東海自然歩道 その67

     -秋葉神社下社から春野町大時まで-

 この行程は、昨年の10月に歩いたものです。以前に何度も言及したことですが、昨今の地方のバス路線は惨憺たるありさまで、思い通りには利用できません。この地方は、さすがに秋葉神社に向かう路線は遠鉄バスが走っているのですが、春野町の奥までは天竜区の自主運行バスが週に2便あるのみで、私が乗りたい夕方の便がありません。タクシーを呼ぶにしても、待ち合わせの時間と場所がはっきりしないので不安が残ります。幸い今回は友人に運転手をお願いすることができました。自宅から車で浜松まで来て前泊し、翌朝に秋葉神社下社まで行き、帰りは春野町大時で待ち合わせて、そのまま大阪に帰って来るという旅程になりました。今回の東海自然歩道は、この下社から大井川鉄道の家山駅までの30キロ余りの長丁場をいっきに歩き切ればいいのですが、年寄りには10時間の歩きは長すぎるし、冬場で日が短いというセコイ言い訳も考えついて、行程を二つに分けたものです。

 2019年10月31日(金) 晴れ


 秋葉神社 下社前        犬居城址からの眺望

 天守跡の石像          瑞雲院

 気持ちよく晴れた午前9時に、秋葉神社下社前の駐車場に到着しました。ここで装備を整えて出発しました。まずは戦国時代の山城、犬居城跡を目指します。下社の鳥居前から気田川に架かる秋葉橋を目指して歩いて行くと、東海自然歩道の道標があり、そこから原の集落へと入って行きました。茶畑と住宅が点在する道を進んでいくと、途中に「犬居城跡」への道標がありました。ここから山道に入って行きます。突然始まった厳しい登りを進んでいくと稜線に出て、そこからはアップダウンを繰り返しながら進みました。送電線の鉄塔を過ぎて暫く行くと、「犬居城址」の標識がある頂上に出ました。午前10時ちょうどで、下社から1.9キロの地点です。眼下に犬居の集落や学校が見えます。それにしてもすごいところに城を築くものだと感心するやら呆れるやら。ここまで登って来るだけでも大変なのに、ここで戦争するとはとても考えられません。これまで歩いてきた長篠や鳳来寺山、この犬居あたりは戦国時代に武田信玄や徳川家康が勢力を競っていた地域ですが、その軍隊の移動だけでもとんでもない行軍になるということが、今回東海自然歩道を歩いてみて実感できました。


                 神秘の神宮池

 神宮池の神社          シャガの群落を行く

 春野町の茶畑           東海自然歩道 大時休憩所

 犬居城址からの急な下り坂を降りて、一旦犬居の集落に出て国道を歩きました。気田川沿いに国道を進み、春野町堀之内から林道に入りました。そして出発から2時間、5キロの地点で休憩しました。春野町高森という集落で、ここからはお茶畑に点在する農家という風景が延々と続いています。茶畑が途切れて杉林となり、更に登って行くと、山の頂上付近に「新宮池」がありました。東西に200メートル、南北に100メートルほどの楕円形の池です。流れ込む川は無く、それでいて枯れることのない不思議な池で、神社が祀られています。この池と信州の諏訪湖は繋がっているという伝説があるそうです。時刻は12時40分で、出発から3時間40分、9.8キロになっていました。ここで昼休みにしてお結びを2個食べました。
 休憩を終えて、午後1時に新宮池を出発しました。ここからは山道の下り坂になります。歩き始めてすぐに、早春に花が咲くシャガの群落がありました。そこら一面にシャガの元気な緑の葉が生い茂っていました。花の季節にはさぞきれいなことでしょう。15分程歩いて行くと林道に出ました。春野町砂川の集落のようです。急斜面に茶畑があり、ぽつぽつと住宅が点在しています。新宮池から1時間歩いて休憩しました。単調な林道歩きを再開して、14時30分に、本日の目的地、春野町大時に到着しました。15.5キロを5時間半で歩いたことになります。道路わきに立派な東海自然歩道の休息所がありました。ここで迎えの車と合流して、高速道路を4時間かけて大阪の自宅に帰ってきました。
 (累計1087.4キロ/1700)