVICをつないだ場合の方(緑)が早く0Vに収束する。カートリッジVICをつながない状態の場合(ピンク)の方が0Vに収束するまでの時間が長い。

・と、これまでの接地型に同じだが、その推移がトランジスタ版と良く似ているね。

・が、実機の動きはこれとはちょっと異なる。

・何故か?

・不明。(爆)
・問題の電源電圧利用率。

・MOS−FET版で、初段の定電流回路のツェナーダイオードを半分の電圧のものに変更して対策したのだが、実はその対策はそもそもSITを用いたこのMIX版のために考えたもの。

・SIT(V−FET)は40年前に世に出たが、電源電圧利用率の悪さもあってあっという間にディスコンとなった。ことを思い出す。真空管を見る目で観ればそんなことは当たり前で、その特性は実に優秀な真空管なのだが、電源電圧の低い半導体回路で使うにはgmが真空管並みだと効率が悪く見えるんだね。まぁ、しょうがないか。

・さて、対策が功を奏しているかを、カートリッジVICに1kHz0.3mV、1mV、2mV、3mV、4mV、5mVの正弦波を入力して観る。
・結果が右だが、最大許容入力は4mV弱にはなっているね。3mV入力は大丈夫だ。

・よって、必要十分。

・良かった。(^^)
Yellow Green
・これも電源部は別ケースのトランス部を共用し、アンブ部内蔵のレギュレーターは従来のものをそのまま活用。
・で、その音だが、

・これも良いねぇ。(^^)

・流石に2SA606とSIT2SK63のMIX。

・のせいか否か、2SA606の帯域がすきっと伸びたような感じで美しく充実した音だ。

・素晴らしいね。(^^)

・なお、毎度のホワイトノイズはこれも小さい。



・ところで、このSIT版では上の回路図のとおり2SK63のゲートードレイン間に位相補正コンデンサ5pFを挿入してある。

・無帰還なのに位相補正とは摩訶不思議だが、ここにこのコンデンサがないと何故か発振してまともな音にならずラジオの音が聞こえてきたりと動作が安定しない。NFBアンプの発振状態と同じだ。(爆)

・なので、ゲートードレイン間の位相補正Cなのだが、その値は2pFで動作は安定する。

・が、ここはかつてのK式NFBアンプと同じでCの値で音もちょっと変わり、安定動作の必要値より少し多めの方が充実した音になる。ので5pFとした。

・面白いね。
・と、終段接地動作の簡素型無帰還IVC型MCプリアンプを3台も拵えてしまった。(爆)

・それらの音は、接地動作をしている終段素子の特徴が色濃く出ているように感じる。

・ので、それらの電圧ゲインの周波数特性を観よう。

・何か分かるかも知れない。
・先ずはTR版。

・ダーリントン接続の終段Q6、Q7の電圧ゲインの周波数特性。
・結果は右のピンク。

・DCから10kHz超程度まで40dBを超える電圧ゲイン。
・次にMOS−FET。
・結果は右のピンク。

・DCから100kHz超程度まで30dB程度の電圧ゲイン。

・トランジスタ版と比較すると、ゲインは10dB程度小さいが、高域のfcは一桁高い周波数まで伸びている。

・やはりね。音を聴いても帯域が伸びてすきっと爽やかに感じるのはこのせい?
・そしてSIT。
・結果は右のピンク。

・DCから10MHz超程度まで20dB弱の電圧ゲイン。

・トランジスタ版と比較すると、ゲインは20dB強小さいが、高域のfcは三桁高い周波数まで伸びている。

・ホントかいな。(^^;

・が、こんなに帯域が広いのでは発振してラジオ電波まで拾うのもむべなるかな?位相補正で帯域を絞ってやらないといけないのはこのため?



・しかし、40年前のSIT。

・とても良い音だったんだね。



・と、簡素型無帰還IVC型MCプリ。差動2段から考えるととても信じられないが、これでプリは終焉。

・音楽鑑賞中。



・一番上が今回のMIX版簡素型無帰還IVC型MCプリアンプでリチウムイオンバッテリーで動作中。

・その下がAC電源式No−248もどきIVC型MCプリアンプでその電流伝送チャンネルフィルター部を使っているもの。

・その下はその電源トランス部。

・一番下はSP−10Uのドライブアンプ

・パワーIVCは、左の方にかすかに写っているが、私のバッテリードライブの電流入力パワーIVCだ。



・う〜ん・・・・・・凄い。

・先生の言葉的に言えば感動と歓喜の嵐だ。(爆)

・何も言うことなし。

・全てのレコードを聴きなおそう。(^^)



平成29年1月21日







その後の9



・こんな感じ。

・トランジスタ、FET、MOS−FET、そして真空管によるハイブリッド簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ。

・果たして上手くいくか。
・LTSpiceが占うその特性。

・緑が電圧ゲイン。1kHzで57.13dBから58.41dB。接地動作なので終段のゲインが負荷値により変わる。

・これまでのものよりゲインが1〜2dB小さい。

・赤がR1の電流で観たこのMCプリアンプのgm(相互コンダクタンス)の周波数特性。1kHzで2.15dB程度=1.28S

・最終的には、アッテネータで調整され、青の通りR8が1kΩの場合1.35dB、100Ωの場合−3.9dB、10Ωの場合−18.5dB、1Ωの場合−37.9dB、0.1Ωの場合−57.8dB。

・ゲイン、ボリューム調整機能とも良いね。



・ピンクが終段C3gの電圧ゲインの周波数特性。ゲインは14mS×0.56kΩ=7.84倍=17.9dBといったところ。が、帯域はなかなか広い。大丈夫かな。
・次に電源電圧利用率。

・この場合は電源電圧が高いので、その利用率というより、C3gの能力を最大限活用できる設計になっているかどうかだ。

・カートリッジVICに0.3mV、1mV,2mV,3mV、4mV、5mV、6mV、7mV、8mV、9mV、10mV、1kHzの正弦波を入力して観じる。
・右図、下の緑が出力電圧でピンクがC3gのプレート電流の推移。

・入力10mVまで正しく出力出来ているように見える。

・が、その際C3gのプレート電流が27mAを超える時点でピークが飽和している。その際出力の方は当然マイナス側だがやはりピークが飽和している。

・その原因は右図上のC3gのグリッドーカソード間電圧の推移を観れば明らかで、要するにグリッドが対カソードで0Vに達するから、言い換えればプレートの可能最大出力電流に達したからだ。

・ということは、これでC3gの能力を最大限活用できる設計になっている。と言うこと。
・本当か?

・と、今回の回路設定でC3gの特性を観る。
・動作点となるVa−kが90V弱でVg=0Vだとプレート電流は27mA程度。ということはC3gの限界まで使っているということだ。

・グリッドをプラス領域まで振ればプレート電流はもっと流れることが分かるが、その場合左下のピンクの通り、グリッド電流が流れる。イコール入力インピーダンスが急激に下がってしまうので、ゲインを獲得出来なくなる。従ってプラス電位にするわけにはいかない。実際の回路のシミュレーションでC3gのプレート電流が頭打ちになる理由はこれ。



結論として、C3gの能力を最大限活用できる回路になっている。
・ところで、C3gのスクリーングリッドは+18Vに接続している。

・これをアースに接続すると、右になる。
・全体的にプレート電流が減る。

・実用上はこれでも何ら支障はない。のだが、A級動作で動作点が15mAだから、出来れば30mA流せると良いので+18Vに接続
・R4に1mA1kHz正弦波を出力させた場合のその歪率は、
・二次高調波が−60dB程度、三次高調波が-85dB程度。

・Total Harmonic Distortion=0.075961%

・SIT版の2倍位。

・絶対値としてそう悪くはないと思うが、ノイズ?が凄いね。大丈夫か?
・電源オン後のオフセットの出方、0Vへの収束の仕方。
・カートリッジVICをつないだ場合の方(緑)が早く0Vに収束する。カートリッジVICをつながない状態の場合(ピンク)の方が0Vに収束するまでの時間が長い。

・と、これまでの接地型に同じ。

・だが、収束までの時間はこれまでの接地型より早い。のは当初のオフセット電圧が大きいからかな。



・が、実機ではこうはならない。

・何故ならこのシミュレーションでは、真空管がヒーターで温まって徐々に恒常動作になるという点がすっぽり抜けているから。
     
・シミュレーションではC3gだが、実機では404A



・真空管は久しぶりだ。



・残念ながら
404Aのモデルがないので、シミュレーションでは同程度にプレート電流が流せ、モデルのあるC3gで代替したもの。



・まぁ、当らずとも遠からず。
・で、404AをVg=0Vで実際の回路に近い回路で事前計測して、その場合でもプレート電流が30mA程度流れるものを選別。



・使えそうだ。(^^)




・回路は下図。
・真空管なのでマイナス側の電圧が高いが、要するに簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ。



・初段のトランジスタは耐圧120Vの2SA9702SC2240ではなく、hfeは小さいが耐圧150Vの2SA11452SC2705とし、耐圧100VのSEコンは諦め耐圧300Vのディップマイカにする。など、高圧対応措置を多少。



・真空管にはソケットを使用。



・で、これでMCプリアンプの全て。

・2SK97で電圧増幅&RIAAイコライズ、404Aで電流増幅、終了


やはり驚くね。
  
・電源は、整流管412Aを使った既存のものを流用。



・最早14年前の2003年に、祝・DCアンプシリーズ30周年で“未知との遭遇 No−166 真空管CDラインアンプ & No−170 ハイブリッドCDラインアンプ”において拵えたものだが、あれから14年を経て今般ハイブリッド簡素型無帰還IVC型MCプリアンプの電源部として活用する。



・従前は、アンプの方がノンレギュレータであったことから、電源電圧が高くなりすぎないよう、2次側出力85V端子出力を使用していたが、今回は接続替えして100V端子から出力を取り出して所要の電圧を確保する。
・つもりだったのだが、



・やはり412Aの内部抵抗が大きく、今回の消費電流では電圧降下が大きくて所要の出力電圧が得られない。



・ので、上でアメリカから逆輸入したロームのSiC Schottky Barrier Diode SCS306APを起用することにした。



・こちらは内部抵抗が極小なので、同じ消費電流なのに±144V強の出力電圧になる。



・ちなみに412Aでは同条件で±110V程度なので今回は使えない。135Vは無理でも125V程度になってくれればなぁ。。。と期待したのだが残念。



・なので、412Aは撤去。



・が、配線変えすれば何時でも使えるようにしておく。
・レギュレーターは新調。



・シンプル型を使わせて頂き、SiC−MOSは手持ちのSCT2450KEを起用。



・+18Vはダブルレギュレーターとした。



・2SJ103を定電流回路として使う最新のリップル対策型も、シミュレーションでは効果がダブルレギュレーター化には及ばないとの結果が出る。 



・占いなので信じてはいけないのだが、+120Vも作っておけばいずれ使うかもしれないしね。




・なお、+18Vレギュレーターは、損失が7Wに達するSCT2450KEに放熱板を背負わせる関係で、その他の部分を小さく作るために小型のコンデンサーを起用。また、入力部分のコンデンサーが1uFのシリーズなのは耐圧が63Vであるため。

・右がその占い。



・直流130Vに1V100Hzサイン波を重複した電源で、レギュレーターの能力を観る。



・Vout2がダブルレギュレータ出力。

・Vout3がシングルレギュレータ出力。

・Vout4が対策型シングルレギュレータ出力。
・結果。

・緑がダブルレギュレータ出力。

・ピンクがシングルレギュレータ出力。

・赤が対策型シングルレギュレータ出力。
  
・アンプ部のケースは、No−166真空管CDラインアンプを廃用とし、そのケースをそのまま活用。

・これで30周年記念で拵えたNo−166真空管CDラインアンプも、2011年にサブミニチュア管PhilipsECG JAN6111WAでハイブリッドに組んだNo−217もどきに変身済みのNo−170ハイブリッドCDラインアンプと同様に廃用となった。まぁ、時の流れ、無常というものだ。

・が、要すれば、
真空管CDラインアンプからハイブリッド簡素型無帰還IVC型MCプリアンプに変身だ。

・さて、長らく眠っていた真空管を使ってのアンプは簡単にはものに出来ない。

・先生おっしゃる通りの現世回生措置は必須だ。し、不良品、不調品も混じっている。それらは残念だがオミットしなければならない。今回も第一選抜の真空管がなんと電源オンで内部スパークを起こすではないか。交換。などなど。

・を乗り越え音出しに漕ぎつけたが、当初ボンボンというような感じの発振現象を呈してくれるのだった。

・まぁ、これは404Aの高周波特性が余りに良いので懸念していたところ。

・が、SIT版の経験もあり404Aのプレートーグリッド間に位相補正コンデンサ5pFを挿入したら、発振症状は跡形もなく消滅。(^^)

・で、回路はこうなった。

・10pFのシリーズなのはSEコンの耐圧が100Vだから。
・ずっと昔、真空管は大事に育てるような気持ちが大切というようなことを先生が仰っていたように思う。



・回生が進み、真空管が生き返って、真空管内部がこの世での動作に馴染むほどに、動作は安定し、音は良くなっていく。



・その良くなる音の度合いが参る。これがウェスタンなのか。。。凄いね。



・考えてみれば私はウェスタンは初めてなのだ。初めて聴くウエスタンの音。



・この音を聴くと、なんでもっと早く聴かなかったのか。。。と、残念な気分になるね。



・心に沁みる。

・ハイブリッド簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ。


・素晴らしい。



・ちなみにレギュレーター経由のAC電源由来及びヒーター由来のハムもないし、ホワイトノイズもこれまでの接地動作の簡素型無帰還IVC型MCプリと同様に小さい。






・さて、No−248無帰還IVC型MCプリアンプをStudyしてMCプリアンプを6台も拵えてしまった。うち4台が簡素型。



・当初は半導体でNo−248もどきを作ることで始めたのだが、掲示板で識者のアドバイスを頂いたお陰で簡素型に思い至り、初夢の天の声でフォロア型を接地型に変更し、最後は簡素型でオリジナルNo−248同様に真空管を起用したものに辿り着いた。



・それらは皆素直で屈託がない自然な音を聴かせてくれる。



・それが無帰還IVC型というものなのだろう。



・これらを聴くともうこれ以上はないと思えるのだが、さて、どうか。(^^)



平成29年3月13日








その後の10



・次は435A
・回生中。

・まだ完全によみがえっていない。

・のだが、音は404A以上のような感じが。。。

・上手くよみがえらなければ残念ながら抹消となる。




・早くよみがえれ。
  
・残念ながらなかなかよみがえりに成功しない435A。

・なのだが、よみがえりを黙って待っているだけではなく、No−251で言及されているように、SAOCによるNFBが発振をもたらしていることを、404Aの場合でも不定期に音が一瞬途切れて回復する現象が生じることから確信し、回路図のとおり、R1の330Ωを挿入し、さらにT1のプレートーグリッド間の位相補正Cの容量を変更するなどして、よみがえりを助けている。
・のだが、まだ成功しない。

・音は出ている。

・が、何故かゲインが小さい。低域が伸びが足りない。のは入力インピーダンスが低いのか?

・また、ヒーター由来と思われるハムノイズも生じる。その大きさは個体により異なるが。

・と、起用した真空管個体の問題か、あるいは回路の問題か。

・半導体による簡素型無帰還IVC型MCプリでは何の問題もなく、まさかSAOCを含むNFBループがもたらす問題が潜んでいたとは。そしてそれが真空管を起用したハイブリッド簡素型無帰還IVC型MCプリで顕在化するとは。

・この問題を踏まえてR1の330Ωを挿入して、さらにT1のプレートーグリッド間の位相補正Cの容量を変更して調整したところ、404Aでは5pFが最適値というかマスト値であることが分かった。これは少し大きい方が良いのではないかと10pFに変更してみたら、なんとドンドンという感じに発振する。

・全く難しいね。404A、435A、高周波特性に優れ過ぎているが故かな。

・どなたかこの辺のメカニズムを教えて頂けないものか。

・と、いう訳で、404Aによる
ハイブリッド簡素型無帰還IVC型MCプリの回路はこうなった。

・こちらはこれで全く安定。
・基板左上のツェナーダイオードの右隣が今回追加した330Ω。

・2017年2月号ではその方向性を示す△の付き方が図5と図6で逆になっている。が、当然図6が正解。



・ところで、電源オン後のオフセットの出方、0Vへの収束の仕方の実態だが、電源オンで最初プラス1V強のオフセットなるが、ヒーターが温まるとともにマイナスに転じてマイナス1V強まで動いて、その後SAOCに吸い込まれるように0mVに収束する。その間30秒以内。



・で、音。

・究極に素晴らしい。

・としか言えない。(爆)




平成29年3月19日







その後の11



・半世紀も前の真空管を使ってのアンプはやはり中々に難しいですね。

・近頃、片チャンネルからガサガサゴソゴソと音がするようになったので、ピンの接触不良か、真空管の寿命か、回路の問題か、など、ちょっと試行錯誤。

・こういう状況にあたふたすると、真空管のピンを良く磨いて半田付けで直結する正統K式の手法は接点不良による問題がなくなる点でも正しいと思いますね。

・が、古い真空管は実際に動作させて選別しないとダメですし、ソケットをやめていちいち半田付けしながら選別するというのはとても大変ですしねぇ。

・で、あたふたの結果、何だか良く分からず。(爆)

・回路としては、R17を追加して取りあえず上手くいきましたが、まぁ、おまじないですね。

  
・基板中央、真空管直近左上の抵抗が今回追加したR17。

・なお、RIAAイコライザー素子の5100pFもこの際SEコンデンサーに交換しました。

・最悪の場合SEコンデンサーの耐圧100V以上の電圧が掛かることがあるのではないかとの懸念から、耐圧300Vのディップマイカにしていたのですが、良く検討するとこれに100V以上の電圧が掛かることはまずなさそうです。

・ならばやはりSEコンです。



・で、やはりSEコン。柔らかく表情、情感が豊かで、一層泣けてきます。
   




平成30年5月26日








メンテナンス




WE404Aによる簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ。

・電源部の+18Vと−120Vレギュレーターのトランジスタを一部見直し、交換した。

・結果、こうなった。



・K式では、素子の耐圧や損失のギリギリで使用することがよくある。(時にはオーバーしている。)



・が、真空管を使用し、さらに+電源を+145Vから+18VにするためにSCT2450KEには大分損失を食わせているので、それらの発熱でケース内はそれなりに熱がこもる。



と言うこともあるがそうでなくとも長年使っていくためには、素子のディレーティングはやはり考えるべきだ。



・と、規格内での使用ではあったのだが、一部の2SC2240と2SA970を、より耐圧、損失規格の大きい2SC18112SA896に交換した。




・初期のK式で使われた実に古いSONYのトランジスタだが、ジャンクボックスに眠っていたので、この世に蘇らせた。



・音も一層良くなった。というのはプラシーボ。



令和2年7月12日