その1
「G.O.A」=「対アース出力アンプ」は、金田式DCアンプ登場十年余にして訪れた一大変革だった。
それまでの金田式DCアンプの発展が変革と呼ぶに値しないということではない。登場時からオペアンプを使った高度な定電圧電源を備えていたが、それが順次高速、高度化し、電池導入によるスイッチングレギュレータにまで派生、発展した10年は、それ自体変革の連続だったと言っていいエネルギッシュでエキサイティングなものだった。ただ、その歩みは一貫して純でナイーブなアンプ本体をいかに純に動作させるかを徹底的に追及したものだったように思う。

わたしもそれを追いかけ、この時期出力段まで超高速定電圧電源を備えたA級30WやAB級120W、スイッチングレギュレーターを備えた電池式DCプリアンプなどを製作したが、出力段用の超高速定電圧電源やスイッチングレギュレータは非常に高度で、抵抗負荷2段差動アンプそのものだった本体を遙かに上回る技術水準のものだった。と思う。その分作り甲斐もあり、上手く完成出来たと思った時は嬉しくて大きな音も出せないのに朝までレコードを聴いていた記憶がある。

しかしながら、当時本当に正しく動作するものを作れたのかどうか今や確認するすべもない。
私の製作したA級30WやAB級120Wは年月を経て不具合が出てきていたことや、出力段用定電圧電源が出力増加時発振して(これは今考える推測)保護回路が動作するなど必ずしもパーフェクトではなかったこともあり、簡単に製作できた8Wばかりの電池式GOAパワーアンプとの比較でメリットを証明出来ず、結局下のように姿を変えてしまったのだ。

今にしてみれば残しておいても良かったのになぁ、とも思うが、当時は狭いアパートでスペース効率の悪い第1世代の金田式アンプ群は小さく軽い電池式GOAの出現の前に解体されざるを得ず、その部品の多くはいくつかのGOAアンプに移植され、あるいは未だ残骸としてジャンク箱の片隅に眠っている。それだけ電池式GOAは衝撃的だった。

電池式 G.O.A パワーアンプ その1


回路図

その2
GOAはほんの静かに登場した。85年4月号のNo−84で、こんな回路だった。
 
AB級240W+240W。当然AC電源でレギュレーターはなし。トランスはAB級120W用のタムラPR7107Sだ。レギュレーターを使わないので倍の出力が可能なわけだが、あまりに難しくなったレギュレーター(スイッチングレギュレーターや超高速レギュレーター)を省略でき、エレクトロニクスの専門家ではないオーディオマニアのため、だれでも作れるように考えた、と金田さんは言っておられる。

「アースという動かない電位につながった抵抗にプッシュプルで出力電流を流して出力電圧を発生させるという新しい理論」と、GOAの本質が簡潔明瞭に説明されている。そのための手法がカレントミラー(とカスコードアンプ)だ。
が、かつて差動アンプの出力電流をカレントミラー合成することは差動アンプの動作を非対称にして好ましからずとしたはず、ではなかったか・・・(^^;;。
その言い訳(解決手法)が差動TR出力の一方に挿入されている10KΩで、プッシュプル合成で2倍の電流・電圧となる反対側の5.6Kとのバランスを取って差動TRの動作の対称性を確保する訳だ。必要は発明の母と言うことか。

ともあれGOAは「DCアンプ全般に(影響を?)及ぼす大きな発見」で、続く6月号のNo−85ではAC電源ノンレギュレーターGOAのプリアンプが発表され、これがなんとプリアンプの革命たる理想NF型イコライザーの初登場であり、翌86年4月号のNo−90では、仰天の電池式GOADCパワーアンプが発表されるなど、金田式DCアンプは大きく変貌を遂げ完全に新世代となった。ように思う。
こうして見ると、1985年というのは金田式DCアンプの歩みの中では歴史的な年だった訳だ。(こう思うのは私だけか?(^^;;)

ただし、レギュレーターなしのAC電源で正常動作できるMC用プリアンプも実現可能なGOAアンプがこのあとAC電源で継続、進展しなかったのは、最近の完全対称型の状況と重ね合わせると、本当に必然だったのか、という思いが浮ばないこともない。
すでに進歩の最終型が最初に示されていたんじゃないかって、ね(^^;;

実はGOAの出現で解体の憂き目にあったAB級120WのトランスがタムラのPR7807Sで、No−84で使用されたトランスと同等のものだ。これが未だジャンクとして転がっている。これを復活させ、8Ω200W超の完全対称型アンプを実現することを密かに目論んでいるのである。

電池式 G.O.A パワーアンプ その2



回路図


その3

最初の乾電池電源によるDCパワーアンプは、多分上の写真の鈴蘭堂のCL−10というケースに6チャンネル分の電池式G.O.Aパワーアンプを格納して、3WAYマルチスピーカーシステムをその1台で鳴らしてしまうというものだ。それ以前のAC電源式DCアンプでこれと同様に3WAY用にアンプを揃えたら畳1畳分のスペースが必要(ちょっと大袈裟か(^^;))だったのだから、この点だけでも驚きだ。
が、さらに驚いたことにはパワートランジスタが放熱器に取り付けられていない。パワーTRを放熱器に取り付けないで使うなんていうのは常人のすることとは思われない・・・。これで8Ω8W、4Ω11Wの出力が得られる・・・? 

A級だのAB級だのと大容量の大型トランスに多数の放熱器で重く大きなアンプばかり作ってきた人が、突如トランスも放熱器も不要な軽量コンパクトアンプを突き詰めて提示してくるのだ。なんとも極端で人を驚かすことが好きな人だ、と思うが、これで200WのAC電源アンプが足元にも及ばない音を出す? というのだ。

そのアンプの回路が下で、これはNo−91のものだがNo−90の方は出力段のTRに括弧書きの素子が使われ4Ωダブルウーハー用には出力TRをパラに追加したものとなっている。





これは作ってみるしかない、と早速No−91の回路で電池式GOAパワーアンプを組んで聴いてみた。トランスもなし、放熱板もなし、なので余りにも簡単に出来てしまう。するとどうだ。この電池式B級8Wに比較してしまうとAB級120Wが出す音楽が平板で味気なく聞こえてしまったのだ。
私のアンプ達もこれで世代交代となってしまった。(心境、悲喜こもごも・・・)

さて、衝撃的な電池式G.O.Aだが、パワーアンプについてこの型式が完成したのは2年後の88年10月号のNo−106の35W6chバッテリーDCパワーアンプだったと思う。今、手元にあるGOAなパワーアンプ達もみなこのNo−106と言ってもいいものだ。それまではアイドリングの安定度や温度補償などに些か問題があったのだ。

まず登場した時点では上のごとく出力段がインバーテッドダーリントンだったが、アイドリング温度補償に難があった。温度補償素子がバイアス発生用のC1775しかなく、これは終段のD188かA627に熱結合するしかない。こうするとそのドライバーのA607,C960が野放しとなり、夏と冬ではアイドリング電流に大きな差が生じてしまうのだ。夏と冬と言わずとも電源ON時と通電後素子が自己発熱で暖まった時でアイドリングが変動する。放熱器なしのパワーアンプにはちょっとしたアイドリング電流の増加も問題だ。その後コレクタ抵抗の150Ωを2.4KΩにしてドライブTRの消費電流、消費電力を下げることよりアイドリングの安定を図ったが必ずしも成功しなかった、と思う。

インパーテッドダーリントンが採用されたのは電源電圧利用率がダーリントン型に比べて高いためだが、その後ダーリントン型でも終段のエミッタ抵抗を省略することにより同程度以上の電源電圧利用率が得られ、さらに歪率も低いということでダーリントン型に統一された。が、アイドリングの補償問題もダーリントン転換の理由だったと推察される。

だが、ダーリントン型も放熱器を使用しない10W型では温度補償は完璧ではない。わたしも熱暴走で素子を壊しはしなかったが基盤を焦がした経験が何回かある。放熱器を用いないと言うのはやはり危うい状態だ。アイドリングは10mA程度だから終段トランジスタのアイドリング時損失は150mW程度。これなら安全のようだが、何らかの原因でDCオフセットが0.5V生じただけで8Ωスピーカーがつながっていれば一方の出力段TRに72.5mA、1Wの損失が生じてしまうのだ。こういうことが容易に熱暴走を引き起こすし、そもそも夏場などはそういうことがなくとも出力段TRはそれなりに熱くなり、安心できない。

これを回避する有効な方法はやはり放熱器を付けること。30W型に用いるフレックスのTF−3205Sという小さな放熱器を付けただけで熱暴走の危惧は消失してしまう。合わせて温度補償素子の配分だ。私はC1775をドライバーの一方に、1S1588を終段の上下のTRに1個ずつと分けて熱結合している。これでほぼ完璧だ。

もし今後電池式GOAを作ってみたいという方がおられるならば、No−106以降の30W型か、10W型でも放熱器を使用して製作されることをお勧めする。終段を放熱器に取り付けてさえあれば、10Wの定数で製作してもそのまま±30Vの電池を接続するだけで30W型として使えてしまう。そんなに出力がいらないときは±15V電池で動かせばいい。と柔軟性が高まる。
最近誂えた「ヘッドフォン(も鳴る)アンプ」が実はこれだ。
2000年7月記

その4
突然だが、オールFET GOAパワーアンプを今更ながらこしらえてみたのでその製作記である。


今年の春先のMJの発売日、本屋で中身をパラパラ流し見し、No−158を眺めた後で(株)テクニカルサンヨーの広告ページに一瞬目が点となった(。。)

今となっては幻の東芝「2SJ72」が売りに出ている。しかもランクはBLでId=10mA以上の注釈付きだ。

これの意味をある種理解される方もおられるだろう。しばらく前の金田さんのオールFET GOA アンプぐらいでしか使い道は考えられないのだが、私としてはその日のうちに注文ファックスを送ってしまっていた。

2SJ72が金田さんのアンプに使われたのは7、8年ほど前で、別にその頃の金田さんのアンプに特段の思い入れがあるわけではないのだが、かつて彼の方が「悪夢のパワー素子」としていたパワーMOS−FET 2SJ49−2SK134(これも今や幻)が2組だけ手元にあるし、当時“All FET”を免罪符に宗旨替えして発表されたオール FET GOAパワーアンプを作ってみるのも一興だ。

と言う思いが頭を駆けめぐり、商売上手なテクニカルサンヨーさんにとって狙い通りの飛んで火にいる夏の虫となって、その在庫処分に貢献してしまったのだった。

さて、「悪夢のパワー素子」日立の最初の(?)パワーMOS−FET 2SJ49−2SK134だが、宗旨替えする前の彼の方の評価が評価だったから、大分以前に私が入手したのはこの2組だけだ。したがってこれを使う以外にないので、取りあえず想定バイアス(0.6V)付近で静特性を測ってみた。

その結果が右の図だが、メーカー発表の典型例に比較するとやや立ち上がりが遅い方にずれている。また、コンプリペアとして売られたものだったと思うが、JとKの特性差はこんなものだろうか。まあソースフォロワーのオール FET パワーアンプを考えているので、Vgs=0.65VでId=80mA前後だから取りあえず使えるだろう。

MJ93年9月号のNo−130にこれらをソース接地動作として終段に3db程度の電圧ゲインを持たせた、完全対称型の前身のような興味深いオール FET パワーアンプも発表されているが、先ずはオーソドックスに93年3月号のNo−128のソースフォロワー型式で作ってみることにした。これらの初段、2段は全く同じなので、場合によっては基盤を組み直して終段をソース接地にしてみるのも簡単だから、それは後の楽しみとしよう。

さて、No−128、No−130とも電源は「乾電池」となっているのだが、アイドリングをTR式の十倍程度流すとなるとこれまでの経験からもさすがに躊躇せざるを得ない。たまに鳴らしてみるには苦にならないだろうが、常用するとなると辛いだろう。ということで電源部分離方式を採用することにする。乾電池でも、AC電源でも取り替えて使えるようにアンプ部を独立して製作し、電源部はキャノンコネクターで接続する。要するにNo−144の方式だ。

実はGOAの登場で解体の憂き目にあったA級30Wの電源トランスが、なんと最近廃業してしまったタンゴのA−65Sなので、25年もののこのトランスもこの際再活用してやりたい。よってAC電源としてはこのトランスを使うこととする。終段用には25V端子を使い、前段用には2組の5.5V端子を倍圧整流して終段用に重ねて作り出せば、前段用に±50V程度、終段用に±35V程度の電圧が得られるはずだ。こうするとこの電源部はNo−144等の完全対称型アンプ達の電源としても流用できる、という思惑もあっての設定で、乾電池を電源とする場合は前段用に20本入りを3箱で±45V、終段用に同じく2箱で±30Vか1箱で±15Vで使えばいいだろう。

さてケースや放熱器をどうするかだが、100mAものアイドリング電流を流すのにTF−3205Sという小型の放熱器を使うオリジナル設計は経験上疑問を感じるし、今回はAC電源では±35Vとオリジナルより高い電圧がかかることもあるので、オリジナルに比較すれば大分大きめだがTF−1210A2を使うことにした。完全対称型を幾つか製作した経験からすると、±30Vでも100mAを流すのであればこの位が適切な放熱器ではないかと思える。
ということで、ケースはNo−144等と同じタカチのOS49−26−33BXだ。
回路は下図のようにする。オリジナルと異なるのはまず初段の定電流回路とカスコードアンプだ。定電流回路はオリジナルの自己バイアス方式でも良いかと思うが、定電流回路としてはこちらの方が高性能だろう。カスコードアンプは電源電圧が高いので入れざるを得ない。シンプルに徹したオリジナルの思想からやや外れるが、悪くもあるまい。
各段の電流設定はオリジナルと同じで初段のK30がそれぞれ2mA、2段目のJ72がそれぞれ5mAで、その負荷抵抗はオリジナルどおりだから、オープンゲインもこれまたオリジナルと同程度の54dbぐらいだろう。

オリジナルはNFB量を可変することによる音量調整機能を付加しているが、今回はその必要性はないのでクローズドゲインは固定とし、他のGOAと同様の11倍とした。だからNFB量は推定33db程度となる。

例のごとく方眼紙で基盤表面の部品配置図と裏面の配線図をこしらえて最良のパターンを検討する。大抵は金田さんの指定の通りとなるのだが、これを回路図と照合しながら自分で作ることによって理解も深まり、ミスも減り、結果トラブルも未然に防止できる。実際の部品取付と配線は作った方眼紙上のパターンをガイドにして作っていく。

やはり部品数が少ないだけあって基盤の所用面積も小さくなった。お陰で放熱器に大きめのTF−1210A2を使ったにもかかわらず、ケースの中に楽に収まった。同じケースと放熱器を使っている別頁のNo−139(もどき)の写真と比較していただくとその辺が良く分かると思う。

ケース加工は単純なドリルでの穴開けだけなので、電動ドリルでさっさとすませる。電源部とつなぐキャノンコネクタ用の穴の加工が疲れるところだが、根気で何とかするのは毎度同じだ。

取りあえずアンプ部を完成させたところで乾電池を電源として動かしてみる。
問題なく動作した。各部の電流値も正常で終段のアイドリング電流はLチャンネル80mAとRチャンネル100mAとなった。出力のオフセットも初段半固定抵抗で0Vに合わせると温度変化とともに変動するそのドリフトは±20mV程度だ。うまく完成したようだ。

金田式アンプの歩みの中では、2段差動アンプ+エミッタ(ソース)フォロワーという型式で、差動アンプの2段目で電圧ゲインの殆どを稼ぐというのが連綿と続いた方程式のようなものだったが、オールFETパワーアンプはその型式の最後となったものだ。

この直後ドレイン出力パワーアンプを経て完全対称型に移行し、終段に大きな電圧ゲインを持たせる型式となったが、MJ99年6月号のNo−155以降は初段でも電圧ゲインを稼いで2段目には極力ゲインを持たせないものとなっており、その様変わりはある種隔世の感がある。

という能書きはどうでもいいので(^^;;、早速音を聴いてみる。

いつものDCアンプの音ではあると思うのだが、他のDCアンプ達の中では目立った特色を感じない、と言うのが第一印象。
逆にこのオールFETパワーアンプと聴き比べることにより完全対称型のエネルギー感やコントラストの深さ、アタックの強靱さといったものが明確に浮かび上がる。また、TR式GOAはその鋭いほどの分解能のためか抜けるような凛とした表現という特徴が感じられる。
それらと比べるとこのオールFETは、TR式GOAや完全対称型とは反対方向と思える滑らかで暖色系の音の雰囲気が特徴のようにも感じられるが、完全対称型の後で聴くとやはり過去のアンプなのかな〜という感も否めない。

が、完全対称型がある今となってはそれはやむを得ない結果だろう。
このアンプについては今後AC電源化はもとより、電圧ゲインを有するドレイン出力型への改造など、もう少し遊んでみよう。と考えている。

(2000年9月22日)




(オールFET GOAパワーアンプのその後はこちらへ)


その5

Christmas Concert (横浜バロック室内合奏団)何もしなくとも時は流れる。変化は宿命だ。人も去っていく。誰しも取り残される。生きるしか道はない。
もうよい・・・。が、時のない世界はこの世にはない。

金田さんのDCアンプは音楽信号を正しく伝達するために、回路における動作の対称性の確保を一貫して追及している。登場以来の同種素子による差動アンプも最近の同種素子による完全対称型出力段もそれが現象したものだ。最早非対称動作している所などなさそうで、素人目にはこれ以上回路が発展する余地などないように思えるのだが、未来のことだから今から分かるはずはない。

GOAにおいても2段目差動アンプの対称信号を正しくプッシュプル合成する手法が追求された。カスコードアンプとカレントミラーがその手法だが、カレントミラーは結局彼の方にとって最終満足まで至らなかった。このカレントミラーによる折り返しプッシュプル動作の限界と異極性素子による終段プッシュプル動作の限界を破ったというのが「完全対称」の意味だから。「完全対称」は別に上下対称回路に対してどうこうというものではないのだが、言葉が一人歩きした。

上のFETによるGOAアンプに移行する直前、TRによる電池式GOAアンプはフィードバック型カレントミラーを採用して完成した。「オーディオDCアンプシステム」には間に合わなかったか載っていない。フィードバック型などと新しい名前を付けているが別に独創的なものでも新しく開発したものでもなく、従前からIC内などでよく使われていた回路を導入したもの。89年12月号のNo−113で初めて採用されている。その記事では従来のD−TR型、TR−TR型とフィードバック型のカレントミラーの出力電圧対歪率特性の実測値が載っているが、フィードバック型は圧倒的に特性が優れている(1/33〜1/127)。と言っても音は別。素子数が増えることもあり、プリアンプやレギュレーターでは素子(モールド型TR)増加の悪影響も出て満足できる結果を得られなかったようだ。だが、パワーアンプでは名器2SC960(959)を起用したこともあって100%満足の成果を得た、と彼の方は言っておられる。

ところで、2SC960(959)も20世紀末に遂に絶滅したようだ。もう手に入らないかと思うとやはり感慨も湧く。

下は取り残された1台。
差動用だけでなく、カスコード用もカレントミラー用も熱結合してある。これをするとドリフトがずっと安定になる。
既に音が悪いという水銀0の電池になって久しいが、透き通った力強い美しい音が得られる感じにはまだ優位性があるような気がして未だに電池で聴いている。低域の瞬発力や弾力感などには負ける感じがするが、これでもうイイよ、という気分だってありで良いでしょ?


電池式 G.O.A パワーアンプ その3


回路図
(2000年12月18日)

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